野良猫は基本的に単独で行動し、それぞれが半径200m~500mほどの範囲の縄張りを持ち、生活の拠点としています。
猫の縄張りは寝床などがある「パーソナルスペース」と、狩りをしたり繁殖相手を見つけるための「ハンティングスペース」に分かれています。
ハンティングスペースは他の猫と共有していることも多いですが、猫にとって縄張りは命綱でもあるので、定期的にパトロールして侵入者を監視したり、マーキングをして自分のものであることをアピールしたり、時には他の猫とケンカをしたりして、縄張りを死守します。
このように猫は、土地に対するこだわりがとても強い動物なので、よく訪れる場所には、何かしらのメリットや、訪れるべき理由があると考えるのが自然です。
野良猫がよく来る家の特徴
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ここでは、野良猫がよく来る家の4つの特徴を取り上げ、野良猫にとってのメリットや訪ねる理由を解説していきます。
1.家主がエサをあげる
自分で食べ物を確保して生きている野良猫にとって、ご飯をくれる家というのは願ってもいない場所です。訪れるだけで食べさせてもらえることを知った野良猫なら、100%の確率で毎日訪れることでしょう。
しかも、ハンティングスペースは複数の猫が共有することが多いので、エサをくれる家には複数の猫が集まりますし、どれだけ集まっても家主さんが十分な量を食べさせてくれれば、ケンカして奪い合う必要もないので、みんなで仲良くありがたがりながら集い続けます。
「エサがもらえる」のは、猫がその家に行く、非常にシンプルかつ最も強力な理由です。
2.家主が優しく接する
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ご飯を食べさせてくれなくても、優しく声をかけたり、庭に入ってもそっとしておいてくれる家主さんがいる家も、野良猫にとって居心地が良い場所です。
自分で自分の身を守らなければいけない野良猫は、いつもピリピリと神経をとがらせ、敵はいないか、自分の身に危険が及ばないかと警戒しています。一息つきたい時には、公園や草むらに比べて敵と遭遇する危険が少ない、優しい家主がいる家に行くのです。
面白いことに、猫から見た優しい家主というのは、猫が好きな人とも限りません。人に慣れていない野良猫にとって、体が大きく力の強い人間は怖く、何をされるかわからないという恐怖心を常に持っています。そのため急に近寄ったり、触ったり、抱き上げようとしたり、構いすぎたりする人は、実は猫にとって優しい人ではなく怖い人と見ます。
野良猫から見た優しい人とは、とにかくそっとしておいてくれる人です。ですから、野良猫がよく来る家主が「特に何もしない」と言うのは筋が通っています。もし野良猫に来てもらいたいと思っているなら、姿を見かけても、興奮せずにひたすらそっと見守るようにすれば、そのうち信用してくれるようになるでしょう。
3.居心地の良い場所がある
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猫の先祖であるリビアヤマネコが岩場や穴などで生活してしたことから、現代の野良猫も狭くて静かで、暗い場所を好みます。さらに木の上などの高い所も、外敵から身を守れ、獲物であった小鳥などを捕まえることができたので、今でも大好きです。つまり、暗くて狭い所か高い所がある家は猫にとって居心地が良い場所になります。
具体的に言うと、縁の下がある・使っていない物置がある・廃材が無造作に置かれている・猫が登れる木がある・ブロック塀がある家などが、野良猫にとって居心地の良い場所がある家です。
そのような居心地の良い場所がある家で、しかも家主さんがそっとしておいてくれる優しい人なら、野良猫は寝床にしようと思うはずです。
4.メス猫を飼っている
「すでに猫がいる家に野良猫がわざわざ行くの?」「縄張りがかち合うんじゃない?」と思われるかもしれませんが、その家にいる猫を目当てに家を訪ねる野良猫もいます。避妊手術をしていないメス猫は、発情期に独特の匂いを発してオス猫を引き寄せます。
オス猫はその匂いを頼りに、恋の相手を探してメスの縄張りに侵入し、果敢にアタックします。ですから、外に出たり家に入ったりする避妊手術をしていないメス猫を飼っている家、メスの野良猫がいついている家、メスの野良猫の匂いがついている家には、発情期になるとさまざまなオス猫が集まってきます。
子孫を残すという本能的な行動なので、ちょっとやそっと家主さんが追い出そうとしても、めげずに訪れるオス猫は多いです。猫の発情期は春と秋で、この時期になると野良猫はアグレッシブになり、鳴き声をあげたり、オス猫どうしがケンカしたりするので、あまり近づかないようにしましょう。