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独りぼっちで宇宙をさまよう「放浪惑星」を新たに7つ発見!


星の重力に束縛されない”はぐれもの惑星”が新たに見つかったようです。

欧州宇宙機関(ESA)は最近、地球から1500光年先にあるオリオン大星雲の中に7つの「自由浮遊惑星」を発見したと発表しました。

自由浮遊惑星は永遠の暗闇に閉ざされた孤独な天体ですが、研究者たちは「生命が存在する可能性がある」として大いに注目しています。

では、自由浮遊惑星とは一体どんな場所なのでしょうか?

目次

  • 孤独に宇宙をさまよう「自由浮遊惑星」とは?
  • 自由浮遊惑星にも「生命体」は存在する?

孤独に宇宙をさまよう「自由浮遊惑星」とは?

私たちが知っている惑星のほとんどは一般に「惑星系」という天体システムの中に属しています。

惑星系とは、一つの恒星(主星)を中心にして、その周りを惑星や衛星が公転しているシステムです。

例えば、私たちが暮らす地球は太陽を中心とした「太陽系」に属しています。

地球は太陽の重力によって同じ公転軌道に留まり続けており、また太陽の光のおかげで昼と夜のある生活を送ることができています。

加えて、太陽系には地球の他に7つの惑星が同じように公転しており、私たちの惑星は決して孤独ではありません。

多くの惑星は一般に主星を中心とした「惑星系」に属している
多くの惑星は一般に主星を中心とした「惑星系」に属している / Credit: canva

これと対照的に、惑星系に属していないのが自由浮遊惑星(rogue planet)」です。

一般に惑星は主星となる恒星が新しく誕生するときに、その周囲の塵やガスが寄り集まることで形成されます。

そのため、惑星は基本的に初めから何らかの星系に属しているものです。

ところが、近くにある惑星同士の重力の相互作用や、恒星の進化の過程で起こる強烈なガス放出などが原因で、星系に属していた惑星が公転軌道から弾き出されることがあります。

こうして一人ぼっちになってしまった惑星が「自由浮遊惑星」なのです。

惑星系から弾き出されて一人ぼっちになった天体が「自由浮遊惑星」
惑星系から弾き出されて一人ぼっちになった天体が「自由浮遊惑星」 / Credit: commons.wikimedia

自由浮遊惑星は主星の重力に束縛されないので、その名の通り、宇宙のただ中を自由に放浪し続けます。

さらに主星の光を失ったせいで昼と夜のサイクルも失っており、その世界は永遠の暗闇の中に閉ざされています。

これは同時に、自由浮遊惑星の発見を困難にする要因でもあります。

惑星はそれ自体で光を放つことがないので、観測には周囲の星の光に頼らなければなりませんが、自由浮遊惑星は主星の光に照らされないので見つけるのが難しいのです。

しかしそんな中、欧州宇宙機関(ESA)の研究チームは、最新の宇宙望遠鏡「ユークリッド」を使って、7つの自由浮遊惑星を発見することに成功しました。

自由浮遊惑星にも「生命体」は存在する?

ユークリッドは2023年7月に打ち上げられたばかりの新しい宇宙望遠鏡です。

その観測の中で最近、地球から約1500光年先にあるオリオン大星雲に少なくとも7つの自由浮遊惑星が確認されました。

先ほど言ったように、自由浮遊惑星は周囲に光源がないので見つけにくいのですが、ユークリッドが発見したものは比較的誕生したばかりの新しい惑星であり、まだ内側から発する熱温度が高かったおかげで検出できたといいます。

またそれらの惑星は、木星の少なくとも4倍の質量に匹敵する巨大ガス惑星だったとのことです。

ただ研究に参加した天文学者のエドゥアルド・マーティン(Eduardo Martin)氏はそれでも「自由浮遊惑星を見つけるのは干し草の山から針を見つけるようなものだ」と述べました。

ユークリッド 宇宙望遠鏡
ユークリッド 宇宙望遠鏡 / Credit: ja.wikipedia

一方でマーティン氏らは「自由浮遊惑星には生命が存在する可能性もある」と考えています。

自由浮遊惑星は主星から届く光がないので、表面も暗く凍っていて、とても生命が居住できる環境にはあるとは思えません。

しかし研究者らは、近隣の星からの熱源がなくとも、惑星内部で生成された熱源さえあれば、生命がその場所で生き延びることは可能であると指摘します。

実際に地球でも、真っ暗な海底にある「熱水噴出孔」の周りで生命が活発に活動している事例があります。

とはいえマーティン氏らは「自由浮遊惑星に生命がいるとしても、それらは微生物のようなごく単純な種であるだろう」と話しました。

熱水噴出孔の一種
熱水噴出孔の一種 / Credit: ja.wikipedia

それから、自由浮遊惑星のように独りぼっちでいることにも利点があるといいます。

それは惑星の運命が主星の寿命に左右されないことです。

惑星系に属する天体は中心の主星が寿命を迎えたときに、一緒に滅んでしまう可能性があります。

われらが地球も今から約76億年後に太陽が大きく膨張して赤色巨星になることで、飲み込まれてしまうと考えられています。

しかし自由浮遊惑星は単独で放浪しているので、主星の動向に影響される心配がないのです。

この分野の研究はまだまだ進展していませんが、宇宙には無数の自由浮遊惑星が存在していると見られています。

チームは今後も、生命が存在する可能性のある候補の一つとして、自由浮遊惑星の観測を続けていく予定です。

全ての画像を見る

参考文献

Starless and forever alone: More ‘rogue’planets discovered
https://phys.org/news/2024-05-starless-rogue-planets.html

Euclid telescope spies rogue planets floating free in Milky Way
https://www.theguardian.com/science/article/2024/may/23/euclid-telescope-rogue-planets-floating-free-milky-way

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部

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