犬にざくろを与えてはいけない理由とは
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ざくろは秋の時期に実りを迎える、赤くて透明な小さな粒が果実の中にたくさんあるのが特徴のフルーツです。特に女性にとって嬉しい栄養成分がたくさん含まれていて、ジュースやジャム、果実酒などさまざまな加工食品に使用されます。
日本でも各地で栽培されているざくろですが、ご自宅ではどちらかというと食用目的というよりも、観賞用として植えている方が多いかもしれません。ざくろは果実だけでなく、樹皮や根皮、果皮を薬用として用いることもできる優れたフルーツですが、犬にとっては危険な成分を含んでいるため、絶対に与えてはいけないフルーツです。
犬にとって危険となり得る可能性がある、ざくろに含まれる成分とは「ペレチエリン」「タンニン」「エストロン」の3つです。「ペレエチレン」とはアルカノイドの一種で、ざくろの種子や皮に含まれています。ペレエチレンを犬が摂取してしまうと関節炎を悪化させてしまう恐れがあります。
「タンニン」はおもにざくろの皮に含まれている成分です。タンニンを犬が摂取すると、胃腸を荒らしたり便秘になってしまったりする可能性があります。特に子犬やシニア犬、疾患がある犬やアレルギー体質の犬は、タンニンをうまく排泄できずに腹痛や下痢などの消化不良を起こす可能性が高くなります。少量であっても危険です。
さらに、女性ホルモンのエストロゲンの一種である「エストロン」は、特にオス犬が摂取すると生殖器官に影響を与えてしまうことがあります。
ざくろは家庭の庭に植えられていることも多い果実なので、わざわざざくろを愛犬に食べさせることは無いにしても、誤って犬が口にしてしまうこともあるため注意が必要です。
犬がざくろを食べてしまった時の症状
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犬がざくろを口にしてしまった場合、以下のような症状が表れることがあります。
- 嘔吐や下痢
- 胃腸障害
- ぐったりして元気がない
- めまい
- 失神
- 中枢神経が麻痺する
- 運動困難
- 精神混濁 など
いずれかの症状が見られるときは、もしかしたら犬がざくろを食べてしまった可能性も考えられます。症状はすぐに出るものもあれば、時間がある程度経過してから表れる場合もあります。
犬に危険が及ぶ摂取量
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犬がどれほどの量のざくろを食べると危険が及ぶ可能性があるのかは、犬の体重や体の大きさによっても異なると思われますが、残念ながら明確な数字は明らかになっていません。
大量のざくろを食べても何の中毒症状も出ることなく、元気にしている犬もいれば、ほんの少しのざくろを食べただけなのに、何らかの反応が出てしまう犬もいます。一つはっきり言えることは、「リスクがあると分かっている食べ物を犬にわざわざ与える必要はない」ということです。
ですから、犬種や犬の体重に関わりなく「犬にはざくろを食べさせない」「犬のそばにざくろを置いておかない」ようにすることが大切といえるでしょう。
犬が誤ってざくろを口にしてしまった事例
「愛犬が、落ちていたざくろを食べてしまいました。問題はないでしょうか?犬小屋がざくろの木の下にあり、よく口にする、またよく下痢をしています。関係があるのでしょうか。」出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1413170699
子犬の場合はさらに要注意
子犬を飼っている場合は特に注意が必要です。子犬は成犬よりも嘔吐や下痢などの消化不良を起こしやすい体質をしています。それは、子犬の消化器官がまだきちんと発達していない状態だからです。子犬が誤ってざくろを口にする事が無いように、ざくろの管理に気を付けましょう。
犬がざくろを食べてしまった場合の対処法
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愛犬が食べたざくろの量がほんの少しであるなら、焦らずにまずは様子を見守りましょう。まだ口の中にざくろが残っていれば取り出して慎重に取り出してください。中毒症状は数時間から数日経ってから出る場合もあるので、当日だけでなく、幾日かは愛犬に変化がないか見守るようにしてください。
万が一、愛犬が大量にざくろを食べてしまったという場合や、何らかの中毒症状と思われるような症状が出ている場合はすぐにかかりつけの獣医師に連絡を取り、適切な処置をしてもらうようにしましょう。病院では経過観察になる場合もあれば、胃洗浄をしたり吐かせる処置を施したりする場合もあります。
ざくろ酢やざくろジュースも与えてはダメ
ざくろを使用したざくろ酢やざくろジュース、ざくろジャムなどの加工品も犬に与えてはいけません。
こうした加工食品は、ざくろそのものに含まれる成分の危険に加えて、使用されている香料や糖分が犬の健康に悪影響を与えてしまいます。糖分過剰で肥満や糖尿病のリスクも高まってしまうので、いずれも犬には与えないように気をつけてください。