和歌山県白浜町にある「アドベンチャーワールド」は、「近畿大学・生物理工学部」および「近畿大学・先端技術総合研究所」との共同研究により、キングペンギンの人工授精に成功したことを報告しました。
アドベンチャーワールドでは昨年もキングペンギンの人工授精に成功しており、昨年に続き2年連続での成功です。今回の成功は国内3例目で、今後の人工授精の進展に期待できます。
近畿大学との共同研究によって道が開ける
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000302.000040302.html
世界で初めてクロマグロの完全養殖を成功させた近畿大学(大阪府東大阪市)と、アドベンチャーワールドが産学連携に関する協定を2017年に締結しました。
動物生命科学に特化した研究を行っている近畿大学・生物理工学部では、精子等の遺伝資源のさまざまな保存技術開発に取り組んできました。
一方、アドベンチャーワールドでは、繁殖が困難なイルカやクジラ、高齢化が進むキングペンギンの精子を人工的に採取するノウハウを確立していたものの、人工授精を成功させるために、精子凍結保存方法の開発を必要としていました。
そこで両者の持つノウハウを掛け合わせ、新たな共同研究がスタートしたのです。
人工授精に成功したキングペンギン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000302.000040302.html
今回、キングペンギンの人工授精が成功しましたが、その取り組みはどのように行われたのでしょうか?人工授精の方法と、生まれた赤ちゃんの様子も簡単にご紹介します。
人工授精ってどうやるの?
人工授精は、まずオスのキングペンギンから精子を採取し、その後メスのキングペンギンに複数回精子を注入します。ちなみに、今回の人口受精では精子を凍結せずに、そのままメスに注入されました。
メスのキングペンギンが産卵し、その後赤ちゃんが誕生すると、DNA鑑定が行われます。鑑定結果により、精子を採取したオスの子どもと判明すれば、人工授精の成功です。
今回、人工授精期間中、採精したオスとメスを同じ部屋で過ごさせたものの、交尾の様子は確認されませんでした。ゆえに、人工授精による誕生と確定されました。
人工授精で誕生した赤ちゃんについて
2月6日に誕生したキングペンギンの赤ちゃんは、母親と育ての父親とともに「ペンギン王国」で元気に生活しており、最近では自ら魚を食べるようになりました。
今はまだ茶色の羽根に覆われていますが、生後約6カ月で大人の羽根に生え変わり、自分で泳げるようになります。
人工授精がつなぐ未来
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000302.000040302.html
人工授精は、遺伝的多様性を保つためにも必要な手段であり、種の保存に大いに役立ちます。
通常、野生では絶滅しそうな種を動物園で保護したとしても、繁殖が上手くいかないことが多いです。しかし、この人工授精の技術が発展していくなら、将来的には絶滅危惧種を容易に救うことができるでしょう。
今回のニュースは、人工授精がもたらす明るい未来をいっそう明確にしてくれたのです。
アドベンチャーワールド近畿大学