はじめに
犬は私たち人間と同じ哺乳類なので、子犬にお乳を飲ませて育てます。複数の子犬が母犬のおっぱいに吸い付いている姿を見た時、「犬の乳首の数っていくつあるんだろう?」とふと思ったことはありませんか?数が足りないとお乳が飲めない子犬が出てしまって大変ですよね。
そこで今回は犬の乳首の数について調べてみましょう。普段あまり気にしない体の部分かもしれませんが、よく観察しておくことで愛犬の健康チェックをすることもできますよ。
犬のおっぱいについて
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哺乳類である犬は子犬にお乳を飲ませて育てますが、人間のおっぱいとは作りが少し違います。乳首の数も人間よりたくさんあります。たくさんあることはわかりますが、いったい乳首の数はいくつあるのでしょうか?普通より少ない、または多いと何か問題でもあるのでしょうか?
乳首の数はいくつあるの?
メス犬の体は子犬を育てるためにお乳を生産します。お乳を生産する乳腺は縦長に2つあり、この乳腺に沿って左右に乳首が5個ずつあるのが一般的です。
この乳首ですが呼び方があって、上から前胸、後胸、前腹、後腹、鼠径と言います。基本的に犬の乳首の数は5対10個だと覚えておけばいいでしょう。
しかしこれらの乳首の中で極端に小さくなってしまっていたり、陥没してしまっていたりするものもあります。そのせいで乳首の数が10個よりも少ない個体もいます。
中には、右に5個、左に4個のように乳首の数が奇数という場合もありますし、左右対称にきれいに並んでいないという場合もあるようです。
乳首を観察して数えてみると5対10個ではない場合がありますが、乳首の数は個体差があるので心配する必要はありません。どんなに探しても6つしか見つからないという飼い主もいますし、一般の犬よりも多い6対12個の乳首を持つ犬もいるようです。しかしこれは個体差なので特に異常があるというわけではありません。
犬が出産すると子犬が乳首を探してお乳を吸うようになります。この刺激によって乳腺が活発に働くようになります。乳首によってお乳がたくさん出る場所とそうでない場所があるようです。乳首の奪い合いをしながら食いしん坊の子はお乳がたくさんある場所を覚えるようです。もちろんたくさんお乳を飲んでいる子犬が大きく育つことになります。
乳首の数が通常より多いという場合、副乳首と呼ばれる小さな乳首の場合もあります。通常の乳首の横に位置することがありますが、子犬が吸ってもお乳は出てきません。
乳首の数に合わせて子犬が産まれるの?
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哺乳類の乳首の数は、一度の出産で産まれる赤ちゃんの数に合わせてあると言われています。確かに犬の場合は一度の出産で3頭から6頭くらい産まれますから、乳首の数が5対10個、少なくとも6個はあるというので納得しますね。
すべての子犬にたいして同時に授乳することができます。順番待ちになってしまうとお腹が空いてかわいそうですよね。
とはいえ乳首の数だけ子犬が産まれるわけではありません。つまり乳首が10個あるから10頭の子犬が産まれてくると期待することはできません。
産まれてくる子犬の数は小型犬よりも大型犬のほうが多いのが一般的ですし、犬種によっては一度の出産で1頭しか生まれてこないこともあります。大型犬のナポリタンマスティフの中には何と24頭を出産したギネス記録がありますよ。
子犬の数が乳首の数よりも多い!
ギネス記録にもあるように一度の出産で24匹も産まれてしまうと乳首の数が全然足りないですよね。ここまで多くなくても、もしも子犬の数が乳首の数よりも多く生まれてしまったらどうすればいいのでしょうか。
子犬の乳首争奪戦が始まりますが、食いしん坊で強い子犬が絶対に勝ってしまいます。押しのけられてしまうひ弱な子犬はますます小さくなってしまうでしょう。
この場合は飼い主が介入して人口授乳を行わなければなりません。子犬用の哺乳瓶、または授乳用のスポイトを使ってミルクを飲ませてあげましょう。
人口授乳の際ですが、必ず犬用の粉ミルクを使用してください。人間用の粉ミルクや牛乳は栄養成分が大きく異なるので子犬の授乳には向いていません。牛乳を飲ませると子犬が下痢をしやすくなるとも言われています。
出産後1週間から10日くらいに出るお乳のことを初乳と言いますが、これは子犬が免疫力を強めるために必要なお乳です。可能であれば子犬がローテーションして初乳を飲めるように工夫しましょう。
ただし飼い主が手を出し過ぎると母犬が育児放棄をすることがあるので注意が必要です。子犬の数が通常よりも多いことが分かった時点で獣医さんに相談してアドバイスしてもらうようにしましょう。
人口授乳の他にも、排便を促してあげたりしなければならないので飼い主にとってはたいへん忙しい時期になるでしょう。しかし子犬の成長速度は早いので、あれこれと工夫しながら育てているうちにあっという間に時間が過ぎていくことでしょう。気がついたら子犬も乳離れして少しは落ち着くかもしれません。
オス犬にもおっぱいはあるの?
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メス犬のおっぱいについて解説してきましたが、オス犬にもおっぱいはあるのでしょうか?人間の男性にも乳首があるように、オス犬にも乳首はあります。メス犬に比べて小さいですが、同じように縦に5対10個あるのが一般的です。
オス犬の乳首からお乳は出てこないので、よく見ないとわからないくらい小さいです。たまに乳首が大きくなることがありますが、ホルモンの異常や病気の可能性があるので注意が必要です。オス犬なのに乳首が大きく腫れているようでしたら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
まとめ
今回調べてみることによって、犬の乳首は通常5対10個であることがわかりました。しかしそれよりも少なかったり多かったりすること、必ずしも偶数ではないということも分かりましたね。乳首の数は個体差があり、いずれも異常なわけではないので心配しないでくださいね。
また基本的に乳首の数に合わせて子犬が産まれるということも分かりましたね。それでも稀に子犬の数が乳首の数よりも多いことがあるので、その場合は人口授乳をしてサポートする必要があります。獣医さんの指示に従って慎重に行いましょう。
さらに、乳首の周りを定期的にチェックしておっぱいの病気の早期発見に努めることもおすすめです。普段のコミュニケーションの機会を活用して乳首の周りに腫れやしこりがないかを確認する習慣をつけましょう。
犬を飼うということには大きな責任が伴うことを改めて再確認することができたと思います。大切な家族の一員ですから、健康を保ちながらできるだけ長生きしてほしいものです。大切に飼育してもらえる愛犬はとても幸せですね。引き続き愛情をたっぷり注ぎ、定期的な健康チェックをしてください。