猫って満腹になるの?
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猫にとっての食事はとっても大切なものです。食事によって身体が作られていきますし、美味しそうに食べる姿を見ていると飼い主まで幸せな気持ちになってきます。
猫の食べ方を見ていると、満腹感について少し疑問に思う部分もあります。ガツガツと食べてくれる場合もありますが、ある程度食べると途中で食べなくなることもあります。猫も食べた後は満腹になっているのだろうかと考えてしまいますね。
猫たちはご飯を食べた後はお腹いっぱいだと感じているのでしょうか?食後は人間と同じような満腹感を味わっているのでしょうか?実は猫にとっての満腹は、人間や犬とは少し違うようです。どのように違うのか?どうして異なっているのかを考えてみましょう。
犬には満腹中枢がほとんどない
まず、ペットとして同じくらいポピュラーな動物である犬について考えてみましょう。
犬の満腹はとってもシンプルです。基本的には満腹中枢が無いと言われており、与えれば与えるだけ食べてしまいます。もちろん満腹中枢が全く働かないわけではなく、「人間と比べるとかなり鈍い」というだけです。犬にとっての満腹は「物理的にもう入らない状態」なわけですね。
人間にとっての満腹は「これ以上食べても美味しくない状態」「これ以上食べたくない」というものですよね。無理に食べようとするなら吐いてしまうこともあるかもしれません。文字通り「お腹が満たされた状態」ですね。ただし、多少であれば入らないこともありません。
人間は健康のためには「腹八分目」が良いとされており、意識的に腹八分目にする人も多いでしょう。ただ、気持ち的にはもう少し食べたいかなという状態なので、気持ちが満足しているわけではありません。
猫は満腹になるまで食べない
猫は犬のように「与えれば与えるだけ食べる」ことはありません。なぜなら、猫は文字通りの満腹になるまで食べることが無いからです。腹八分目ほどまで食べると自分で食べるのをやめてしまいます。
これは、人間のように意識的に食べるのをやめているということでしょうか?
そうではありません。猫たちは自分の健康などを気にしません。自分の本能と欲望のままに行動します。ですから腹八分目くらいになると本当に満足してしまうのです。お腹の容量にはまだ余裕があるのですが、途中で満腹だと感じるのです。
これは人間にとってはうらやましいことですね。本人はお腹がいっぱいになるまで食べなくても満足できるわけです。我慢することなく健康的な食生活が送れそうです。
猫がお腹いっぱい食べないのはどうして?
猫がお腹いっぱいになるまで食べなくても満足できるのはどうしてでしょうか?それは猫の野生時代の本能が影響を与えていると言われています。
猫は本来野生動物として獲物を捕らえて生活していました。猫は獲物を捕らえて確保したなら持ち帰って安全な場所で食べるようにしていました。猫にとっての獲得物はとても大切な栄養源です。
毎回獲物を捕らえられるわけではありませんし、横取りされることもあります。いつでも栄養補給できるわけではないので、一度にすべてを食べてしまうのではなく、ちょっとずつ食べるようにしていました。
そうすれば獲物を捕らえることが出来ない日が続いても、残った食糧で命を繋ぐことが出来ます。腹八分目で満足できる神経が猫の生存率を向上させているのです。
サバイバルを生き抜く本能が猫には備わっているのですね。この本能は飼い猫になったとしても薄れることがありません。猫の食事のとり方として染みついています。キャットフードであっても、一度の食事は少量で満足できるようになっているのですね。
猫にとっての満腹サインとは?
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猫がお腹いっぱい食べない理由が分かりましたね。では、猫にとっての満腹ラインとはどのようにしてわかるのでしょうか?猫が満足しているかどうかが飼い主も分かるでしょうか?猫の満腹サインを見てみましょう。
自然と食べなくなる
もしエサの量が多めに与えられているなら、満腹になることで自然と食べなくなります。まだお腹には隙間がありますが、気持ち的には満足してしまったので、食欲がなくなり食べなくなります。
キャットフードには体重別の推奨量が記されています。基準量と比べて食べる用が少なすぎなければ特に問題ではありません。少し残すかもしれませんが、それくらいの量がその個体にとっての満腹ラインなのでしょう。
猫がごはんを毎回残す用であれば、一度に与える量を減らしましょう。食事の回数を増やすことによって、食べれなかった分を後で与えるといいでしょう。太り気味であれば、あえて与えなくてもいいですが。
お腹の張り
猫がごはんを残した時のお腹の状態を確認してみてください。食べる前と比べてお腹が張っていることでしょう。触ることでどれくらいの張りなのか確認して覚えておきましょう。満腹状態の時のお腹の張りを覚えているなら、単に食欲がないのか、満腹状態なのか判別することが出来ます。
いつものキャットフードであれば量で判別できますが、手作りのごはんを与えたり、いつもとは違ったタイプのエサに変更したりするときは満腹状態がわかりづらいものです。満腹で食べなくなったのか、単に気に入らなかったのかが分かりませんよね。そんな時でもお腹の張りを覚えておくなら、満腹状態を知ることが出来るのです。
顔を洗う
猫は食後に顔を洗う癖を持っています。「顔を洗う」とは、猫が前足で顔を撫でたり触ったりする仕草の事です。
野生の猫は敵から狙われないようにするため、自分からエサのニオイを消す必要がありました。食べ終わった後は顔についた食べカスなどを払い落とすことで、ニオイを取り除いていたのです。その習慣は飼い猫となっても残っており、食後のサインとなっています。
お昼寝する
人間と同じように、猫たちも食後は眠くなります。消化に力を使うために眠くなってしまうのです。
食後に猫が眠たそうにしていたり、ゴロンと横になって気持ちよさそうにいびきをかいていたりするなら、満腹だったということでしょう。気持ちよさそうな猫はそのままにしておいてあげてくださいね。
もちろん、時間帯によっては逆に活発になったりします。猫は基本的に夜行性です。昼間は食べた後に寝ることが多いでしょうが、夕方以降は寝起きのすっきりした状態です。夕ご飯を食べた後は力がみなぎって元気に活動しだすでしょう。
飼い猫たちが肥満になるのはどうして?
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猫たちは犬みたいにあるだけ食べ続けるようなことはしません。お腹に余裕がある状態で満足するので、食べ過ぎることも無いはずです。では、どうして最近の猫たちは肥満の子が多いのでしょうか?飼い猫たちの満腹と肥満の関係に注目してみましょう。
回数が多い
猫は一度にたくさんの量を食べることはありません。それでも食事の回数が多すぎるので、全体的にオーバーカロリーになっているのかもしれませんね。
もしかしたら飼い主さんは、ごはんを残す猫を心配して回数を増やしすぎているのかもしれません。回数を多くするなら一度に与える用を少なくする必要があります。キャットフードで推奨されている量を参考にして下さいね。
炭水化物や脂質が多い
野生の猫が太らないのは、食事が不安定なのもありますが、食事内容も影響しています。野生の猫は獲物を捕らえて食料とします。栄養源の多くはタンパク質です。猫にはたくさんのタンパク質が必要ですが、その他の栄養素は少な目で大丈夫です。
人間と同じような感覚で食事を与えていると必然的に炭水化物と脂質の割合が多くなります。猫用のドライフードはバランスの取れたものが多いですが、ウェットフードや手作りフードは栄養バランスの偏りがある可能性が高いです。ヘルシーな食事内容にして太らないようにしましょう。
嗜好性の高いおやつが原因
猫におやつを与えることが習慣になっているのかもしれません。猫のおやつは非常に高い嗜好性を持っています。ごはんはたくさん食べない猫でも、おやつであればどんどん食べたくなるわけです。
おやつを与えすぎていないでしょうか?毎日の食事に加えておやつを与えると、食事は食べ過ぎていなくても、おやつの分太っていきます。おやつは嗜好性が高く、与えるだけ食べようとすることも原因かもしれません。
満腹中枢も鈍感になる
どんな猫であっても生活環境や食生活に影響を受けていくものです。普段から嗜好性の高いものをたくさん与える習慣があるなら、猫の満腹中枢も徐々に鈍くなっていきます。
この傾向は人間と同じですね。最初は腹八分目でも満腹を感じていた猫も、何度も満腹感を超えてごはんを与えられていると、その上限が上がってきます。腹八分目が腹九分目になり、ついには腹十分目までにもなります。
怖いのはその先があることです。犬のようにお腹的には十分満たされていても、与えられるとそれ以上食べようとするのです。