犬を家の中で飼育している方であれば、家の構造と犬の健康の関連性を考えてあげなければいけません。
その中に、自宅に階段かあるかという点も含まれます。なぜなら、ほとんどすべての犬は階段が苦手であり、利用させ続けることで大きなトラブルに巻き込まれる可能性があるからです。
「でも、うちの愛犬は階段を簡単に昇り降りできるよ?」と思う飼い主さんもいるでしょうか。
しかし、問題点は犬が「階段を昇り降りできるか」ではなく犬に「負担がかかっているか」という点にあり、愛犬に負担をかけないために対策が必要なのです。
そこで今回は、犬が階段を苦手とする理由とその対処方法をご紹介します。
犬が階段を苦手とする理由

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最初に、犬が階段を苦手とする理由をご紹介します。
一般的な犬は運動が得意です。人間でも簡単に階段を昇り降りできるのですから、犬であればもっと簡単だろうと考える人もいるでしょう。
確かに犬は運動が得意です。ちょっとした段差は簡単にジャンプして登ることができます。しかし、体の構造上苦手であることには変わらず、自宅内の階段のように毎日同じ動作を行わせると大きなトラブルにつながってしまうことがあります。
では、犬が階段をどのように苦手と感じているか具体的にご紹介します。
猫とは異なる
まず、同じくらいポピュラーなペットである猫と犬とでは大きく異なることを知っておきましょう。
猫は身軽で高いところに登るのが得意です。対して、犬は猫ほど昇り降りが得意ではありません。特に、ほとんどの犬は階段を降りるのを苦手としています。
実際に小型犬からすると、人間の階段は自分の体の半分ほどの段差が続いているようなものです。仮に私たちが同じような状況に面するなら、登るのも降りるのも簡単だとは思わないはずです。
足腰に負担がかかる
犬が階段を苦手とする主な理由は体の構造上、足腰に強い負担がかかるというものです。
人間は2本の足で左右交互に階段を踏んでいきます。ですから、階段の幅は私たちの足の大きさに合わせて設定されています。同じように階段の一段の高さも、人間が無理なく片足を上げられるほどの高さになっています。
しかし、4足歩行かつ人間よりもはるかに足の短い犬にとっては階段はつらいものです。もちろん昇り降りできますが、腰や足に大きな負担を与えます。
上半身が重い
犬は下半身よりも上半身の方が重い動物です。特に頭部が重いので、体を少し傾けるだけで、重心が頭部の方向に移ります。
そのため、階段の登りはまだ大丈夫ですが、降りは下向きの力が強く働くため、階段上でバランスを保つのが難しくなります。
ほとんどの犬は頭から落ちてしまうことをさけるために、へっぴり腰で階段を降りようとします。ところが、この姿勢が腰への負担をさらにかけてしまうため、犬には階段そのものが向いていないのです。
胴長短足の犬はもっと苦手
ちなみに、ダックスフンドやコーギーなどの胴長短足な犬は、他の犬種よりもさらに階段が苦手です。
これらの犬を飼育しているなら、階段を利用させることがないようにしましょう。
犬が階段を利用し続けるとどうなるの?

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犬が階段を苦手とする理由をご紹介しました。では、苦手なまま階段を利用させ続けるとどうなってしまうのでしょうか?簡単にご説明します。
精神的な負担がかかる
犬にとって階段を降りることは「怖い」ものです。いつも落ちてしまいそうな危険と戦わなければいけないため、精神的に負担がかかってしまします。
ストレスはさまざまな悪影響を及ぼすため、階段によるストレスもなくしてあげるのがベストです。
将来、足腰に大きな影響が出る
一時的な階段の使用はそこまで大きな悪影響を及ぼしませんが、長期にわたって足腰への悪影響を放置するなら、ケガや病気につながります。
実際、階段によって椎間板ヘルニアになってしまう犬もいるほどです。若い時に足腰を酷使すると、老犬になっていきなり歩けなくなる場合もあるといわれています。
落下する
階段を降りている最中に、落下してしまう場合もあります。
大抵の犬は苦手でもなんとか階段を降りることができますが、体調の悪い日や階段が滑りやすい時などには、誤って落ちてしまうこともあります。
結果として骨折や脳障害を負うこともありますので、注意してください。
階段がある家での対処方法

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階段が犬にとって非常に危険であると分かりました。では、階段がある家ではどのように対処できるでしょうか?
階段を利用させない
手っ取り早い方法は、犬に「階段を利用させない」ことです。
犬が自由に動けるスペースをフロアで限定すると良いです。例えば、階段の前に柵を置いて、犬には開けられないようにできます。
また、基本は部屋から出さずに、廊下を移動する際には飼い主さんが階段を使わないように見張るという方法もあります。
スロープを活用する
どうしてもフロアを自由に行き来させたいのであれば、階段ではなくスロープで移動できるようにしましょう。階段に装着するためのスロープが販売されていますから、取り付けてあげてください。
愛犬のために大掛かりな工事をして、階段の横にスロープを取り付けることもできます。