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ChatGPTなどの言語モデルに仕事を奪われる危険性がある職業ベスト20


以前から、AIが人間の仕事を奪うのではないかと懸念されてきました。

実際、「AIに仕事が奪われやすい職業リスト」などを目にしたことがあるでしょう。

そして最近では特に、ChatGPTのような言語モデルが飛躍的に進歩しています。

そこでアメリカ・プリンストン大学(Princeton University)に所属するエドワード・フォルテン氏ら研究チームは、言語モデルによって影響を受けやすい職業リスト ベスト20を作成しました。

そのリストによると電話勧誘業者(テレマーケティングする人)や教師たちは影響を受けやすく、もしかしたら仕事を奪われるかもしれません。

研究の詳細は、2023年3月1日付でプレプリントサーバー『arXiv』に公開されています。

目次

  • ChatGPTブームによりAIに仕事が奪われる!?
  • 言語モデルの影響を受けやすい職業ベスト20

ChatGPTブームによりAIに仕事が奪われる!?

現在、人々は様々な分野でAIの力を目の当たりにしています。

AIが機械を操縦したり、事務的な手続きを行ったりします。

またネット上にはAIが生成した画像が溢れています。

医療などの分野でも、脳や体内の画像データからAIが病気を発見するような研究が進められているのです。

AIに仕事が奪われる人が出てくるかも
Credit:Canva

そのため、いくつかの職業では、将来AIに仕事が奪われてしまうと考えられています。

例えば、警備員、タクシー運転手、銀行員、倉庫作業員、ホテルのフロントや受付係などは、「AIに仕事が奪われるリスト」によく掲載されています。

とはいえ、AIの影響を受ける職業は、AIの分野や発展の仕方によって大きく異なります。

タクシーの運転手が気にするのは、自動運転AIであり、画像生成AIではないのです。

そこで今回、フォルテン氏ら研究チームは、現在急速な進歩がみられるAI「言語モデル」に着目しました。

特に会話向け言語モデル「ChatGPT」は、2022年11月にリリースされて以来、世界中でブームになっています。

ChatGPTのような言語モデルにブーム到来。爆発的に利用されている
Credit:Canva

ChatGPTが自ら情報収集して生成する文章は「人間が書いた文章と見分けがつかない」ほど秀逸です。

そしてChatGPTを含む言語モデルは、今後さまざまな職業に大きな影響を与えると予想されます。

そのため研究チームは、以前フェルテン氏が開発したAI職業曝露測定ツールを使用し、「言語モデルが影響を与える職業ベスト20」を作成することにしました。

彼らは、10の言語モデル・アプリケーション(画像生成、画像認識、読解、翻訳、音声認識など)を測定ツールに適用。

また、アメリカ合衆国労働省の下で開発され、800以上の職業を説明するために用いられる「職業情報ネットワーク」のデータベースから得られた52の人間の能力(口頭理解、口頭表現、帰納など)を関連付けました。

その結果、言語モデルの影響を受けやすい職業の最新版が提出されました。

言語モデルの影響を受けやすい職業ベスト20

測定ツールは次の結果を提出しました。

以下は、ChatGPTなどの言語モデルの影響を受けやすい職業ベスト20です。

  1. 電話勧誘業者(Telemarketers)
  2. 英語(国語)と英文学の教師(English language and literature teachers)
  3. 外国語と外国文学の教師(Foreign language and literature teachers)
  4. 歴史の教師(History teachers)
  5. 法律の教師(Law teachers)
  6. 哲学と宗教の教師(Philosophy and religion teachers)
  7. 社会学の教師(Sociology teachers)
  8. 政治学の教師(Political science teachers)
  9. 刑事司法と法執行機関の教師(Criminal justice and law enforcement teachers)
  10. 社会学者(Sociologists)
  11. ソーシャルワークの教師(Social work teachers)
  12. 心理学の教師(Psychology teachers)
  13. コミュニケーションの教師(Communications teachers)
  14. 政治学者(Political scientists)
  15. 文化研究の教師(Cultural studies teachers)
  16. 仲裁人、調停者(Arbitrators, mediators and conciliators)
  17. 裁判官(Judges, magistrate judges and magistrates)
  18. 地理の教師(Geography teachers)
  19. 図書館学の教師(Library science teachers)
  20. 臨床心理医、カウンセリング、学校心理学者(Clinical, counseling and school psychologists)

このリストによると、ChatGPTなどの言語モデルによって影響を一番受けやすい職業は、電話勧誘業者でした。

言語モデルの影響を一番受けるのは「電話勧誘業者」だった
Credit:Canva

電話勧誘業者は電話をかけて商品やサービスを紹介したり販売したりしますが、優秀なAIなら自動的その業務を行ってくれる可能性があるのでしょう。

確かにAIであれば、電話をかけ続たり、かかってくる電話に対応し続けたりしても疲れることがなく、ひたすら商品の魅力を説明できますね。

さらにリストでは、文系の教師たちも言語モデルの影響を受けやすいと分かります。

AIチャットボットは既に「膨大なデータから教え、質問に答える」ことを可能にしています。

このことを考えると、教科書に書かれていることを教えたり、質問に答えたりする教師は、その仕事を奪われやすいのかもしれません。

教師もAIに仕事を奪われるリスクが高い
Credit:Canva

また「教師が出した宿題をChatGPTにやらせる」という事例も出ており、言語モデルは既に教育の分野に大きな影響を与えているようです。

では、これらのリストに記されている職業は近い将来無くなってしまうのでしょうか?

必ずしもそうとは言えません。

研究チームはこのリストについて、「言語モデルの影響を受けやすい職業のリスト」と述べており、「言語モデルが人間に取って代わるのか」もしくは「人間の仕事を増強するのか」を明言していません。

そのため今後は、これらの職業に携わる人々がAIをどのように活用するかが大きな分かれ道となるでしょう。

それらの人たちはChatGPTなどのAIを「自分の代わり」ではなく、「効果的な道具」として活用できることを示すべきなのです。

実際2023年3月には、コロンビアの裁判官が、自閉症の子供が関与するケースで、ChatGPTを利用して素早く資料を調査し、正しい判決に導くことができました。

今回の研究は言語モデルの分野でしたが、今後はあらゆる分野でAIブームが次々と押し寄せるでしょう。

その時、さらに多くの職業は、「AIに仕事を奪われるか」それとも「AIを上手に使うか」という試みに遭うはずです。

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参考文献

The 20 jobs most at risk as the AI boom continues: Is YOUR occupation on the list? https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11828001/The-20-jobs-risk-AI-boom-continues-occupation-list.html These 20 jobs are the most “exposed”to AI, ChatGPT, researchers say https://www.cbsnews.com/news/jobs-chatgpt-occupations-industries-exposed-teacher-telemarketer/

元論文

How will Language Modelers like ChatGPT Affect Occupations and Industries? https://arxiv.org/abs/2303.01157
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