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エイリアンみたいな奇抜な姿「カレキゾウムシ」の新種を沖縄で発見!


「本当に地球生まれ?」と疑いたくなる奇抜なゾウムシが発見されました。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは2015年から琉球列島の各地に捕獲網を設置し、さまざまな昆虫を採取しては標本として保管する作業を続けてきました。

そんな中、2022年に同大に着任した昆虫学者のジェイク・ルイス(Jake Lewis)氏が、標本コレクションの中から新種のゾウムシを見つけ出したのです。

本種は沖縄本島北部にある「やんばる国立公園」と、同県南西部にある「石垣島」でのみ発見されていることから「リュウキュウカレキゾウムシ(学名:Acicnemis ryukyuana)」と命名されました。

研究論文は、2023年6月16日付で科学雑誌『The Coleopterists Bulletin』に掲載されています。

目次

  • 標本コレクションの中から「新種ゾウムシ」を発見!
  • 人が干渉している場所には住まない?

標本コレクションの中から「新種ゾウムシ」を発見!

ゾウムシは、その名の通り、口部がゾウの鼻のように長く伸びた姿が愛らしい生き物です。

圧倒的な種数を誇る昆虫界でも最大派閥のひとつであり、現時点で約6万種が知られ、少なく見積もっても20万種以上は存在すると推定されています。

日本国内でも1000種以上が見つかっているようです。

ゾウの鼻のように長く伸びた口部が特徴的
Credit: canva

さて、研究主任のジェイク・ルイス氏は2022年の着任時から、学内に保管されていた昆虫の標本コレクションに飛びついたと話します。

「詳しく観察する中で、あるゾウムシの標本を見つけた途端に目が釘付けになりました。

この種がカレキゾウムシ属(Acicnemis)の仲間であることは明らかでしたが、過去に東アジアで見つかった他の種とは違っていたのです。

見た目の独特の特徴が、日本でも確認されている従来のカレキゾウムシとは異なるものでした」

カレキゾウムシ属は180種以上が知られており、新種と断定するには、既存の文献や博物館の標本を入念に調べなければなりません。

そこでルイス氏は顕微鏡分析や解剖のほか、九州大学総合研究博物館、イギリスの大英自然史博物館、ドイツのゼンケンベルグ昆虫学研究所などの複数の機関に問い合わせ、既知のカレキゾウムシと比較しました。

Aが「リュウキュウカレキゾウムシ」、B〜Fは沖縄に生息する他のカレキゾウムシ5種
Credit: OIST –沖縄北部やんばると石垣島で新種のゾウムシを発見(2023)

その結果、コレクション中の標本は見事にカレキゾウムシの新種であることが判明したのです。

この標本が採取されたのは「やんばる国立公園」と「石垣島」のみであり、琉球列島の固有種と見られることから「リュウキュウカレキゾウムシ(学名:Acicnemis ryukyuana)」と命名されています。

さらに調査を進める中で、リュウキュウカレキゾウムシは人の存在に対してかなり敏感であることが明らかになってきました。

人が干渉している場所には住まない?

リュウキュウカレキゾウムシは、両肩に黄色いシマシマが入り、ハネに黒、黄色、灰色の鱗片(りんぺん)が生えたユニークな模様をしているため、他のカレキゾウムシと見分けやすいといいます。

また顕微鏡で見てみると、脚の下の方に長い鱗毛(りんもう)も見られました。

これは他のカレキゾウムシと比べると、より長くてフサフサしています。

A:リュウキュウカレキゾウムシ、B:セグロカレキゾウムシ
Credit: OIST –沖縄北部やんばると石垣島で新種のゾウムシを発見(2023)

それから2015年以来、チームは沖縄本島の人口密集地や人為的干渉の影響がある場所を含め、幅広いエリアに捕獲網を設置しました。

ところが、リュウキュウカレキゾウムシが主に捕獲されたのは、やんばる国立公園の手つかずの特別保護地区だったのです。

それと後は石垣島の人為的干渉がない保存状態のいい森林の中だけでした。

このことから、リュウキュウカレキゾウムシは琉球列島で多く見られる他のカレキゾウムシよりも人の存在に敏感であり、人為的影響が少ない場所を好む傾向があると予想されています。

ルイス氏は「今回発見された新種のゾウムシは、飛べない鳥として知られるヤンバルクイナのように、琉球列島に固有の脆弱な動物の一種といえるかもしれない」と述べました。

チームは今後、リュウキュウカレキゾウムシが東アジアに生息するカレキゾウムシとどんな関係にあるのかを知るため、DNA解析を行う予定です。

ルイス氏はまた、このように熱く語っています。

「私の出身国であるカナダでは、ゾウムシの研究が進んでいます。

やんばる国立公園は、まだ生態がよく分かっていない固有種が多く棲息しているので、ここ沖縄での生活は最高です。

琉球列島には、ここでしか見られない種がたくさん存在しているため、私のような分類学者にとっては非常に魅力的な場所なのです」

【編集注 2023.6.26 12:00】
論文のリンク切れが確認されていますが、リンクミスではありません。

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参考文献

沖縄北部やんばると石垣島で新種のゾウムシを発見 https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2023/6/13/japans-subtropical-forests-home-newly-discovered-beetle-species Japan’s subtropical forests home to a newly discovered beetle species https://www.eurekalert.org/news-releases/992349

元論文

A new species of Acicnemis Fairmaire, 1849 (Coleoptera: Curculionidae) from Okinawa and Ishigaki Islands https://dx.doi.org/10.1649/0010-065X-77.2.185
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