猫にとってかぼちゃは安心できるお野菜なの?
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カボチャの原産はアンデス山脈の高地、大型のかぼちゃのほとんどはここが原点で、現在日本のスーパーでよく見かけるのは、西洋カボチャといわれる種類です。
人にとって大切な栄養素を含むかぼちゃですが.......
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人が食べる場合は、栄養のバランスが偏らないように「肉とか野菜をバランスよく食べなさい!」ってよく言われますが、猫にとってカボチャなどの栄養素は本当に必要で大丈夫なんでしょうか?
そもそも知っておこう!カボチャの栄養のこと
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まず顕著なのが食物繊維で、可食部100グラム中2.8グラム、次いでビタミンB1/B2、ビタミンCなどで、他にもビタミンEなど栄養豊富な食べ物であることは間違いないです。
しかし通常は煮て柔らかくしますから、生では非常に硬いので、猫が生のカボチャを食べようとはまず思わないでしょうね。煮て柔らかく良い匂いがしていると、猫も関心を持つかもしれません。
でも、だからって積極的に与えるのはちょっと大丈夫じゃないみたいです。
猫と食物繊維
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食物繊維には不溶性繊維と可溶性繊維の2種類があり、不溶性食物繊維は糞の量を増やすことが出来ますから、雑食性の動物では腸の働きを促進できます。しかし猫にはかえって便秘を引き起こしやすいと言われます。お腹がパンパンになったり、ガスがたまっておならなどが出る事になります。
一方の可溶性食物繊維は、オオバコの種皮とか種子に含まれる成分で、強い水分保持力で消化管の中の内容物の粘りを強めて、糞として排出力を高めることが出来ます。
カボチャは可溶性食滅繊維が含まれています。従って便秘の心配はとりあえず心配なく大丈夫ということになります。
カボチャに含まれる食物繊維は、消化吸収されて栄養になるのではなく整腸作用を持つといわれます。
消化器官は通常食べたものをゆっくりと移動させ、消化管内で栄養を充分に吸収しようとします。ところがこれが遅すぎると、便秘などの症状を引き起こすんですね。
かぼちゃは可溶性食物繊維。だから猫にあげても大丈夫?
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しかしながら、カボチャが本当に猫にとって大丈夫かどうかは、可溶性食物繊維だけではまだ足りないのです。この食物繊維は大腸内の乳酸菌やビフィズス菌などの食べ物で、それで発酵し、ようやっと腸内環境を整えてくれます。
サルモネラ菌や大腸菌は食物繊維を利用しないため、要はこの「善玉菌」の存在がまずなければならないということです。食物繊維だけ摂取しても大丈夫では無いんですね。
更に詳しく、猫とカボチャの関係
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カボチャなどに含まれる食物繊維は組成が2種類あるのですが、猫の場合、α結合とβ結合のうち猫のもつ酵素ではβ結合を分解できません。これを切断できるのは、腸内にいる善玉菌などの微生物の酵素だけです。
この微生物の酵素を使って分解された食物繊維は、ピルビン酸といわれる物質に変わり、短鎖脂肪酸に置き換わることで宿主の腸内環境を整える事になります。つまり善玉菌は腸の中に住まわせて貰ってる代わりに、腸の消化を助けている共生関係にあるわけです。
この事を思えば、幼い猫では腸内善玉菌は未発達の可能性が高いので、カボチャなどの食物繊維は与えても大丈夫じゃないとわかりますよね?
結局、猫にとってお野菜はあんまり必要じゃありません
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やっぱり猫にとっての総合栄養食はドライフードで、便秘なども対策フードが市販されてますし、そこでは調整された食物繊維と腸内環境を整える配慮がなされています。
猫は本来が完全肉食動物ですので、人のように野菜から栄養を補わな無くても、またカボチャを含めた野菜を全く食べなくても健康には影響なく大丈夫です。
普段与えるフードが味気ないなら、カボチャは茹でたものを余計な味付けをせずに細かく切って、トッピングで少量振りかければ大丈夫でしょう。
カボチャ以外でも、キャベツやブロッコリー、さつまいもなどを同様にして与えても大丈夫ですよ。