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Microsoft研究チームがChatGPTを使用し「言葉で指示してロボット制御」に成功!


人工知能を研究する団体「OpenAI」が開発した会話型AI「ChatGPT」は、人間の話し言葉で指示を理解し回答できることで話題になっています。


「ChatGPT」の能力は非常に高く、現在人間の依頼に基づいて作曲したりプログラミングコードを書くなど会話意外でもさまざまな利用成果が報告されています。


そして最近では、Microsoftの研究チームが、ChatGPTを使うことで、ロボットに人間の言葉で指示を与え、その通りに制御できたことを報告


一般的に、ロボットを動かすにはプログラマーの存在が欠かせません。


しかしこのシステムを用いると、専門知識のない人がただ人間の言語で指示するだけで、「ドローンが障害物を避けて飛ぶ」「ロボットアームが積み木をする」などの制御を達成できるのです。


研究の詳細は2023年2月20日付で、Microsoftのブログ技術論文(PDF)で発表されました。




目次



  • プログラマーが人間の言葉を翻訳してロボットに伝えている
  • ChatGPTを使用してロボットに人間の言葉で指示できる

プログラマーが人間の言葉を翻訳してロボットに伝えている


ロボットは「人間の言葉」を受けても理解・行動できない
Credit:Canva

ロボットは人間の言葉を理解できません。


そのためロボットに人間の言葉で「電子レンジで弁当を温めて」と指示しても、私たちの意図通りに動くことはありません。


そこで活躍するのがコンピュータ言語に翻訳する「プログラマー」です。


プログラマーは膨大なプログラミングコードを書くことで、人間の言葉に対してどのように動くべきなのか逐一教えているのです。


実際、上記の簡単な指示をロボットにこなしてもらうには、プログラミングによって「弁当や電子レンジを識別する方法」「弁当のつかみ方・つかむ力の程度」「電子レンジの扉の開け方」「電子レンジの使い方」などをコードですべて指示しなければいけません。


ロボットに指示するには「プログラムコード」を書く必要がある
Credit:Canva

当然、全てがコード頼りのロボットは、人間のように融通が利かず、事前にプログラミングされていないことは行えません。


例えば、皿を洗うようプログラムされた家事ロボットアームが開発されたとして、そのロボットアームに「握手して」という簡単な指示を投げかけたとしても、実行できないでしょう。


改めてプログラマーを雇って、「握手の意味」つまり「片方の腕を伸ばして手を開いて……」などとコンピュータ言語で逐一教えなければいけないのです。


これが今のロボットの限界であり、人間がロボットを制御するときの大きな壁となっています。


しかしMicrosoftの研究チームは、この壁をAIで崩そうとしており、新しい報告で部分的に成功したと述べています。


ChatGPTを使用してロボットに人間の言葉で指示できる


冒頭で、会話型AI「ChatGPT」は、文章を書くだけでなく、作曲したりプログラムを書いたりできるとお伝えしました。


つまり、大雑把に言うと、ChatGPTはプログラマーの代わりになるのです。


プログラマーではなく、ChatGPTが人間の言葉を受けてプログラムを書く
Credit:Microsoft_ChatGPT for Robotics: Design Principles and Model Abilities(2023)

そこでMicrosoftの研究チームは、ロボットを動かすためのプログラミングコードをChatGPTに書かせることにしました。


そしてChatGPTとロボットを一体化すれば、これまで「人間の指示 → プログラマー → ロボット」という面倒な流れだったのが、「人間の指示 → ロボット」という直接的なやり取りへと変化します。


つまり、ある意味「人間の言葉を直接理解し、行動できるロボット」が誕生するわけです。


では、これに取り組んだ実験では、どの程度のことが行えたのでしょうか?


実物のドローンが指示に基づき、ヘルシーな飲み物(ココナッツウォーター)を発見
Credit:Microsoft Autonomous Systems &Robotics Research(Youtube)_ChatGPT + Real Drone(2023)

例えば、ChatGPTに「喉が渇いたから飲み物を見つけて」「ちょうどジム帰りだからヘルシーなものにして」というテキストを打ち込むと、実物のカメラ付きドローンは、室内を飛行し該当するココナッツウォーターをカメラに収めて報告できました。


また、シミュレーターの中でも、ドローンが「障害物を避けながら飛行して」という指示を実行できました。


ChatGPTが「障害物を避けて飛ぶアルゴリズム」を作成。シミュレーション内でその通りにドローンを飛行させる
Credit:Microsoft Autonomous Systems &Robotics Research(Youtube)_ChatGPT –Aerial Obstacle Avoidance(2023)

さらに実物のロボットアームを使ったテストでは、「青いブロックを緑の容器に投げ入れて」という指示を理解し、実行できました。


加えて、「Microsoftのロゴを白いパットの上にブロックで作って」と伝え、それぞれのブロックの配置を指示すると、ロボットアームはその通りにロゴを作成できました。


実物のロボットアームが人間の指示で「Microsoft のロゴ」をブロックで作成する
Credit:Microsoft Autonomous Systems &Robotics Research(Youtube)_ChatGPT + Manipulation(2023)

限定的ではあるものの、人間の言葉だけで直接ロボットを制御できたのです。


ちなみにChatGPTは、人間の指示が曖昧だった場合に、質問をして具体的な動作を導き出そうとします。


例えば、「飲み物が欲しい」という指示に対しては、「どんな種類の飲み物をお探しですか?」と尋ねてくるのです。


こうしたやり取り自体は、AIとのチャットでは珍しくありません。


しかし、これでロボットの行動が実際に変化するというのは特筆すべきことです。


ロボットの行動を修正したい場合も、そのことを人間の言葉で伝えるだけで、ChatGPTがプログラムを修正してくれるようです。


「ロボットを人間の言葉だけで制御できる」ことを部分的に実証した
Credit:Canva

まさに従来のロボット制御の壁を越えた、新たなシステムが誕生したと言えます。


もちろん、この研究は初期段階にあり、今後も多くの改良と研究が必要とされています。


また一部の科学者が指摘するように、「ロボットの制御をAIに任せてしまうリスク」についても、今後深く考慮しなければいけません。


「AIがプログラムを書いてロボットを制御する」という今回の研究は、人類の将来を大きく変えてしまう可能性さえ秘めています。





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参考文献

ChatGPT for Robotics: Design Principles and Model Abilities
https://www.microsoft.com/en-us/research/group/autonomous-systems-group-robotics/articles/chatgpt-for-robotics/

元論文

ChatGPT for Robotics: Design Principles and Model Abilities(PDF)
https://www.microsoft.com/en-us/research/uploads/prod/2023/02/ChatGPT___Robotics.pdf
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