猫が香箱座りをする理由は?
まず、猫の「香箱座り」とは?
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猫の「香箱座り」という座り方をご存知ですか? 猫好きの人なら「ああ、あれね」と、すぐに様子を思い浮かべることができる、おなじみの姿勢かもしれません。
定義としては「猫が腹部を地面につけ、身体の下に四肢をたたんだ状態」のこと。手と足が、身体の下側に隠れてしまって見えない座り方です。
しっぽも身体に巻き付けるか、身体の下にしまい込むと、さらに美しい「香箱座り」が完成します。
英語では、猫のこの座り方がパンの塊に似ているため「catloaf(キャットローフ)」と呼ばれているそうです。
そもそも「香箱」って何…?
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「香箱」とは、その名の通りですが「お香を入れる箱」のことです。茶道や香道**で使われるという、たいへん雅な道具です。
箱は蓋つきで、漆塗りであったり和柄があしらわれている、繊細なものが多いようですね。
転じて、大正時代の辞書では「婦人が行儀よく座り、何もせずにいること」という意味でも紹介されていたそうです。
猫の「香箱座り」という座り方については、残念ながら歴史的な文献の中には見当たらず、近年ネット上でよく使われるようになった用語、という認識が強いようですね。
香箱座りは「防御の体制」ではなかった!
では、猫はどうして「香箱座り」の座り方をするのでしょうか? 四肢をたたんで置物のようにずっしりと見えるため、「防御の体勢なの?」と思っている人もいるかもしれません。
でも実は、「香箱座り」は猫にとってリラックスしている体勢なのだといわれています。なぜなら、身体の下に手足をしまい込む座り方をすることによって、危険を察知しても、すぐには体勢を崩して動き出すことができなくなってしまうからです。
香箱座りをして眠っている…というのは、きっと猫にとって、最高にリラックスしている状態なんでしょうね。
こんな時、猫は香箱座りをする!
猫の「香箱座り」は飼い主との信頼関係の証!
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では、猫は家でどんな時に「香箱座り」をするのでしょう?
寝ている時も、起きている時も、猫は香箱座りをします。でも、どちらの場合でも、飼い主との信頼が築けていないと「香箱座り」の体勢はできないといわれています。
自分の家の猫がよく香箱座りの座り方をしているのなら、猫との間にいい関係が作れている、といえるでしょう!
ちなみに、香箱座りをするのは飼い猫だけで、外で暮らす野良猫は、基本的に香箱座りをすることはありません。
猫は本来狩りをする生き物。眠る時も緊張を保ち、外敵から身を守るためにすぐに戦闘態勢に入らなければならないからです。
「香箱座り」の座り方は、飼い主と信頼関係のある、家猫だけの特権というわけですね。
子猫や大型の猫は「香箱座り」ができない?
猫の身体は、とても柔軟で肉付きがいいですよね? 香箱座りは、まさにその身体的特徴を生かした座り方。一見するとかしこまっているようで、辛そうな姿勢に見えるのですが、猫にとってはとても安定感のある座り方なのだといわれています。
ただし、子猫はまだ身体にあまり肉がついておらず、安定しにくいためか、まだ香箱座りには向いていません。遊び盛りで、香箱座りをしてじっとしていられないため、というのもありますね。
また大きめの猫は、前の手が太く長くてうまく折りたたむのが難しいため、座り方としては、前肢を前に突き出す「スフィンクス座り」が主流なのだとか。
それはそれで、かわいいですね!
ネコ科の動物は、みんな「香箱座り」ができるの?
以前は「猫以外は香箱座りはできない」といわれていました。
でも、それに触発されてか、ネットには世界中からネコ科の大型動物が「香箱座り」をする様子が投稿される例が増えました。猫のように完全には手足を折りたためなくても、香箱座りらしきものをしているライオンやトラの様子は、肉食獣とはいえ見ていてほっこりしてしまいます。
また、まれに香箱座りのような座り方をする犬やウサギも見られるようです。
ほかにもこんなにある! 座り方でわかる猫の気持ち
スフィンクス座り
一見香箱座りに似ていますが、体から前足がはみ出ているようならこちら。スフィンクス座りです。
これは、香箱座りに比べると少し緊張感がある状態です。
何かあった場合、すぐに立ち上がれるようにスタンバイしているわけですね。
横座り
これも、香箱座りと同じくらいよく目にすると思います。
身体を横にし、前足と後足を同じ方向に投げ出している座り方。
実はこちらも、猫がとてもリラックスしているときに見られる座り方で、眠りに落ちる一歩手前なんです。
人間でいうと、「うとうと……はっ!」を繰り返しているのと同じ状態で、寝そうで寝ない、寝ようかどうか迷っている、今にも寝てしまいそうだ、というサインなのです。
しっぽまき座り
こちらは、あまり見たことがないという人もいるかもしれませんね。
おしりをつけて座り、しっぽを前方に持ってくる(体に沿わせて巻く)座り方です。
この座り方は、しっぽの短い日本猫にはできないのですが、実は、警戒のサイン。
ただし、近くになにか危険なものを感じているというわけではなく、猫が本来持っている野生からくる警戒心、それがあらわれている状態の様子。
そのため、しっぽで体をガードしたり、足跡や足のにおいを消したりできるよう、このポーズになるようです。
親父座り
まれにですが、おなかを見せて後ろ足を広げて座る、まるで人間のようなポーズをする猫がいます。
これは、なんらかの気持ちがあらわれているというより、惰性。おなかの毛づくろいをしているときに、そのポーズのままぼんやりしてしまったという場合が多いようです。
ですから、いうなれば、のんびり屋の猫だというサインかもしれませんね。
ただし、このポーズは、猫の体のつくりから見てもあまり長時間とっていられるものではありません。見かけた場合、とてもレアな瞬間を目撃できたといえます。
仰向けになり、おなかを見せる
これは、正しくは座り方ではないかもしれません。
ですが、あなたが猫を飼っているのなら、よく目にするポーズではないでしょうか?
実はこれは、猫がみせる最大のリラックスモード、信頼の証なのです。
おなかをさらけ出すなんて、敵には絶対にしませんよね。少しでも警戒心の残る相手にも同様です。
ですから、この姿が見られたときは、その猫があなたに心を開いている証拠。
ぜひ、おなかをなでてかわいがってあげてください。
まとめ
いかがでしたか?
「香箱座り」はリラックスしている証拠。そして、飼い主さんとの信頼の証なんですね。
時には自宅の猫の座り方や眠り方をチェックして、愛猫にとって、ますます快適な空間を作ってあげてください♪
ほかにも、座り方やしっぽの様子によって、猫はいろいろな気持ちや体調を訴えていることがわかります。