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名称:土佐犬
性格:忍耐力に富み、沈着大胆かつ勇気がある
寿命:10~12歳
体重:60~67kg
体高:55cm〜60cm
毛色:レッド、フォーン、アプリコット、ブラック、ブリンドル
値段相場ペットショップでの取扱いはほとんどなし、ブリーダー30~40万円
土佐犬の性格
日本国内で犬籍の登録や血統書の発行、犬の飼育に関する指導などを行っている一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)によると、土佐犬は古くから日本にいる「四国犬」と洋犬を交配させることによって生まれた闘犬です。
もともとは四国犬が「土佐犬」と呼ばれ、現在の土佐犬は「土佐闘犬」として呼ばれていました。しかし混同されることが多く、区別するために「土佐犬」を「四国犬」に改名したといういきさつがあります。現在では土佐犬といえば土佐闘犬のことを指します。
土佐犬の交配に使われた洋犬は、マスティフ、ジャーマン・ポインター、グレート・デーンなどの闘犬や大型犬です。特にマスティフの特徴が濃く出ていることから、海外では「ジャパニーズ・マスティフ」とも呼ばれています。がっちりとした体つきで、皮膚は噛まれてもケガをしないようたるんでいます。
国内では土佐犬が人を噛んだことによる死傷事件がたびたび報じられるため、危険な犬という印象を持つ人が少なくありません。闘犬として飼育されてきた歴史を持ち、力強さや闘争心が重要視されてきた犬種ゆえに、人を噛んだり暴れたりすると大惨事を引き起こしかねないという一面があります。
しかし事故の原因のほとんどは、ずさんな飼い方によるものです。土佐犬を飼うのであれば、事件事故を防ぐためにも十分にしつけをして管理下に置く必要があります。
土佐犬を制御するには経験や体力が必要です。そのため飼育は難しく、犬を初めて飼う人やしっかりと訓練ができない人では手に余ります。場合によっては飼い主本人も、危険に晒しかねないことを忘れてはならないでしょう。
また、家庭向けの個体を繁殖させているブリーダーから迎えることも重要です。闘犬として繁殖・飼育されている闘争心の強い個体を一般家庭で飼育するのは困難を極めます。
性格は大型犬らしく飼い主に忠実で、多少環境が悪い場所でも適応します。縄張り意識が強いため番犬向きです。ただし、ほかの犬に対して警戒するため、多頭飼いにはあまり向いていません。
土佐犬の平均寿命
土佐犬の平均寿命は10~12年ほどです。大型犬としては平均的といえるでしょう。
土佐犬の平均体重
オス約67kg、メス約60kgほどです。飼う場合は成犬になったときの予測体重を考慮に入れておく必要があります。
土佐犬の平均体高
ジャパンケネルクラブでは最低体高のみが決められており、オスが60cm以上、メスが55cm以上となっています。おおむね60cm程度が平均値だといえるでしょう。
土佐犬の毛色(カラー)
標準とされているカラーはレッド、フォーン、アプリコット、ブラック、ブリンドルで、胸や足に白が入っているものも許されています。現在はレッドの個体が非常に多く、そのほかの毛色はごく少数です。
レッドacceptphoto/shutterstock.com
- レッド
- フォーン
- アプリコット
- ブラック
- ブリンドル
土佐犬が成犬になるまでの期間
土佐犬は大型犬ですので、小型犬や中型犬と比べ成長はゆっくりです。成犬になるまでには約15カ月から18カ月かかります。
※成犬とは身体的な成長が止まることです。
土佐犬の鳴き声
土佐犬は普段は穏やかで吠えることはほとんどありません。ただし鳴き声は太く大きいため、吠えるとかなり響きます。
土佐犬がかかりやすい病気
病名 | 時期や症状 | 治療費 |
---|---|---|
股関節・肘関節形成不全 | 急激に成長することによって骨と筋肉のバランスが崩れ、関節が変形してしまう遺伝性の病気。 | 15~40万円 |
胃捻転 | 胃の中にガスがたまったり、食後に運動したりすることで胃がねじれてしまう病気。 | 10~30万円 |
皮膚炎 | 皮膚に炎症が起こり、湿疹や脱毛といった症状が出る病気。 | 1万円~ |
関節炎 | 加齢や体重増加などにより関節に炎症が起こる。根本的な治療法はない。 | 症状による |
※症状や病院によって金額は変わってきますので、かかりつけの動物病院で確認してください。
犬は気温が22~23度、湿度が60%を超えてきたら熱中症に注意する必要があります。
土佐犬は耐久力があり多少環境が悪い場所でも適応することができますが、過ごしやすい環境を整えてあげるに越したことはありません。
暑い季節は日中の散歩を避け、早朝や日没後など涼しい時間帯にしましょう。散歩中も保冷剤や水分補給用のボトルを携帯するのがおすすめです。また、室内でエアコンを付けずに置いておくことも熱中症を引き起こす原因になります。
真夏でなくても、暑くなりやすい車内や締め切った部屋などに置いておくのは危険です。
土佐犬の体臭
土佐犬は短毛種で比較的お手入れはしやすいものの、皮膚のシワの間の汚れや口の周りにつくよだれのケアを怠ると臭いの原因となります。
また、垂れ耳で風通しが悪いため、細菌が繁殖するなどして臭うことがあります。臭いを抑えるためには汚れやすい部分の手入れが大切です。
土佐犬の飼い方
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土佐犬はその性質から自治体によっては「特定犬」に指定され、飼育方法が制限されている場合があります。その場合は檻の中で飼育することや標識の掲示が義務づけられているため、自治体の条例を必ず確認しましょう。
自治体による規制がなくとも、万が一のことを考えれば管理を徹底するに越したことはありません。檻は金属製で鍵のかかるものを用意する、敷地外への出入り口は柵で囲うなど、設備には頑丈さが求められます。首輪やリードなども太く丈夫なものが必要です。
土佐犬を管理するためにはかなりの投資と経験が必要であり、安易な気持ちで飼う犬種ではありません。犬を飼ったことがない人や、小さな子どものいる家庭にはおすすめできない犬種です。
室内で飼う場合も、玄関や立ち入らせたくない場所には柵を設けます。ほかの人や動物が安易に立ち入れない工夫と、土佐犬が逃げ出さない工夫の両方が必要です。
また、体重が重く関節炎になりやすいため、くつろぐためのクッションやベッドを用意してあげるといいでしょう。フローリングの床は滑らないようにシートを敷き詰めるなどの対策をします。
ドッグフードの量・回数
基本的に成長に合わせた総合栄養食を記載量の通りに与えていれば問題ありません。成長途中である子犬のうちは、丈夫な体を作るためのカルシウムやタンパク質が多く必要です。エネルギーを効率的に吸収でき、なおかつ消化のいい子犬専用のフードを与えましょう。成長が止まったら、成犬用のフードに切り替えます。
フードの種類によって給餌量は異なりますが、子犬の場合は1日摂取量を3~4回に分け、ふやかして与えます。
成犬になれば基本的には1日2回で問題ありませんが、土佐犬のような大型犬は胃捻転になりやすいため、可能であれば3回に分けて与えます。
胃捻転の予防のためには、一度にたくさん食べさせない、食べてすぐは運動させないといった日ごろの対策が重要です。
食べさせてはいけないもの
犬が食べてはいけない食べ物 | ネギ類全般(にんにく、ニラ、玉ねぎなど)・ぶどう類全般・チョコレート・キシリトール・生の魚介類(魚、イカ、タコ、エビ、カニ)・鶏の骨・アボガド・ナッツ類全般 |
犬は避けたほうがいい食べ物 | ほうれん草・生肉・香辛料・にぼし・のり・生卵・生野菜・牛乳・ココナッツオイル・干しあんず |
上記は代表的な食べ物を記載していますが、もっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また犬が苦手な食べ物として、犬は臭覚が優れているため酸み・辛み・苦みに対する感覚がとても敏感で、においを嫌がります。
- 柑橘類
- 酢類
- スパイス類
- クセのある葉物野菜
上記の食べ物も控えたほうが無難でしょう。
抜け毛の量
土佐犬の被毛は短いものの硬いオーバーコートと細いアンダーコートを持つダブルコートで、春と秋には換毛期があります。換毛期には特に入念なブラッシングが必要です。
それ以外の時期は軽めのブラッシングか、固く絞った濡れタオルで全身を拭く程度で十分です。皮膚炎防止のためにもこまめに拭いてあげましょう。
お風呂の入れ方
土佐犬はこまめなシャンプーが必要な犬種ではありませんが、汚れてしまったときなどはお風呂に入れましょう。ただしシャンプーをしすぎると必要な皮脂まで落としてしまい、皮膚炎の原因にもなります。
子犬のうちは家庭のお風呂場でも洗えますが、成犬になると抱き上げるのも難しいほど大きくなるため、庭や屋外で洗える環境があるとシャンプーしやすいでしょう。
お風呂に入れる前にはブラッシングをして、ある程度汚れを落としつつ毛並みを整えておきます。
子犬と成犬それぞれのお風呂の入れ方について紹介します。
- お風呂が嫌なものだと思わないように、おもちゃを使うなどして始めるといいでしょう。
- やさしく声をかけながら、ぬるま湯でお尻のほうから濡らしていきます。
- シャンプーを泡立てて洗っていきます。飽きたり怖がったりすると動き回ることがあるため、手早く行います。顔や鼻には水がかからないように注意し、耳の中にも水が入らないようにしましょう。顔は濡れタオルなどで拭くにとどめるか、最後に洗います。
- 洗い終わったら泡をきれいに流します。
- しっかりとタオルドライします。
- 送風口から30cm以上離してドライヤーで乾かします。
- お風呂に入れる前にブラッシングをします。
- ぬるま湯でお尻のほうから濡らしていきます。
- シャンプーを泡立てて洗っていきます。顔や鼻には水がかからないように注意し、耳の中にも水が入らないようにしましょう。顔は濡れタオルなどで拭くにとどめるか、最後に洗います。
- 洗い終わったら泡をきれいに流します。
- しっかりとタオルドライします。
- 送風口から30cm以上離してドライヤーで乾かします。
最適な散歩時間
土佐犬はかなりの運動量が必要な犬種です。散歩は必ず毎日連れていきましょう。1日2回、1回につき1時間程度は必要です。のんびり歩くだけでなく、時々は早足で走らせるといいでしょう。
ただし子犬のうちは体に負担がかかる運動は避けます。
土佐犬は人や犬、動物を警戒して反応することがあるため、近隣の飼い犬と散歩の時間をずらしたり、人と会わないコースを選んだりする工夫も必要です。散歩中はリードを短く持ち、不意に動いても離さないように常に気を配ります。
運動不足からストレスがたまると、攻撃性が出やすくなるなどの弊害が出てきます。また、筋肉量が減ってしまうと自身の体重を支えられなくなり、日常生活に支障をきたしかねません。心身の健康維持のためにも散歩と運動は必須です。
土佐犬のしつけ方法
土佐犬を飼うにあたってもっとも重要なのはしつけと訓練です。警戒心と闘争心があり力も強いという性質をよく理解し、根気よくしつけていく必要があります。甘やかしてしまう人やきちんとしつけができない人は飼うべきではありません。しつけを怠れば、飼い主本人や家族も危険な目に遭う可能性があります。
飼い主には忠実ですので、まずはしっかりと信頼関係を築くことが重要です。実際に、管理できていない土佐犬が人を噛んだことによる死傷事件が起きています。
トイレのしつけ方
土佐犬の子犬を迎えたらすぐにトイレのしつけをしましょう。しつけの開始時期が遅れると、犬が勝手にトイレの場所を決めてしまい、矯正するのが難しくなってしまいます。土佐犬は体の大きさから排泄物も多く、トイレのしつけを失敗すると後が大変です。
もし、里親制度や保護犬譲渡制度を利用して成犬を引き取るのであれば、子犬以上に根気よくしつける覚悟が必要です。
トイレシートを使っていた犬は、シートのある場所がトイレだと理解しているため新しい環境でも比較的スムーズにトイレを覚えますが、環境の差や個体差があるため一概にはいえません。しつけの手順は子犬でも成犬でも変わりませんが、成犬になるとトイレの回数が減り、その分時間がかかります。
- トイレの場所を決め、ケージなどで囲ってペットシーツをセットします。トイレスペースは犬が動けるくらい広めにとりましょう。
- あちこちをかぎ回ったりウロウロしたりと落ち着かない様子が見られたら、トイレに誘導します。「トイレ」と声をかけてあげるのもいいでしょう。
- 成功したらサークルから出し、たくさん褒めます。
- 「褒められてうれしい」という経験を積み重ねていくことで、トイレの場所を覚えさせていきます。
無駄吠えのしつけ方法
土佐犬は比較的吠えることの少ない犬種ではありますが、ふとしたきっかけで興奮すると手に負えなくなることがあります。警戒心から吠える場合は、ほかの犬や人のいない場所で散歩させるなど、原因を絶つところから工夫しなくてはいけません。
また、子犬の頃から外でほかの人や犬と触れあわせるなど、社交性を養うことも重要です。
- 吠え始めたら注意深く観察し、なぜ吠えているのかを探ります。
- 玄関のチャイムなど物音などを警戒して吠えているのであれば、チャイムの後におやつをあげて喜ばせ、音に対する警戒心を取り除きます。
- 何かを要求しているのであれば、あえて犬の前から姿を消し、吠えなくなってからおやつをあげ「吠えるのをやめるといいことがある」と教えます。
噛み癖のしつけ方法
犬同士でケンカしたり人を噛んでしまったりするのはよくあることですが、土佐犬の場合は力が強いことから些細なケンカでも大惨事になりかねません。攻撃性や警戒心の強さなど個体の特性をしっかりと見極め、専門家の手を借りながらしつけていくことが重要です。
- 犬が人間をリーダーとして認めていない場合、反抗したり従わせようとしたりして噛むことがあります。人間がリーダーだと教えるために、感情的にならず毅然とした態度で接し、常に正しいコミュニケーションをとりましょう。
- 噛む行為には「ストレス」「退屈」「恐怖」などさまざまな理由が考えられるため、原因を探り、取り除いていきます。
- 運動不足からストレスがたまっているのであれば、散歩の時間や回数を増やす、おもちゃを使って遊ばせるなどして満足させてあげるのが重要です。噛んでもいいおもちゃを与えるのも有効です。
待てのしつけ方法
警戒心の強い土佐犬は、見知らぬ人や動物に反応してしまうことがあります。衝動的な行動をコントロールし、トラブルなく過ごすためにも「待て」のしつけは重要です。
「待て」は、「おすわり」や「伏せ」ができることが前提のしつけです。「待て」の前に、「おすわり」「伏せ」のトレーニングをしておきます。
- 「おすわり」か「伏せ」をさせます。
- 「待て」の合図を出し、そのままの姿勢で動かずにいられたら「よし」などの合図とともに、おやつをあげます。
- 「待て」の時間を1秒、3秒、5秒と少しずつ伸ばしていきます。「よし」を待てずに動くとおやつがもらえない事を教えていきましょう。
留守番のしつけ方法
土佐犬は大型犬ゆえに、留守番中に暴れたりいたずらしたりすれば、家屋や家具に多大な被害が出ることも考えられます。人間も犬も、安心して留守番をさせられるようにしつけることが大切です。
加えて、脱走を防止する工夫も忘れてはいけません。闘犬用でなくとも土佐犬は逃げ出しただけでニュースになり、周辺住民の生活にも影響を及ぼします。留守番をさせるときは基本的にはケージやおりの中に入れ、脱走防止のために鍵をかけておくといいでしょう。
- 室内にケージなどを用意し、犬が安心して過ごせるスペースを作ります。
- おやつなどでケージの中に誘導し、犬が入ったらドアを閉めて柵越しにおやつを与えます。
- 進んでケージに入るようになったらおもちゃを中に入れ、ケージで過ごす時間を伸ばしていきます。ケージを「安心して過ごせる場所」だと認識させましょう。
- ケージに入れたままさりげなく出かけ、家の中に人がいない状況を作ります。最初は短い時間から始め、少しずつ留守番の時間を延ばしていきます。
犬という生き物は、いい香りがしたりすると食べ物じゃなくても口に入れてしまいます。
でも、犬には食べさせてはいけない食べ物も存在します。食べてしまうと命の危険もあるので要注意です。
今回は、そんな食べ物を食べてしまった時の対処法も合わせてお話していきます。
https://mofmo.jp/article/19619