女性にとってのアナルセックスについて調査した真面目な研究があります。
それが米国のインディアナ大学(Indiana University)で2022年に行われた研究で、女性がどのように肛門で快楽を得ているかを、女性の視線から解明する史上初の試みが行われました。
研究ではこれまで定義されてこなかった、3種類の肛門へのアプローチ(表面刺激・挿入・複合技)が特定され、それぞれのアプローチを経験した割合と評価、具体的な技法、経験した経緯に至るまで細かな分析が行われています。
研究者たちは、調査によって得られた情報は、人々が自らの快楽に対する主権を確立し、社会的・医学的に汚名を着せられがちなアナルセックスへの参加や動機付けを「正常化」するために不可欠であると述べています。
研究内容の詳細は2022年6月29日に『PLOS ONE』にて掲載されました。
目次
- 女性が肛門でどのように快楽を感じるかを性科学的に解明!
女性が肛門でどのように快楽を感じるかを性科学的に解明!
アナルセックスは古くは旧約聖書にもその存在の影が記されています。
ソドムの町が天罰を受けた理由の1つにはアナルセックスに代表される「ソドミー」と呼ばれた「不自然」な性行為を行った罪があげられているからです。
また過去10年間で行われたさまざまな研究では、女性の約3分の1が生涯に1度は肛門にペニスを受け入れた経験があることが示されています。
これらの事実は人類にとってアナルセックスが太古の昔から現在に至るまで、かなりの人気がある性行為の形態の1つであることを示します。
しかし、これまで行われたアナルセックスにかかわる研究の多くは、ペニスの挿入に関連する医学的なリスクを調べたものであり、女性を中心とした視点に欠けていました。
そのため女性が積極的にさまざまな技術を探したり、技術間で快楽がどのように異なっているかについては、不確かな経験や噂に頼らざるを得ませんでした。
そこで今回、インディアナ大学の研究者たちは、18歳から93歳までの米国人女性3000人以上を対象にしたサンプルを使い、女性視点でのアナルセックスを調査することにしました。
調査にあたってはまず、肛門に対するアプローチを方法別に3種類にわけて定義し
①肛門の表面に対する刺激を「アナルサーフェシング」
②肛門への浅い挿入をともなう刺激「アナルシャローイング」
③肛門への挿入と性器など他の刺激を同時に行う複合刺激「アナルペアリング」
と命名しました。
肛門に対する刺激手段に対して学術的な定義付けを行ったのは、本研究が世界で初めてとなっています。
定義付けを行った理由として研究者たちは「物事を表す言葉がなければ、語ることもできない」からであると述べています。
定義付けが終わると、各方法に対する被験者たちの実情が調べられました。
結果、約40%女性が肛門表面への刺激に快感を覚え、約35%の女性は肛門への浅い挿入を快感と感じ、約40%の女性は肛門への挿入と性器など他の刺激を同時に行うことを快感であると報告しました。
またそれぞれの手法の発見過程において分析を行ったところ56%の女性は、はじめて試みたときに、(①の方法である)肛門表面への刺激が楽しいと思っていませんでしたが、時間の経過とともに楽しめるようになったと報告。
同様に現在、(②と③に該当する)肛門への挿入を楽しんでいる女性でも68%は最初は楽しめていませんでしたが、時間の経過により楽しめるようになったようです。
さらに40%の女性は、肛門の快楽を発見する際の重要な要素として、肛門に触れようとしてくるパートナーとの感情的なつながりを指摘しました。
一方で14%の女性は、肛門の気持ち良さをマスターベーションの最中に自力で発見したことが示されました。
なお肛門への刺激が楽しいことにはじめて気付いた年齢を調べたところ14歳から72歳となっており、発見の平均年齢は27歳となっていました。
この結果は、肛門への刺激に目覚めるのに年齢は関係ないことを示します。
研究者たちは今回の研究によって得られた情報を利用することで今後、幅広い女性にアナルセックスの楽しみを発見するキッカケになると述べています。
※この記事は2022年7月に掲載したものを再掲載しています。
参考文献
New study on women’s anal pleasure shows there’s so much more than penetration
https://www.eurekalert.org/news-releases/957479
元論文
Women’s techniques for pleasure from anal touch: Results from a U.S. probability sample of women ages 18–93
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0268785
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部