柴犬のルーツは?

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柴犬は天然記念物に指定されています。それは、一時期日本にたくさんの洋犬が入ってきたために絶滅の危機になったからです。天然記念物に指定されたことで、純粋な日本犬として現在まで血筋が守られています。
今の柴犬のほとんどは、昭和中期に展覧会で有名になった「中号」がルーツといわれています。血統書の子孫をたどって行くとほとんどの柴犬がこの「中号」につながります。
このように血統が守られ、古代犬の血を守ることができたことが、狼に近い遺伝子を持つ要因になったのではないかといわれています。
顔つきやシルエットから見る狼と柴犬の共通点
狼と柴犬を並べてみると、一見共通点はないように見えます。狼はキリッとした顔立ちが特徴的ですが、柴犬はとても愛嬌のある顔をしているからです。
実は、柴犬には「タヌキ顔」と「キツネ顔」の2種類の顔があるといわれています。一般的に「タヌキ顔」は丸っこく優しい表情をしており、「キツネ顔」は面長でキリッとした表情と大きな歯が特徴です。この「キツネ顔」の柴犬が狼に近いといわれています。体つきも狼と共通していて引き締まった筋肉を持っています。ワイルドな風貌も狼に近いといえるかもしれません。
他にも、足の指や爪が突出していることや汗をかくための汗腺がないこと、とても嗅覚が良いことなど、狼と共通している点がたくさんあります。
このように、顔つきやシルエットからも狼と柴犬の共通点をたくさん見つけることができます。
性格から見る共通点
柴犬といえば、好奇心が旺盛で飼い主への忠誠心が際立っていることが特徴的です。この性格は、群れの中で行動し仲間意識がとても高い狼の性格とは、一見似ても似つかないイメージがあるかもしれません。しかし群れで行動する狼は、やはりリーダーに忠誠心があることが知られています。この忠誠心も対象が違うだけで似ている点といえるでしょう。
また、柴犬は犬の中では賢く勇敢であるため、番犬に適した犬といわれています。狼も狩猟をしながら生活しているので、勇敢さや賢さがあります。この点でも共通点があるといえます。
歴史から見る共通点

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歴史的に見て柴犬は、縄文時代から人間と共に暮らしていたようです。人間と共に狩りをして行動を共にしていました。鳥や小動物を狩りする狩猟犬として重宝されていたようです。その時代から人間から家族の一員のような扱いを受けていたようです。現在のペットと同じ位置付けです。
この点も狼と共通する点が多くあります。狼は群れで狩りをして過ごし、柴犬も昔から人間と共に協力して狩りをしていました。
このように、歴史的な背景から見ても狼と柴犬にはかなりの共通点があることが分かります。
遺伝子から見る共通点
犬の遺伝子はこの4つのタイプに分けられます。
- WOLFLIKE(ウルフライク)
- HARDERS(ハーダーズ)
- HUNTERS(ハンターズ)
- MASTIFFLIKE(マスティフライク)
その中で、柴犬が持っている遺伝子はWOLFLIKE(ウルフライク)と言われる遺伝子です。名前を見るだけでも狼と共通点があることが想像できます。
さらに、アメリカで2012年に行われた研究の結果が「National Geographic」という雑誌に掲載されました。アメリカの研究チームが85種類の犬の遺伝子を調べた結果、柴犬が最も狼に近い遺伝子を持っていることが判明したそうです。柴犬はWOLFLIKE(ウルフライク)の遺伝子を多く持っているだけではなく、他の3つの遺伝子が他の犬種に比べて少なかったそうです。
このことからも、柴犬と狼は共通点があるということになります。ちょっと意外に感じるかもしれませんが、柴犬をよく観察すると狼と同じようなしぐさや表情を見せてくれるかもしれません。