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水分を感知する「スマートオムツ」を開発!不要の声が多くともセンサー自体は有望


スマホから操作ができるスマート家電や、自身の体の情報をセンサーがキャッチしてくれるスマートウォッチなど、IoTの進化は日々進んでいます。

そんな中、2022年12月30日に American Chemical Societyに掲載されたオムツ濡れをスマホにお知らせする「スマートオムツ」が話題を集めています。

これは河北工科大学のシュエ・チェン氏らの論文で発表された新たなセンサーの使用例の一つですが、ネット上では本当に必要なのか議論が白熱しています。

しかし実は注目すべきはそのセンサーそのものです。

この記事では、スマートオムツに使われているセンサーの仕組みと、幅広い使い道についてご紹介します。

目次

  • オムツ濡れを検出してお知らせする「スマートオムツ」
  • スマートオムツのセンサーはオムツ以外でも活躍する

オムツ濡れを検出してお知らせする「スマートオムツ」

水分を感知するセンサーをオムツに
credit:DailyMailOnline

オムツ濡れを感知するのに使われるセンサーは塩化ナトリウム水溶液を染み込ませた紙に鉛筆で手書きされた回路と小さなリチウム電池と繋がってできています。

乾燥した状態では紙の回路に電気は流れませんが、水に濡れると塩化ナトリウムが溶けて電離し、鉛筆で描かれたグラファイトの回路に電気が流れるという仕組みです。

センサーが反応するとスマートフォンにお知らせが行くため、赤ちゃんがオムツ濡れの不快感を感じて泣く前にオムツを替えることができるといいます。

濡れる量が多くなるほど塩化ナトリウムが電離する量が増えて電気が多く流れるため、このセンサーは水分量も感知でき、「オムツが濡れているかどうか」だけでなく「オムツがどれくらい濡れているのか」も把握することができます。

介護分野の有効活用にも期待

介護の現場(イメージ)
credit:フォトAC

このセンサーを用いたスマートオムツは赤ちゃんに対してはもちろん、お年寄りの介護の際にも活躍します。

特に介護施設では、施設員に対して数人の要介護者のオムツの状況を確認しておかなければならないため、それらがスマートフォンに通知されると無駄なく動くことができるでしょう。

とはいえ、赤ちゃんと母親のように1対1の場面には必要ないのでは? というネガティブな声もあります。

必要ないとのコメントも…

不敵に笑うオムツ姿の赤ちゃん
credit:Pixabay

海外のスマートオムツに対する反応を見てみると「必要ない」という声が大半を占めていました。

理由としては「親ならオムツが濡れたかどうかくらいセンサーがなくてもわかる」「そもそも今のオムツには同様の機能がある」といったものです。

確かに、今売られている紙おむつの多くには濡れたら色が変わる部分がありますし、オムツのポリマーの触り心地で濡れているかどうかはすぐにわかります。

また、私自身3人の子どもを育ててきましたが、そもそも赤ちゃんと生き物は意外にも「オムツが濡れているという理由だけで泣く」ことはほとんどなく、「眠い」「お腹が空いた」といった理由がプラスされて初めて泣きます。

今や紙オムツの性能は進化していて、ちょっとやそっと濡れたぐらいでは赤ちゃんもそれほど不快ではないようです。

このため、オムツの濡れをいち早く感知できたとして、それほど世話がラクになるようには思えません。

しかしあくまでもスマートオムツは、この優秀なセンサーの使い道の一例に過ぎなかったのです。

スマートオムツのセンサーはオムツ以外でも活躍する

水分感知センサーの使い道は様々
credit:Guangyu Niu et al.,Nano Letters(2023)

スマートオムツのセンサーについては河北工科大学のシュエ・チェン氏らの論文に書かれていますが、論文の中にはオムツ以外にもセンサーの応用例が多数書かれています。

わずかな水分をその水分量まで感知することができる薄く小さなセンサーは様々なものに応用可能であるようです。

フェイスマスクにつけて呼吸状態をチェック

介護時の体調管理が容易になるかも
credit:Pixabay

このセンサーをフェイスマスクに付けることで、水分量やその推移から呼吸状態を知ることができます。

深呼吸、規則的呼吸、急速呼吸の3つが把握できるようになることで、肺炎の予測などにつながるほか、心臓発作などもいち早く気付けるようになるのです。

呼吸状態に異常があればすぐにスマートフォンに通知が行くため、こういったリスクを抱えた人が多い介護施設では活躍が期待されています。

非接触スイッチの開発につながる

コロナ禍で必要性が叫ばれている非接触スイッチ
credit:フォトAC

コロナ禍で新たな感染対策の一つとして注目されている非接触のスイッチやタッチパネルにもこのセンサーが有効だと言います。

このセンサーなら指から拡散するわずかな水分子に反応することができるため、接触しなくてもボタンを押すことができるのです。

水分を厳密に感知できるセンサーの使い道は無限大

水を感知できればできることがたくさん
credit:Pixabay

スマートオムツに対しては「テクノロジーの無駄遣い」といった厳しい声も聞かれましたが、このスマートオムツに使われている水分を感知するセンサーはシンプルな構造かつ高性能な感知能力を持ち様々な事象に応用が効くものです。

特に人の手が足りていない介護領域においては、スマートオムツとしての利用もフェイスマスクを使った健康チェックとしての利用も非常に大きな業務効率化に繋がると感じています。

私たちにとって最も身近とも言える「水分」を感知するセンサーですから、近い将来様々な形で私たちの生活にも関わってくるかもしれませんね。

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参考文献

No more crying babies! Scientists develop a smart NAPPY that sends an alert to your smartphone when it needs changing https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11710393/Smart-NAPPY-sends-alert-smartphone-needs-changing.html

元論文

Pencil-on-Paper Humidity Sensor Treated with NaCl Solution for Health Monitoring and Skin Characterization https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.nanolett.2c04384
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