猫の座り方から読み取れる猫の気持ち
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猫は鳴き声や尻尾の動き、耳の向きなどを使い自分の気持ちを表現したり、コミュニケーションをとったりしています。それらに加えて、猫の座り方からも猫の気持ちを読み取ることが可能です。
みなさんは猫の座り方にはさまざまな種類があり、それぞれに名前が付いていることをご存知でしたか?そのさまざまな座り方にはそれぞれ理由もあります。つまり、猫の座り方から猫の気持ちを読み取ることができるというわけです。
この記事では猫の座り方について解説していきます。特に「エジプト座り」と呼ばれる座り方について取り上げます。まず、猫の座り方から分かる4つの気持ちを見ていきましょう。
猫の気持ち①リラックスしている
猫はリラックスしているときは、たいてい足を折りたたんで座っています。
足を折りたたんで座っていると、いざ何か起こったときすぐに逃げるなど次の動作に素早く移ることができません。そのため足をたたんで座る座り方は、猫が攻撃や緊張から解き放たれている時に見せる座り方と言えます。
飼い猫の場合、家で飼い主さんと一緒にいるときは安心しきっているリラックスモードに入っているので、おそらく足を折りたたんで座っていることでしょう。猫が足を折りたたんで座っている座法には「香箱座り」や「スフィンクス座り」などが挙げられます。
猫の気持ち②落ち着いている
猫は比較的落ち着いている気分の時、後ろ足を折りたたんで座る姿を見せます。すぐに動ける体勢をとりながらも腰を下ろしているのは、気持ちにゆとりや落ち着きのある証拠です。
腰を下ろした落ち着いた座り方で、前足だけを使って遊ぶ猫もいます。飼い主さんと遊びたい気持ちと落ち着いてのんびりしたいという2つの気持ちを表現している座り方と言えるでしょう。猫が落ち着いているときに見せる座法には「スフィンクス座り」が挙げられます。
猫の気持ち③やや警戒心がある
猫はやや警戒しているときは、尻尾を体に巻き付けた座り方をします。尻尾を体に巻き付けることで急所部位であるお腹を外敵から守り、自分のにおいが周囲に分からないように警戒していると考えられています。
特に野良猫や保護猫など、警戒心が強くて臆病な性格をしている猫は尻尾を体に巻き付けて座っています。また後ろ足に尻尾を挟んで立つこと、体を舐めること、うずくまるなどのしぐさも警戒心をもっている証拠です。
猫がやや警戒しているときに見せる座法には「尻尾巻き座り」「エジプト座り」などが挙げられます。
猫の気持ち④超リラックスしている
猫はかなりリラックスしているときはお腹を見せて座っています。体の中で一番大切な部位であるお腹をさらけ出している姿は、攻撃される心配や不安が全くなく警戒心がゼロの超リラックスしている状態です。
特に母猫の側で甘えている子猫や家の中で飼われている猫の場合、お腹を見せた無防備な座り方をよくしています。中にはお腹を見せて座りながら喉をゴロゴロと慣らして爆睡している猫もいます。猫が超リラックスしているときに見せる座法には「横座り」が挙げられます。
猫の「エジプト座り」の意味と心理
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猫を飼っている方であれば、猫が前足を揃えて可愛らしくお座りしている姿をみたことがあるのではないでしょうか。
この前足を揃えて座る姿は何と言う名前なのでしょうか?猫にはさまざまな座り方がありますが、前足を揃えて座ることを「エジプト座り」と呼んでいます。
この座り方はまるでモデルさんのようにも見えるキレイな姿勢なので、猫の姿をより魅力的に見せてくれます。このお行儀のよい座り方は、犬のお座りの姿勢にもよく似ています。
また、猫の女神として神話に登場するエジプトのバスデート神の猫の姿にもよく似ていることから、エジプト座りという名前が付けられたと言われています。バステトは子どもを守る優しい母のような猫の顔と、敵に見せる悪魔のような猫の顔をもつ二面性のある猫の女神として描かれています。
エジプト座りは、猫の座り方の中でも基本の座り方と言えるでしょう。このエジプト座りは猫だけでなく、犬やウサギなどもこのような座り方をします。
猫が前足を揃えて座っているときの心理
猫が前足を揃えて座っているときには、次のような心理が考えられます。
・何かに興味がある
猫は何か気になるものがあるときや、何かに期待しているときに前足を揃えて座っている姿をすることがあります。
・何かに警戒している
エジプト座りは、他の猫や周囲の状況に常に警戒している野良猫によく見られる座り方です。警戒心があるときに見られる姿と言えます。
飼い猫がエジプト座りをしていたら
愛猫が室内で前足を揃えてお座りしていると、可愛らしい姿と思う反面、何かに警戒しているのか?と心配になってくる飼い主さんもいるのではないでしょうか?
確かにエジプト座りは猫が何かに警戒しているときによく見られる姿勢です。そのため家猫というよりは、常に外敵と背中合わせの野良猫によく見られる姿勢として知られています。
そんな姿勢が家猫でも見られる場合、もちろんただ興味津々でエジプト座りをしていることもありますし、何か不安やストレスを感じていることもあるかもしれません。いずれにせよ、家猫がエジプト座りをすること自体は病気ではないので特に心配する必要はありません。
しかし、自宅に来客があったとかインターフォンや電話が鳴ったなどいつもと違うことが起きると警戒しエジプト座りをすることがありますので、ストレスにならないよう対処しましょう。
猫のさまざまな座り方
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では、エジプト座りのほかにも猫がよく見せるさまざまな座り方をご紹介しましょう。
香箱座り
「香箱座り」は、猫が自分の体の下に4本の足をすべて折りたたむ座り方のことです。上から見ると四角の形をしており、箱の形がまるで香箱のようなことから香箱座りと呼ばれています。(香箱とは香道や茶道などでよく使う、香木を入れる箱のこと)
香箱座りと呼ばれるようになったのはごく最近のことで、以前までは足を組む、香箱を組むなどと言われていました。ちなみに英語では、パンの塊を意味している”キャットローフ”という名前で呼ばれています。
香箱座りは猫の座り方でよく見かける姿勢なので、猫をイメージするときには多くの方がこのポーズを思い浮かべるのでがないでしょうか?
前足と後ろ足を折り曲げてお腹の内側にしまうだけで、あっという間にコンパクトサイズな座り方になります。一見緊張しているのでは?と思われがちですが、リラックスしているときに見せる座り方です。
スフィンクス座り
前足が伸び、お腹は地面につけた状態で後ろ足を畳んでいる姿がまるでエジプトのスフィンクスのような姿をしているため、「スフィンクス座り」と呼ばれています。
スフィンクス座りは猫だけでなく、犬やうさぎなどの動物もこの座り方をします。ただ、大型の猫の中にはスフィンクス座りができない子もいるようです。
尻尾巻き座り
「しっぽ巻き座り」はその名前の通り、足の周りにしっぽを巻き付けて座っている座り方です。エジプト座りをしてる猫が尻尾を足周りに巻きつければ、尻尾巻き座りになります。尻尾巻き座りをしている姿はとても上品で、まるで置き物のような印象を与えます。
尻尾巻き座りをしている場合は少し緊張感があるため、尻尾で大事なお腹を守っています。また寒い時に尻尾巻き座りをすることで、尻尾で体を温める保温の役割をしていると言われています。
スコ座り
「スコ座り」はお尻を床に付けて大きく足を広げてお腹を見せ、後ろ足を前にだらんと投げ出した座り方です。スコティッシュフォールドがよく見せる座り方なので、それが名前の由来となっています。
スコ座りは人間が腰を下ろした時に見せるポーズに似ており、可愛さがあることはもちろん、人間のおじさんのような姿にも見えるため、”おじさん座り”とか”おっさん座り”という愛称でも親しまれています。
スコティッシュフォールドによく見られる座り方ですが、そのほかの猫種でもリラックスしているときにやお腹や股のセルフグルーミングをする際にスコ座りをする猫もいます。
横座り
「横座り」は猫が4つの足を投げ出してお腹を見せている、横に寝ている状態の座り方です。横座りをしているときの前足は地面につけたままなのでスフィンクスポーズと同じですが、お腹から下の下半身が横に向いた姿勢となっています。
足を組んでいるように見える横座りは女性が足を崩して座るベタ座りに姿が似ているため、”お姉さん座り”という愛称でも呼ばれています。
横座りをしているときはお腹が丸見えなので、猫が心を許して警戒心がないリラックスしているときにみせる姿です。飼い主さんが優しく声をかけたり撫でたりしてあげるなら、さらに猫はリラックスすることでしょう。