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愛する人の優しさがダイエットへの「無意識の妨害」になる


家族や親しい友人の支援が、皮肉にもあなたのダイエットを妨げる可能性があることが、最近公表された研究で明らかになりました。

イギリスのサリー大学健康心理学部の研究者たちは、文献を体系的に調査した結果、ダイエットがうまくいかない要因に、友情や気遣いから生ずる悪意のない妨害があることを指摘しました。

研究の詳細は、2023年6月7日付の科学誌『Current Obesity Reports』に掲載されました。

目次

  • 優しさによる「お付き合い」もダイエット成功を阻む
  • 変化への恐れが妨害行為につながる

優しさによる「お付き合い」もダイエット成功を阻む

社会的支援(ソーシャル・サポート)とは、「社会的関係の中でやりとりされる支援」のことです

一般的に社会的支援は、その存在により直接的に、または外的ストレス要因に対するクッション材として間接的に、個人に有益な影響を及ぼすと考えられています。

社会的支援には負の利益をもたらすものがある
Credit: Canva

しかし、社会的支援のすべてが有益ではないことをを指摘する研究も増えています。

例えばこれまでには、社会ネットワークが過剰飲酒などの不健康な行動を促進すること、家族が病気の影響を小さく見積もって助けを求めるのが遅れること、家族やパートナーが依存性を促進することなどが指摘されきました。

体重管理においても、社会的支援はより否定的な影響を及ぼす可能性があることが示されています。

例えば、肥満治療手術後の患者の体験談からは、友人や家族が差別的な態度を示したり、偏見を押し付けたりするケースの報告がいくつも存在します。ダイエットを試みる人へのサポートが、必ずしも肯定的なものばかりではないことが明らかになってきているのです。

サリー大学の健康心理学教授であるジェーン・オグデン氏らは、体重管理と社会的支援に関する文献をレビューし、ダイエットをしようとする人にネガティブな影響を与える支援について調査しました。そしてこれらを、「サボタージュ(Sabotage、妨害行為)」、「共謀(Collusion)」、そしてサボタージュの一部としての「フィーダー(Feeder)」という3つに分類し、その関係を整理しました。

サボタージュとは、「個人の健康目標を損なうように設計された、積極的かつ意図的な、ネガティブな社会的支援の形態」です。

たとえば、ダイエット食購入に余計にかかるコストを問題視したり、おいしくないと否定したりして、より健康的な食事に切り替えることを思いとどまらせる行為を指します。

他者に過剰に食べさせるフィーダー行為もサボタージュの一種
Credit: Canva

サボタージュの一形態に「フィーダー行為」があります。

これは、空腹でもなく食べたいとも言っていないのに、他者に明確に過剰に食べさせる行為のことです。

相手を傷つける意図ではなく、「食べ物が無駄になるのを防ぎたい」や「愛する人に好きな甘いお菓子を食べさせたい」といった気持ちから、行われます。

一方、共謀は、「対立を避けたいという欲求が反映された、より受動的で穏やかな、ネガティブな社会的支援の形態」と定義されています。

例えば、ダイエット中の人が、「ああ、今日は走る気になれない…」と言った場合、「それなら、ソファでまったりネトフリでも見ようよ!」などと提案する行為がこれに当たります。

この行為は、相手への気遣いや、その場を円滑に進めたいという理由から行われることが多いのですが、結果的には相手の目標達成を阻むことにつながります。

家族や友人が、ダイエット目標に反する行動に「付き合ってくれる」ことで、失敗に向かう旅の伴走者になってしまうというわけです。

変化への恐れが妨害行為につながる

優しさが目標達成を阻むこともある
Credit: Canva

なぜ人は、サボタージュや共謀により、愛する人の目標達成を阻んでしまうのでしょうか。

オグデン教授は、これらの行為は、システム理論やホメオスタシス(恒常性維持)の概念を通じて理解できると述べています。

ホメオスタシスは、もともとは生物が体内の環境を一定に保ちつづけようとする傾向のことを指す言葉です。例えば、体温や血液中の糖分濃度などが一定に保たれているのは、このホメオスタシスの働きによるものです。

この考え方は、生物学だけでなく、社会学や心理学でも使われるようになりました。そこではホメオスタシスは、家族や友達のような社会的なグループが、常に何らかの秩序やバランスを保とうとする傾向を示す言葉として使われています。

オグデン教授は、以下のように説明しています。

「私たちの人間関係は動的に変化するものです。その中にいる私たちは、自身の行動により関係の安定性を保つよう努力します。しかし、ダイエットのような大きなライフスタイルの変化は、その安定性を揺るがす可能性があります

変化に直面したとき、「サボタージュ」、「共謀」、「フィーダー行動」などが見られるのは、変化に対抗し、再びバランスを取り戻そうとする自然な反応と解釈できます

体重を減らすという行為は、人々に自信を与えたり、人間関係における相互作用を変化させたりと、しばしば大きな変化を引き起こします。そのような変化を歓迎しない人も多く、意識的あるいは無意識に、現状維持を図るために、ダイエットしようとする人の努力を妨害することがあるのです」

ダイエットに成功したいなら、優しく付き合ってくれるだけでなく、対立を恐れずに「ちょっとだけでも走ろうよ」と勇気づけてくれるパートナーに感謝すべきなのかもしれませんね。

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参考文献

Sabotage and collusion could be derailing your weight loss journey, finds study https://www.surrey.ac.uk/news/sabotage-and-collusion-could-be-derailing-your-weight-loss-journey-finds-study

元論文

Sabotage, Collusion, and Being a Feeder: Towards a New Model of Negative Social Support and Its Impact on Weight Management https://link.springer.com/article/10.1007/s13679-023-00504-5
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