猫の性格は個体によって異なることは周知の事実ですが、品種、もっと細かくいえば被毛の柄や色と猫の性格に何らかの関係があることは専門家も認めています。
さらに、性別も性格に大きな影響を与えます。三毛猫の場合、オスが生まれる確率は3万分の1といわれるほど稀で、被毛の柄が特徴的なので性格を分析しやすい猫種といわれています。
この記事ではさらに、4種類の三毛猫の中でも特に「縞三毛」に注目して解説していきます。
4種類の三毛猫
pixabay.com
三毛猫とは名前の通り、3種類の毛色の被毛を持つ猫のことです。
一般的に、白と赤(オレンジ、もしくは薄茶色っぽくもあるが、この記事では赤で統一する)の2色をベースに、黒・肌色・灰色・青のうちどれか1色が加わった3色で構成されています。
一見するとどの三毛猫も同じ模様に見えますが、よく観察すると縞模様が入っていたり、色の濃淡や配色比が異なっていたりと、様々なパターンがあることに気づきます。実際、パターンごとに名前がつけられ分類されているので、一つずつご紹介していきます。
三毛
三毛猫の本家というべきか、三毛猫本来の姿をしているのが三毛です。模様がなく、白・赤・黒と3色の毛色がはっきりしているのが特徴です。
日本では三毛猫はありふれた猫という扱いですが、海外ではとても珍しい柄で、日本語そのままに「MIKE」、もしくはまだらのという意味の「Caloco Cat(キャリコキャット)」と呼ばれて、日本独特のユニークな模様の猫として人気があります。
三毛で最も知名度があるのは、和歌山電鉄貴志川線貴志駅の駅長だった「たま」(1999年4月29日〜2015年6月22日)です。
駅の売店で飼われていたたまは、その可愛いらしさからアイドル的な人気になり、2007年に正式に駅長に任命され、空前の猫ブームを引き起こしました。日本全国、さらには外国からもたまを一眼見るために人が訪れるようになり、世界的に知られる存在になりました。
残念ながら、たまのような純粋な三毛の数は減少しています。洋猫の数が増え、日本猫と洋猫との交配が進むにつれ、日本猫独特の三毛の色味が薄まったり、縞模様が入ったりするようになったのです。ですから、三毛猫の元祖である三毛は徐々に貴重な存在になりつつあります。
とび三毛
とび三毛とは体の大部分が白く、所々に黒や赤の毛が生えている種類のことです。
頭や尻尾に色がついていたり、お腹や背中にほんの少しだけ三毛猫の模様があったり、色がとびとびにしかないことから、とび三毛と呼ばれているようです。白猫に近い三毛猫なので、用心深くデリケートな性格が多いです。
縞三毛
縞三毛は白・赤・黒の3色の毛色を持っており、かつ赤や黒の部分が縞模様になっている猫のことです。
面白いことに、縞模様があっても毛色に黒が入っていないと縞三毛とは呼びません。この後で紹介するキジ三毛と区別するためにも、毛色が白・赤・黒で、縞があることが縞三毛に分類する条件になります。
額にMの字模様があったり、クレオパトララインと呼ばれる太くて黒いアイラインが入っていたり、縞猫の特徴は随所に見られ、トラ猫のような野生的な雰囲気があります。野良の三毛猫に一番多い種類です。
後ほど、縞三毛の性格や特徴についてはさらに詳しくご説明するので楽しみにしていてください。
キジ三毛
3色の毛色がはっきりしている三毛や、白・赤・黒の縞三毛と比べると、毛色のコントラストが少なく、柄がはっきりしないのがキジ三毛です。
キジ三毛の場合、白・赤に加わる色が肌色や灰色など、トーンの薄い色になります。その分ソフトな雰囲気になり、可愛らしい印象を受けます。ソフトな色合いから「パステルミケ」や、薄めるという意味の「ダイリュートキャリコ」とも呼ばれてもいます。
性格は思慮深くて人見知りが多く、慣れるのに時間がかかりますが、懐いてしまえば甘えん坊な性格です。縞三毛の次に野良の三毛に多い種類ですので、気をつけて探していると見つけることも可能です。
このように、三毛猫は模様や毛色が異なる4種類に分けられます。海外でも日本らしい猫として有名な品種なだけに、日本人としては三毛猫の種類の違いをしっかり覚えて、それぞれの魅力を説明できるようになりたいものです。
縞三毛の性格とは?
pixabay.com
ここからは、三毛猫の中で一番頭数が多く、身近にいる「縞三毛」についてより詳しく解説していきます。
三毛猫全体の性格は、「好き嫌いがはっきりしている」「プライドが高い」「独立心が強い」「大人しい」とよく表現されます。
当然ながら縞三毛もこれらの特徴はありますが、他の三毛猫と比べてより際立っている特質が3つあります。それは、「大人しい」「母性が強い」「気が強い」の3つです。
大人しい
冒頭でも解説したように、三毛猫はほぼメスでオスが生まれる確率は3万分の1なので、私たちの周りにいる三毛猫は全てメスといっても過言ではありません。
野生時代のオス猫は積極的に自分をアピールし行動することが求められましたが、メス猫は受け身で待っていればよかったので、内向的で大人しくなりました。その性別による性格の違いは今でも残っており、どの品種の猫もオスよりメスの方が自己主張が少なく静かです。
三毛猫はメスばかりなので、他の品種に比べて大人しいという印象がつくのも、猫のルーツを考えると当然のことといえます。
その中でも縞三毛は、他の三毛猫と比べて自己主張が少なく大人しいタイプが多い猫です。見た目的にも一番野生的ですが、性格も野生時代に確立された特質が一番強く残っていると考えられます。
母性が強い
縞三毛を飼育されている方は皆、縞三毛は母性本能が強く、面倒見がよい性格といわれます。飼い主さんのことをいつも気にかけ、甘えたそぶりをしながら気遣ってくれたり、後をついてきて安全を確かめてくれたり、何かあると守ろうとしてくれたり、縞三毛の面倒見の良さは絶賛されています。
子猫を産んだ場合は、本当に一生懸命お世話をする良い母猫になります。自分の身を挺して子猫を守ったり、愛情いっぱいに接して可愛がったりするので、飼い猫に子猫を生ませて家族を増やしたいと思っている方はぜひ縞三毛を検討してください。
ただし、自分の子猫や飼い主さん以外には母性のかけらも見せず冷淡に扱うこともあるので、そのギャップにショックを受けないようにしてください。
気が強い
良い母親は普段は控えめで優しいけど、芯はしっかりしていていることが多いように、縞三毛も普段は物静かで優しいのですが、ここぞというところでは気の強さを見せつけます。自分の家族を守るためには一歩も引かずに、小さな身体で戦いに挑む姿は惚れ惚れするほどかっこいいです。
また、日常生活の些細なところで、三毛猫特有のプライドの高さと好き嫌いがはっきりしている気の強さがさらに強調されることもあります。
例えば、嫌いなキャットフードは絶対に食べませんし、気に入らない相手のことはとことん無視します。普段自己主張しないだけに、嫌といったら嫌なのがよくわかります。
こんなに魅力いっぱいの縞三毛は、野良が多い種類だけに保護猫として里親探しをしていることが多いです。興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。