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朝のパフォーマンスを高める「最高の目覚まし音」とは?


朝の目覚めの質は、当日のパフォーマンスに大きく影響します。オーストラリアの認知研究者スチュアート・マクファーレン氏は、特定の条件を持つ目覚まし音が目覚めを改善することができると発表しました。彼の研究によれば、500Hz前後の周波数を持つメロディックな音楽が、起床後の眠気を軽減し、認知機能を向上させる効果があるとしています。理想的な目覚まし音の特徴は、口ずさめるメロディ、適度なテンポ(BPM100-120)、そして年齢に応じた音量調整です。マクファーレン氏は、これらの条件を満たした音を開発し、その効果を確認しています。しかし、根本的な睡眠習慣の改善も併せて考慮すべきです。

朝、多くの人は眠気と戦いながら、なんとかベッドを抜け出します。

「もっとすっきり目覚められたらいいのに」と感じることは多々あるでしょう。

オーストラリア・ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の認知研究者、スチュアート・マクファーレン氏は、朝の目覚めを改善する「優れた目覚まし音」があると言います。

しかもマクファーレン氏は、以前に行われた研究の中で、起床後のパフォーマンスを向上させるメロディを実際に作り上げているのです。

本研究の詳細は、2020年5月29日付の学術誌『Clocks &Sleep』に掲載されています。

目次

  • 目覚めは「朝のパフォーマンス」に影響する
  • 「目覚ましの音」と「音色」が覚醒を助ける
  • 最高の目覚めが可能に!?科学者が生み出した「目覚まし音」

目覚めは「朝のパフォーマンス」に影響する

いつまでも眠気を引きずるような「寝起きの悪い状態」は、単にその人の気分に影響を与えるだけではありません。

眠気による「認知機能の低下」が、場合によっては起床後数時間続くこともあるのです。

通勤で車を運転する人が多いことを考えると、これは大きな問題だと言えるでしょう。

起床後の認知機能の低下はトラブルを招く
起床後の認知機能の低下はトラブルを招く / Credit:Depositphotos

では、どうすればすっきりとした目覚めが可能になるのでしょうか?

脳の覚醒(目覚め)は、複雑な生物学的プロセスによって生じているので、そこにアプローチをかける必要があります。

たとえば科学者たちは、これまでの研究で、「脳の血流が覚醒に関係している」ことを発見しています。

過去の研究(NIH, 1997)で、起床後の脳の血流活動が、就寝前に比べて低下していると判明したのです。

また、起床時の「睡眠の段階」も覚醒に影響を与えていました。

私たちは浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)を繰り返しており、浅い睡眠の段階で目を覚ますと、眠気を感じずにすっきりと目覚められます。

さらに、年齢によっても目覚め方に違いがあります。

では、覚醒に関係するこれらの要素を踏まえると、どのようにして目覚めを改善できるでしょうか?

「目覚ましの音」と「音色」が覚醒を助ける

覚醒には、脳の血流・睡眠の段階・年齢が関係していると指摘しました。

科学者たちは、これらを目覚まし音(アラーム)によっていくらか調整できると考えています。

そして研究が進むにつれて、徐々に「ある種のアラームが起床後のパフォーマンスにプラスの影響を与える」という証拠が集まってきました。

たとえば、マクファーレン氏による別の研究(Clocks &Sleep, 2020)では、500Hz前後の周波数の音が、2000Hzよりも幼児を目覚めさせるのに効果的だと分かりました。

マクファーレン氏は、この効果が大人にも当てはまると推測しています。

一例をあげますと、500ヘルツは男性の穏やかな声で、1000ヘルツは女性や小型犬の声、2000ヘルツ以上は警報音や赤ちゃんの鳴き声などです。

※以下のサンプル音声は、イヤホンでの視聴をおすすめします。音量にご注意ください。

 

また、アラームのメロディも起床後の眠気の程度に影響を与えると判明。

「ピーピー」「ピピッピピッ」といった単純なアラームの音よりも、口ずさみたくなるような曲調の方が、眠気を感じることが少なかったのです。

他の研究でも同様の結果が出ており、そこでは「ポピュラーな音楽が短い昼寝からの覚醒に適している」と言われています。

ちなみに、リスナーが個人的に好きな音楽であればあるほど、覚醒の効果は高まったようです。

たとえばマクファーレン氏は、ジャクソン5の「ABC」のような曲が目覚めに効果的だと述べています。

さらに年齢によって覚醒に必要な音量は異なると分かっており、これは単純にアラームの音量を上下することで調整可能です。

さて、マクファーレン氏は、これらの要素を踏まえて、目覚めを改善する独自のアラームを開発しました。

最高の目覚めが可能に!?科学者が生み出した「目覚まし音」

マクファーレン氏が提案する「目覚めを改善して起床後のパフォーマンスを向上させるアラーム」の条件は次にまとめられます。

  • 簡単に歌ったり口ずさんだりできるメロディ
  • 周波数が500Hz前後
  • 速すぎず遅すぎないテンポ。1分間に100~120拍(BPM100-120)が理想
  • 若い人はアラームの音量を大きくする

これらをできるだけ意識したアラームにするなら、目覚めが改善されるかもしれません。ぜひ試してみてください。

そしてマクファーレン氏は、研究の中で「目覚めを改善させるメロディ」をつくりました。

そのサンプルがこちらです。

その独特なメロディはYouTubeに投稿されており、ダウンロードサービス「Bandcamp」から購入することも可能です。

マクファーレン氏によると、一般的な「ピーピー音」のアラームよりも起床後のパフォーマンスを大幅に向上させるのだとか。

目覚めが悪くて悩んでいる方は、このメロディをアラームに設定すると良いかもしれません。

とはいえ、寝る前についついスマホをいじって睡眠不足になっているのであれば、まずはその習慣から改善する方がよさそうです。

スッキリと目覚めて、1日のはじまりをさわやかなものにしましょう。

全ての画像を見る

参考文献

Is there such a thing as the perfect alarm tone? We think so (and this is what it might sound like)
https://theconversation.com/is-there-such-a-thing-as-the-perfect-alarm-tone-we-think-so-and-this-is-what-it-might-sound-like-178902

元論文

Auditory Countermeasures for Sleep Inertia: Exploring the Effect of Melody and Rhythm in an Ecological Context
https://www.mdpi.com/2624-5175/2/2/17

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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