多くの人が心ひかれる天文現象といえば、三日月と金星が並ぶ様子があげられます。
金星は「明星」と呼ばれるとおり、太陽と月をのぞいて全天でもっとも明るい星です。
そんな輝く星の隣に繊細な三日月が並ぶ姿は、人の心をとらえてきました。
見たら思わず、記録に残したくなるはず。
そこで今回は、三日月と金星の接近の観測情報と、スマホなどで写真に撮るときのポイントについて紹介します。
目次
- 4月23日は三日月と金星が接近!
- 三日月と金星の接近をキレイに撮るコツは?
4月23日は三日月と金星が接近!
人の心をとらえる天文現象
アクセサリーをはじめ、トルコやパキスタンの国旗など、さまざまなデザインで使われてきた三日月と星が並ぶ様子。
その美しさは、創作者はもちろん、見る人の心をとらえてきました。
星はたくさんあるので、三日月と星の並びはさまざまなバージョンがありますが、もっとも輝く星といえば、金星です。
よって三日月と金星のセットは、三日月と星の並びの中でベストといえるでしょう。
いつ見える? 時間や方角は?
地球の内側をまわる水星と金星は、ほかの惑星のように高度が上がらず、日没後か日の出前の短い時間しか見ることができません。
でも、現在の金星は、日に日に高度を上げており、観測しやすい時期になっています。
金星と三日月が接近するのは4月23日。日没後1時間である19時30くらいでも、金星の高度は20°ちょっとあります。かなり高い建物に囲まれてなければ、見ることができます。
ただ、金星は明るい星なので空が薄明るいうちから見えるため、早めの時間から観測するのがおすすめです。高度も高いので見つけやすいと思います。
日の入り時間は18時20分(東京都)なので、19時50分頃から見てみてはいかがでしょうか。
なお余談ですが、26日に月と火星の接近も見えます。
ただ、火星は昨年末に地球に接近したときからだいぶ離れていっているので、現在の明るさは1.3等級と普通の星と同じくらい。そこまで印象的なものではないでしょう。
三日月と金星の接近をキレイに撮るコツは?
スマホにしろ、カメラにしろ、悩ましいのが、月と星を同時にきれいに撮るのは難しいということ。天体の明るさが違いすぎるんですよね。
暗いものを明るく写すには、主に「ISOの数字を大きくする」「シャッター速度を遅くする」ことで調整します。
でも、たとえば満月を撮るときに、月にフォーカスして「餅をつくウサギの模様」まで写そうとすると、周りの星はまったく写りません。
反対に星空を撮ることにフォーカスすると、月の形はぼやけて明るい発光体になっちゃいますよね。
シャッター速度の違いによる月と星の写り方の違い
こちらは三日月と木星、金星の並びをとったもの。
木星と金星は普通の星よりかなり明るいので、ちゃんと写ってくれますが、それでも三日月のシャープな形にあわせると星の印象が薄くなります。ちなみに、シャッター速度は1/8秒です。
星に合わせてシャッター速度を2秒に。三日月の明るさが強調され、実際に見るより太くなってしまってしまいました。
空が真っ暗にならないうちからの撮影がおすすめ
つまり、月と星を一緒に撮るには、明るさの差がなるべくないことが望ましいです。
金星はときに昼間でも見えるほど明るく、月の明るさともっとも差がない星なのでベスト。さらに、なるべく細い三日月だと最高です。
天文学的には、「三日月」は新月の次の日から数えて3日目ですが、一般的には6日目くらいまでを三日月と呼んでいますよね。
今回の三日月と金星の接近の月は「三日月」にみえますが、実際は新月から4日目の月(月齢2.9)です。
三日月としては細い方ですが、空が暗くなるにつれて肉眼で見るより太く撮影されてしまうため、周りがまだ薄明るいときから撮るようにしましょう。
背景となる風景を入れよう
最後に構図ですが、比較となる風景が入ったほうがキレイな写真になります。
背景に山やビル群をいれて、撮影してみましょう。これは今回の三日月と金星の接近に限らず、月だけを撮るときも同じです。
4月は「ピンクムーン」でしたが、毎月の満月のときに撮影をする方も多いですよね。
次の満月、5月6日は「フラワームーン」なので、写真を撮ろうと思っている人は試してみてください。
参考文献
ASTROGUIDE 星空年鑑2023 https://www.amazon.co.jp/dp/4048997122 国立天文台 ほしぞら情報 月が金星、火星に接近 https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/04-topics03.html