犬のしぐさには意味がある
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犬は群れで暮らしていた時から体全体を使って、仲間とコミュニケーションをとってきました。つまり、ボディーランゲージを使い、喜怒哀楽の感情を表現したり、欲求や願いを伝えたり、敵に警告したりしていたのです。
犬のボディーランゲージは世界共通で、犬種は関係ありません。また、時代や相手が変わっても同じです。現代において、ペットとして飼育されている犬も、ボディーランゲージを使って飼い主さんや他の犬に気持ちを伝えています。
犬がするしぐさの意味を理解するなら、犬とコミュニケーションをとることができ、より仲良くなることができるでしょう。
手招きのポーズをする状況と心理
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犬はよく、嬉しい時にしっぽを振ったり、安心している時や降参を表すためにお腹を見せるしぐさをします。では、立ち上がって手招きするように前足を動かすしぐさには、どんな意味や心理が隠れているのでしょうか。
犬が前足で手招きする5つの状況と、その時の犬の心理を見ていきましょう。
1.食べ物を持っている時
犬を飼っている方であれば、ドッグフードを出している時に、愛犬が大急ぎで駆け寄ってきて、前足を振っている姿を見たことが一度ならずあると思います。
また、食べ終わってフードボールが空になったら、こちらをじっと見ながら甘えるように足をクイクイと揺らすこともあるかもしれません。これらは、「ちょうだい!」「もっと食べたい!」という気持ちを表しているしぐさです。
さらに、飼い主さんが何かを食べている時に側に寄ってきて、前足をぶつけるようにチョイチョイとしてくることがあります。他にも、椅子に座っている飼い主さんにアピールするように、立ち上がって必死で手招きポーズをすることがあります。いずれも「食べ物を自分にも分けて~」とおねだりをしている状態です。
2.テレビを見ている時や電話をしている時
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飼い主さんがテレビを見ている時や電話をしている時など、自分以外のものに夢中になっている時間が長く続くと、かまって欲しくて手招きするように足を動かします。
犬の心理としては、「ねえねえ、ボク(わたし)はここにいるよ」「ほっておきすぎじゃない?かまってよ~」「そんなものに夢中にならないで、ボク(わたし)をもっと大切にして」という感じでしょう。
甘えん坊の犬などは、常に飼い主さんの注意を独占したい傾向にあります。そのため、飼い主さんが家事をしていたり、自宅で仕事をしている時にもかまって攻撃をすることがあるかもしれません。
その場合は可能な範囲で犬の相手をしてあげましょう。わがままになりすぎても困るので、要求がひどい時には無視して待つことも教えてあげてください。
3.帰宅した時
家でお留守番をさせていた愛犬との再会は、飼い主さんにとって嬉しいものです。しかし、嬉しいのは飼い主だけではありません。犬にとっても飼い主さんの帰宅は嬉しく、手招きのしぐさをしながら喜びの感情をあらわします。
飛び跳ねるように前足を上げ「こっち、こっち!」「入って、入って!」と飼い主さんを迎えにいったり、「やった~帰ってきた~」と前足を振りながら飼い主さんの周りをグルグルします。この時の犬の心理は、嬉しさでいっぱいという気持ちなのでしょう。
4.散歩中に他の犬をかまっている時
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自分の飼い主が他の犬をかわいがっているのが気に入らず、自分だけを見て欲しいとやきもちを焼いている時にも手招きのしぐさをすることがあります。
犬は飼い主さんのことを自分の親と考え、他の犬よりも多く親の注目を浴びたいと願っています。そのため、飼い主さんが他の犬をかわいがると、必死で注意を自分に戻そうと「そっちじゃない!こち!」「戻ってきて~いつものようにボク(わたし)をかわいがって!」と訴えるのです。
他の犬をかわいがる時は、愛犬がやきもちを焼かない程度に接するようにしましょう。
5.知らない人や犬に出会った時
犬は不安や恐怖を感じた時にも手招きのしぐさを見せることがあります。自分と相手を落ち着かせ、争いを避けるためのしぐさを「カーミングシグナル」といいますが、手招きポーズもその一つだといわれています。
知らない人にリードを持たれたり、散歩で知らない犬とすれ違う時などに、前足をあげて上下に動かし「緊張しています!」「喧嘩しないで仲良くしましょうね。」と不安な気持ちを伝えているのです。
初めて会う犬と接する場合は、自分の匂いを嗅がせてあげたり、姿勢を低くして犬を怖がらせないようにしましょう。