猫にししゃもを与えても問題ない?
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ししゃもは、キュウリウオ目キュウリオ科に属する魚です。北海道太平洋側の内浦湾から厚岸湾の沿岸地域に生息している魚ですが、近年は漁獲量が減って北海道産はわずかになっています。現在「ししゃも」という場合、「樺太ししゃも」を指すのが一般的です。
ししゃもには、健康に良い影響を与える栄養素がたくさん含まれています。また、低カロリー、低糖質、高たんぱく質な食材でもあります。
猫にとって危険な成分はししゃもの中に含まれていないので、猫にししゃもを与えても問題ありません。しかし、猫にししゃもを食べさせる場合、注意しなければいけない点がいくつかあります。
猫にししゃもを与えてもいい量
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少量であれば、猫にししゃもを与えても問題ありません。しかし、ししゃもには「ナトリウム」が多く含まれているので、猫にししゃもを与えすぎてしまうとナトリウムの過剰摂取になってしまいます。
もちろん、猫にとってナトリウムも健康を維持するのに必要不可欠な栄養素の一つです。しかし、猫がナトリウムを過剰に摂取し続けると、腎不全、心疾患、心不全などの病気を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
子猫の場合
AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めている栄養基準によると、子猫は0.2%以上のナトリウムを摂取する適正とされています。
しかし、生後12カ月未満で、体重が1kg未満の子猫の場合、消化器官が未発達なので注意が必要です。腎臓などに障害が出ることもあるので、子猫にししゃもを与えることはやめた方が良いでしょう。
成猫の場合
成猫の場合も、0.2%以上のナトリウムを摂取することが適正とされています。
しかし、毎日猫にししゃもを与える必要はありません。与える量は、ごくたまに少量与えるくらいで良いでしょう。ししゃもを与えすぎてしまうと、ナトリウムの過剰摂取で体調不良を起こしてしまうかもしれません。
老猫の場合
7歳以上の老猫の場合も、老化に伴って消化器官が弱っている可能性があるので注意が必要です。
腎臓機能が低下している老猫にししゃもをたくさん与えてしまうと、含まれる塩分を過剰に摂取してしまいます。それによって血漿高カリウム濃度が続くと、様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
ゆえに、リスクを抱えてまで老猫にししゃもを食べさせる必要はありません。
猫にししゃもを与えることで期待できる効果
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ししゃもには、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」などの脂肪酸が含まれています。これらは、血液をサラサラにして血流をよくする働きがあるので、猫の高血圧予防や動脈硬化の予防にも効果が期待できます。
また、ししゃもには「カルシウム」も豊富に含まれています。ししゃも100gあたり330mg、樺太ししゃも100gあたり350mgのカルシウムが含まれており、牛乳の3倍の量と言われています。カルシウムは骨や歯を丈夫にするだけでなく、筋肉の活動を円滑に進む働きをするので、猫の健康維持にも優れた栄養素といえます。
さらに、ししゃもには「たんぱく質」が豊富に含まれているので、筋肉の収縮や免疫機能の維持を助ける働きをしてくれます。
猫にししゃもを与えるときの注意点
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先ほども取り上げたように、ししゃもにはナトリウムが多く含まれています。他にも、過剰摂取に注意が必要なミネラルも多く含まれています。これらは、腎臓病や尿路結石などのリスクを高める可能性があるので、猫にししゃもを与える場合は、少量与える程度にしましょう。
基本的に猫は食べ物を丸のみします。そのため、猫にししゃもを丸ごと食べさせると喉に詰まらせてしまったり、ししゃもの骨が猫の喉などに刺さってしまう危険があるので、十分注意が必要です。
また、中にはアレルギー反応を起こす猫もいるので注意しましょう。特に、子持ちししゃもを食べて魚卵アレルギーを発症する場合もあります。猫にししゃもを与える場合は少量だけ与え、アレルギー反応が出ないかしばらく様子を見るようにしてください。もし、ししゃもを食べた後に、猫の身体に異変があらわれた場合は、すぐに病院に連絡し獣医師の指示に従うようにしましょう。
ししゃもの干物は与えても問題ない?
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猫にししゃもを食べさせても大丈夫なら、ししゃもの干物も猫に食べさせて良いのでしょうか。
結論からいうと、ししゃもの干物を猫に与えるのはNGです。なぜなら、干物のししゃもは猫にとっては塩分が高く、猫が食べてしまうと塩分の摂り過ぎで、腎臓に負担がかかってしまう可能性があるからです。
私たち人間と猫の腎臓では働きかたも異なります。もちろん、猫にとって塩分も必要不可欠な栄養素ではありますが、過剰摂取には十分注意が必要です。