猫にいちじくを与えてはいけない理由とは

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猫にいちじくを与えてはいけません。なぜなら、いちじくには「フィカイン(フィシン)」と「フラノクマリン(フロクマリン)」という中毒症状を引き起こす2つの成分が含まれているからです。
「フィカイン」とは、イチジク属の木が産生する乳液状の樹液に含まれている、たんぱく質を分解する酵素のことです。いちじくの実や葉、茎に含まれています。このフィカインは、人間にとっては消化促進効果や二日酔い予防などに効果がある成分とされています。しかし、猫にとっては毒性が強く、細胞のDNAを傷つけてしまうため危険です。
また、いちじくの果肉や皮などには、「フラノクマリン」という中毒性を持った有機化合物が含まれています。この成分は、いちじくの果肉や皮を触ったあとに日光(紫外線)にあたると、触れたところの皮膚に炎症が起きることで知られています。そのため、猫がいちじくを食べてしまうと、口の中や唇に炎症を起こす可能性があります。
猫がいちじくを食べてしまった時の症状

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猫が誤っていちじくを食べてしまったり、乳液部分に触れてしまったりすると、以下の様な症状があらわれることがあります。
- 下痢
- 嘔吐
- 皮膚の炎症、湿疹
- 口の中の炎症
- 大量によだれがでる
- 食欲不振
- 元気がなくなる
このような症状が見られる場合は、猫がいちじくを食べてしまった、または触れてしまった可能性が考えられます。症状がすぐにあらわれることもあれば、数時間後、数日後にあらわれることもあるので、注意が必要です。
猫に危険が及ぶ摂取量

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どのくらいの量のいちじくを猫が食べたら危険なのかに関して、残念ながらはっきりとしたデータはありません。いちじくを食べて死に至るのは稀のようです。しかし、猫の年齢や健康状態によっては、少しの量でも中毒症状を起こす危険性があります。場合によっては、処置が遅れたことにより症状が悪化し、死に至ることもあるので、気を付けなければなりません。
子猫の場合
生後12カ月未満、体重1kg未満の子猫の場合、消化器官がまだ発達していないので特に危険です。いちじくを食べて、嘔吐や下痢を起こすと、体の小さな子猫は相当体力を消耗します。症状が悪化すると、脱水症状を起こすなど、より危険な状態になる可能性があります。
成猫の場合
生後12カ月~7歳、体重3~5kgの成猫にも、いちじくは絶対に与えないでください。猫は食べた物の消化・吸収に時間がかかるため、いちじくを食べた直後はケロっとしていても、容体が急変することもあります。猫の個体によっては、少量でも中毒症状が出ることもあるため、与えてはいけません。
老猫の場合
猫は7歳以上になると、体力や抵抗力が落ちてきます。そのため、老猫が体調不良を起こすと、症状が重症化する可能性があります。ゆえに、老猫が間違っていちじくを食べてしまわないよう注意しなければなりません。
猫がいちじくを食べてしまった場合の対処法

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猫が誤っていちじくを食べてしまったとしても、パニックになってはいけません。慌てずに落ち着いて対応しましょう。まずは、口の中にいちじくが残っているかどうかを確認してください。まだ口の中に残っているようであれば、すぐに取り出してあげてください。いちじくに触れただけであれば、触れた部分を水でよく洗い流してあげましょう。
中毒症状はすぐにはあらわれない場合もあります。中毒症状が出ていないからといって安心するのは危険です。数日間は体調に変化がないか様子を見るようにしましょう。
少しでも異変が見られる場合は、すぐにかかりつけの動物病院に連絡してください。勝手な自己判断で無理に吐かせることは絶対にやめましょう。病院に連絡する際は、「いつ食べたか」「どのくらいの量を食べたか」「どのくらいの時間が経過したか」「どのような症状が出ているか」などを伝え、獣医師の判断を仰ぐようにしてください。
ドライいちじくやいちじくのジャムも与えてはダメ

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いちじくは、生だけでなく、乾燥させたものでも加熱したものでも猫に与えてはいけません。ゆえに、ドライいちじくもいちじくのジャムも猫にはNGです。
特にドライいちじくは、より成分が凝縮されているため危険です。ドライフルーツミックスの中に、ドライいちじくが含まれていることもあるので、十分注意しましょう。
ジャムには、大量の砂糖が使われています。そのため、いちじくのジャムに関しては、いちじくによる中毒だけでなく、糖分の過剰摂取という危険もあります。ゆえに、絶対に猫に与えてはいけません。