幾何学おもちゃ「オロイド(英訳:Oloid)」は、シンプルでありながら不思議な形をしているオブジェクトです。
平らな地面でオロイドを転がすと、全ての面が地面に接するという特徴があります。
昔から数学者たちに愛されてきた物体であり、最近でも、アメリカ・ミネソタ州を拠点とする会社「マターコレクション」が、手のひらサイズのオロイドを発表しています。
ここでは、不思議物体「オロイド」の特徴について解説します。
目次
- 尖っているのにスムーズに転がる物体「オロイド」
尖っているのにスムーズに転がる物体「オロイド」
オロイドとは、ドイツの彫刻家または数学者だったパウル・シャッツ氏によって、1929年に発見された幾何学的な物体です。
通常の生活ではめったに見かけない不思議な形をしていますが、構造自体は非常にシンプルです。
オロイド構造は、同じ大きさの円盤2つで成り立っています。
半径が等しい2つの円盤が直交しており、それぞれの円の中心がもう一方の円の外周と重なるよう設計されているのです。
あとは円盤のふちから円盤のふちへと無数の直線でつなぐように立体化すれば、3次元のオロイドが完成。
こうして作られた一風変わった立体であるオロイドにはいくつかの特徴が備わっています。
まず、尖った形をしているにもかかわらず、少しの力を加えるだけで、ボールのように滑らかに、しかもまっすぐに転がります。
そして平面を転がる際、オロイドの重心は蛇行運動します。
通常、ボールや円柱が転がるときには、その重心は変化せず、進行方向に向かって直線運動しています。
しかし転がるオロイドの重心は一定ではありません。転がりながら左右に絶えず変化するのです。
またオロイドが平坦な地面を転がるとき、オロイドの全ての表面が地面(転がる平面)に触れるという特徴があります。
下の動画では、その様子が視覚的に再現されています。
それゆえ、オロイドが接した面を塗りつぶしていけば、簡単にオロイドの展開図がつくれます。
実際にネット上では、オロイドの展開図がいくつもシェアされているほど。
紙に印刷して切り取り、組み立てるなら、簡単にオロイドを再現できるでしょう。
思考力を刺激する不思議なおもちゃとして、子供に組み立ててもらえるかもしれませんね。
もちろん、大人にとってもオロイドは魅力的なオブジェクトです。
例えばマターコレクション社が生産しているオロイドは手のひらサイズであり、アルミニウム合金、ステンレス銅、真ちゅうなどで作られています。
洗練されたフォルムと見た目から、知的なオブジェクトとして飾っておきたい人も多いでしょう。
※この記事は2022年6月に掲載したものを再掲載しています。
参考文献
The Mega Oloid: Geometric perfection into a colossal artwork
https://www.kickstarter.com/projects/mattercollection/the-mega-oloid-a-colossal-edition-of-the-famous-oloid-shape?
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。