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女性は性的欲求より復讐目的で「不倫」をする可能性が高い


人はなぜ不倫をするのでしょうか。

性的な欲求、感情的な不満、スリルなど、個々人でその理由はさまざまでしょうが、今回、オーストラリアのフェデレーション大学講師であるアレックス・ポール博士らは、人が不倫をする理由に関する分類研究を行いました。

この研究では、性的な欲求からくる不倫、感情的な不満からくる不倫、そしてパートナーを傷つけるための悪意のある不倫が、性別や性格とどう関連しているかを調査。

その結果、サディズム的性格と性別が、復讐などを目的とした悪意ある不倫と相関性が高いとわかりました。

この研究の詳細は、2023年6月7日『Taylor and Francis Online』に掲載されています。

目次

  • 反社会的な性格特性「ダークテトラッド」
  • 復讐やパートナーを傷つける目的での不倫

反社会的な性格特性「ダークテトラッド」

まず、研究の詳細を紹介する前に、ポール博士らが触れている「ダークテトラッド」と呼ばれる性格の特性について解説しておきたいと思います。

ダークテトラッド(Dark Tetrad)は、人間の性格のダークな側面を形成するとされる4つの性格特性の集合です。これには以下の要素が含まれます。

  1. ナルシシズム: 自分自身を過度に高く評価し、他人よりも優れていると信じる傾向
  2. マキャヴェリズム: 自己中心的な目的のために道徳的な考慮を犠牲にする傾向
  3. サイコパシー: 表面的には魅力的だが誠実さがなく、責任感が薄くて状況を他者のせいにしやすい傾向
  4. サディズム: 他人に物理的、または精神的な痛みを与えることから喜びを感じる傾向

ダークテトラッドの性格特性は、社会的、あるいは恋愛関係において問題を引き起こす可能性が高いとされています。

なお、ダークテトラッドからサディズムを抜いた3要素で構成される特性は、ダークトライアドと呼ばれています。

これまでの不倫の研究では、性的欲求を満たすための不倫、精神的に満たされるための不倫が主に考察されていましたが、今回研究チームは、復讐やパートナーを意図的に傷をつけようとするような「悪意のある不倫」も調査対象にしました。

このような不倫も考慮しなければ、不倫の全体像は掴むことができず、カウンセリングの現場で不倫の種類を正確に理解し、適切に対応することが困難になると予想されるからです。

復讐やパートナーを傷つける目的での不倫

サディズムの人は復讐やパートナーを傷つける目的で不倫する可能性が高いようです
Credit:canva

今回の調査には18歳から67歳までのオーストラリア人240人が参加し、自己愛、自己中心的主義、他人に対する無関心な傾向を測る「ダークトライアドテスト」、他人を物理的、性的、感情的に傷つけることを楽しむかどうかを測る「サディズムテスト」、そして「不倫のタイプを分類するテスト」の3つのテストに回答しました。

これらのテストの結果、サイコパシー(誠実さや責任感の欠如)の強い人は性的欲求からくる不倫、または精神的な不満からくる不倫の両方のタイプをする可能性が高く、サイコパシーとサディズムの両方が強い人は復讐を目的とするような悪意のある不倫をする可能性が高いことが分かりました。

サイコパシーについては、他にもよくリスクのある行動の方を好み、スリルを追求する傾向があると言われるためこの結果には納得感があります。

一方で、自己愛が強い人は精神的な不満からくる不倫をする傾向があり、マキャベリズム(道徳を犠牲にした自己中心的な行動)が強い人は不倫に関する特定の予測要因とはなりませんでした。

上記をまとめると、不倫と性格特性には次のような関係があるようです。

  1. 責任感が欠如しスリルを好むサイコパシーが高い人は性的欲求や精神的不満から不倫をする可能性が高い
  2. サイコパシーと他人を傷つけることを楽しむ特性(サディズム)が共に高い人は復讐のような悪意のある不倫をする可能性が高い
  3. 自己愛が強い人は感情的な不倫に傾きやすい
  4. 自己中心的で道徳心が薄い傾向の人(マキャベリズム)は不倫を予測する特定の要因とならない

ポール博士は、「不倫はよくある行動で結婚した夫婦の約25%が経験しているが、その不倫の種類や背後にある動機には違いがあることを明らかにした」と述べています。

この傾向はカウンセリングの現場でも役立つかもしれません。不倫は夫婦がカウンセリングを受ける主な理由の一つであり、カウンセラーが不倫の種類とそれに至る動機を理解することは、治療の成功に寄与する可能性があるためです。

さらに興味深い点として、女性のほうが男性よりも復讐やパートナーを傷つける目的で不倫をする傾向が強いことが明らかにされました。

不倫には人間のダークな側面が大きく影響しているようです
Credit:canva

今回の研究から明らかとなった不倫の背景は、私たちが今まで考えてきた不倫の理由とは異なる一面を浮かび上がらせています。

主に不倫はパートナーとの不和や性的な不満足から始まる印象があります。

芸能人の不倫騒動も世間ではよく話題になるニュースですが、主に男性の不倫は性的欲求が原因で誘惑に負けた説明される事が多い印象があります。

しかし新たな研究では、不倫の動機について、責任感の欠如やサディスティックな性格の人、また特に女性は、復讐を目的として不倫行動に出る傾向が指摘されています。

これは、夫婦が直面する問題が単なる魅力的な異性との出会いによる誘惑で起きるのではなく、パートナーへの当てつけとして起きる可能性を示唆しています。

そんな不倫の背後にある真の動機を理解することは、関係の修復、再構築の鍵となるでしょう。

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参考文献

Women more likely to engage in malevolent infidelity compared to men, study finds https://www.psypost.org/2023/08/women-more-likely-to-engage-in-malevolent-infidelity-compared-to-men-study-finds-168415

元論文

High (in)fidelity: gender, the Dark Tetrad, and infidelity https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14681994.2023.2220279?journalCode=csmt20
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