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スグに実践できる!頑丈な「砂の城」を作る砂と水の黄金比率とは?


いよいよ夏真っ盛りで、海が恋しい季節になってきました。

海水浴といえば、浜辺で「砂の城」を作って遊ぶのが定番の1つですが、砂のもろさで、建設途中のお城を何度も崩落させてしまった経験は多いはずです。

しかし小さなお城でも難しいのに、世界には高さ21メートルを超える砂の城を作り上げる猛者もいます。

一体どうして彼らの作る砂の城は頑丈で崩れにくいのでしょうか?

その秘密は材料となる砂と水の黄金比率にあるようです。

そこで今回は頑丈な砂の城を作れる黄金比率について解説します。

この法則を守れば、誰でも簡単に難攻不落のお城が築けるかもしれません。

目次

  • 世界で最も高い「砂の城」のギネス記録は?
  • 頑丈な「砂の城」が作れる材料の黄金比率

世界で最も高い「砂の城」のギネス記録は?

「世界で最も高い砂の城(Tallest sandcastle)」のギネス記録は、2021年にデンマーク北部の海辺にある小さな町ブロックフス(Blokhus)で樹立されました。

プロジェクトには世界有数の砂像彫刻家30人が参加し、合計で約4860トンの砂を使って、高さ21.16メートルの城を完成させています。

これは2019年にドイツで作られた当時の世界記録を3メートルも上回るものでした。

この砂の城は世界中で猛威をふるった新型コロナウイルスの恐ろしさをモチーフにしており、城の頂上には王冠をかぶったコロナウイルスが表現されています。

お城の全体像がこちらです。

ブロックフスにある「世界で最も高い砂の城」
Credit: Guiness World Record(2021)

7月2日にギネス認定されて、約6カ月ほど一般公開され、霜が降りる冬の時期に形状が保てなくなって崩壊したという。

では、ここまで巨大ではなくとも、どうしたら崩落しにくい頑丈な砂の城が作れるのでしょうか?

頑丈な「砂の城」が作れる材料の黄金比率

米コロラド州立大学(CSU)の地質工学エンジニアであるジョゼフ・スカリア(Joseph Scalia)氏によると、砂とは直径0.075mm〜4.75mmの鉱物の粒子を指します。

砂より小さい粒子は粘土またはシルト(砂と粘土の中間サイズ)に、大きい粒子は砂利に分類されます。

砂はお城の主要材料ですが、それらをつなぎ合わせる媒体として「水」が必要不可欠です。

米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)の堆積学者であるジム・ベスト(Jim Best)氏は「乾いた砂に少量の水を加えると、水が砂の表面に付着し、粒同士の間に小さな水の架け橋を形成する」 と説明します。

これが砂と砂を結びつける接着剤の役割を果たします。

また水の架け橋の強度は表面張力(水が表面をできるだけ小さくしようとする力)によって決まり、その力が最大化されるほど、砂粒同士の接着力も強くなります。

これには適切な水の量が必要で、少なすぎると水の架け橋が形成されませんし、多すぎると水の架け橋が消えてドロドロになります。

砂と水の黄金比率とは?
Credit: canva

そこで英ボーンマス大学(Bournemouth University)の堆積学者であるマシュー・ベネット(Matthew Bennett)氏は2004年に、表面張力が最大化するのに最適な水の量を調査。

その結果、砂と水の黄金比率は乾燥砂8に対して水1であることが判明したのです。

これを魔法の公式にすると「水の量=砂の量×0.125」となります。

ベネット氏によると、この配合で表面張力が最大化され、最も崩れにくい頑丈な砂の城が作れたという。

ちなみに海辺で一々分量を計るのが面倒臭いときは、満潮線沿いの湿った砂がちょうど8:1くらいの比率になっているそうです。

満潮線は、波によって濡れている場所と波が届かない乾いた場所の境界線で、だいたい海藻や漂流物が転がっている辺りが目安となります。

なので海で砂の城をつくる際は、そんな波打ち際の砂を調達すると良いでしょう。

城の強度を高める他の手段

また物理学的にもう一歩踏み込むと、鋭く角張った砂粒を材料にするのも有効だといいます。

例えば、侵食が進んで球形に丸まった砂漠の砂などは、粒同士の摩擦抵抗が弱くてツルツル滑るので、砂の城が崩落しやすいです。

反対に、角張った砂ほど粒同士の摩擦抵抗が強くなるので、城の強度を高めるのに非常に向いています。

(ただ残念ながら、海の砂は侵食が進んでいるので角張った砂はほぼありません)

波打ち際の湿った砂が材料にもってこい
Credit: canva

それから城の強度を高めるもう一つの方法は、砂に少量の粘土を加えることです。

砂より小さい粘土の粒子が、砂粒同士の隙間を埋めることで城の強度が自然と上がるのです。

実際、ギネス記録を達成したデンマークの城も、材料となる砂に約10%の粘土を混ぜ込んだという。

(さらにこの城の場合は、完成後も長く形を保つように全体をノリで固めている)

しかしギネス記録の更新を狙っている訳ではないのなら、8:1の黄金比率を覚えておくだけで十分でしょう。

また海水は塩を含んでいるので、太陽の熱で乾燥した後に塩が結晶化して、城の構造を安定化させる働きもしてくれるといいます。

ぜひ、この夏の海水浴のヒントにしてみてください。

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参考文献

How do sandcastles stay together? https://www.livescience.com/physics-mathematics/how-do-sandcastles-stay-together World’s biggest sandcastle constructed in Denmark https://www.theguardian.com/world/2021/jul/07/world-biggest-sandcastle-constructed-denmark How to build the perfect sandcastle – according to science https://theconversation.com/how-to-build-the-perfect-sandcastle-according-to-science-79600
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