犬が服を噛む理由とは?
Eric Isselee/shutterstock.com
「愛犬がパンツの裾や袖などを噛んで困る・・!」と悩んでいる飼い主さんは少なくありません。
なぜ犬は人間の服を噛むのでしょうか?犬が飼い主さんの服を噛むとき、それはどんな気持ちや心理が隠されているのでしょうか?それには次のような理由が関係しています。
理由①歯がかゆい
特にまだ子犬の場合、歯の生え変わり時期はかゆくなるため、飼い主さんの服を噛もうとする光景がよくみられます。
これは歯が生え変わることに伴い、口の中がムズムズする違和感が原因となっています。飼い主さんの服だけでなく、お気に入りのぬいぐるみなどあらゆるものを噛むことでしょう。
理由②遊んでほしい
飼い主さんに遊んでもらいたいときや、もっと構って欲しいときなどに、飼い主さんの服を噛んで注意を引こうとする子がいます。
ソファーでくつろいでいる飼い主さんの服の袖を引っ張ったり、家事をしている飼い主さんのパンツの裾を噛んだりするなどするのは、一生懸命アピールしている証拠です。
理由③楽しい
飼い主さんの服を引っ張ったときの飼い主さんの反応が楽しくて、犬にとっては遊びのひとつになっていることも考えられます。
飼い主さんが大きな声で”コラー”と怒って服から愛犬を引き離そうとしても、犬にとっては楽しい遊びになっているため、それがクセになってしまっているのでしょう。
理由④退屈だから
犬は退屈さをしのぐために、モノを噛むことがあります。犬にとって洋服などのモノを噛むことは楽しみのひとつであり、心が落ち着き、脳に良い刺激になります。
そのため、飼い主さんと遊びたいという気持ちも重なり、退屈をしのぐために服を噛んでくることがあります。
犬が服を噛んできたときの対処法とは?
Hannamariah/shutterstock.com
飼い主さんが服を噛むことを容認していると、犬は嚙み癖が強い性格の子になってしまう可能性があります。
嚙み癖がどんどんエスカレートしてくると、飼い主さんだけでは物足りなくなってしまい、他人やほかの犬などにまで迷惑をかけてしまう危険性があります。ですから、早い段階で適切な対応をすることはとても大切です。
では、愛犬が服を噛むことをやめさせるためにはどうすればよいのでしょうか?いくつかの対処法をご紹介しましょう。
歯をかゆがっている子犬の場合
たとえ歯がかゆくて服を噛んでいるとしても、飼い主さんの服を噛んではいけないことをしっかり教えることはとても大切です。
愛犬が服を噛み始めたら、”ダメ!”、”ノー”などの言葉を、いつもより低い声で、犬の目をしっかり見ながら伝えましょう。そして服から口を離して、背を向けるようにしましょう。
愛犬は歯が生え変わるためにかゆがっている訳ですから、ムズムズと感じている歯のために噛むためのおもちゃを与えてくださいね。
遊んで欲しいとアピールする犬の場合
飼い主さんにもっと遊んでもらいたいときや構って欲しいゆえに服を噛んでくる犬の場合、ついつい適当に撫でて対応したり、要求に応えるために遊んでしまったりしがちですが、これは絶対にしてはいけない行動です。
服を噛んできたら素早く犬を服からはがして、毅然とした態度で”ダメ!”とか”ノー”とはっきり伝えることがポイントです。そして注意した後は、撫でるなど構ってあげることは控えましょう。そうすることで犬は、服を噛んでもいいことは何もないと学習していきます。
服を噛むことが楽しい遊びのひとつだと思っている犬の場合
服を噛んで飼い主さんが犬を服から引き離す・・という一連の行動を楽しい遊びのひとつと勘違いしている場合は、怒ることはNGです。まず飼い主さんが冷静になって犬を服から引き離し、興奮している犬を落ち着かせましょう。
もし犬を服から引き離すことができないのであれば、犬が驚くほどの大きな音を立てて、犬の注意がそれた瞬間に服から引き離しましょう。
その後犬を無視することが一番効果的ですが、興奮が冷めずに服に噛みついてじゃれてくるようであれば、ケージや別室などに入れて引き離すことができるでしょう。何度も繰り返すことで、服を噛むと飼い主さんは遊んでくれない・・と認識するようになります。
子犬の噛み癖を直す方法とは?
Eric Isselee/shutterstock.com
犬にとって噛むということは、ストレスの発散や趣味のひとつとも言える行動です。そのため、噛むという行為を取り上げてしまうことはかわいそうなこと・・と感じる方もいることでしょう。
特に子犬の頃は、遊びのひとつとしてよく噛みます。子犬なので人の服を噛むことはもちろん、人の手などを噛むこともあります。ですから、子犬の頃から噛むことについてしっかりしつけることはとても重要と言えるでしょう。
では、どのように子犬の噛み癖をしつけることができるでしょうか?次の方法は、子犬の噛み癖を直すために役立つことでしょう。
①噛むためのおもちゃを与える
嚙み癖を直すためには、まず犬が噛むことを目的として作られたおもちゃを子犬に与えましょう。
さまざまな種類の噛めるおもちゃがあるので、愛犬が喜びそうなものをいくつか選んであげることができます。
②子犬同士や同居犬と一緒に遊ばせる
パピーの時期は親犬や兄弟犬と一緒に遊び、噛みあうなどして遊びながら、相手にダメージを与えない噛む力の加減を学んでいきます。
もし思いっきり噛んで相手にダメージを与えるなら、”キャイーン”という悲鳴とともに、遊びはストップすることでしょう。つまり楽しく遊ぶためには、相手に痛みなどのダメージを与えない力加減で噛む必要があります。
この遊びを何度も繰り返すことで甘噛みを学び、噛みたいという犬の本能的な欲求を満たすことができるため、必要以上に何かを噛むことはなくなります。
同居犬がいるのであれば一緒に遊ぶことができますが、いない場合は遊び仲間を見つけたり、犬の幼稚園やしつけ教室に通わせて、犬同士で噛んで遊べる機会を作ってあげたりすることができるでしょう。
③噛まれて困るものにはスプレーを使って対処する
家具やカーテン、洋服など子犬に噛まれて困るものには、市販されている噛み癖防止スプレーを使って対処することができます。
市販の噛み癖防止スプレーにはさまざま種類があり、子犬が舐めたり飲み込んだりしても害がない、果物由来の苦い風味が主成分になっているものなどが用意されています。
ただし噛み癖スプレーは短時間の効果しか発揮しません。ですから、子犬が噛むアイテムにもよりますが、テーブルやイスなどの脚を噛むことに悩んでいるのであれば、アルミホイルを巻く対策をすることで、歯がギシギシとすることから噛まなくなるでしょう。
④子犬の歯が人の皮膚に触れたら不快な気持ちをあらわす
犬は仲間と遊ぶ際、お互いの歯が当たって不快な思いをするとすぐに遊びを中断します。それと同じように、子犬の歯が人の皮膚など身体に触れた瞬間に、”痛い!”などと不快な気持ちを示し、それがよくない行動であると理解できるように意思表示をしましょう。
そして遊びをストップすることで、子犬は噛むことはよくないことと徐々に認識できるようになります。
最初の頃は理解できずに、じゃれて噛んでくるかもしれません。子犬の反応にもよりますが、ケースによっては子犬が噛んできたら飼い主さんはその場から立ち去り、姿を消すことも効果的です。
いずれにしても子犬の歯が人の皮膚に触れたら、その度に声を出して遊びをやめることがポイントです。
間違っても、子犬の前で手をひらひらさせたり、高い声で”やめて~”などと子犬が遊んでもらっていると勘違いし、噛む行為がエスカレートしたりするような行動は避けるようにしましょう。
⑤子犬に噛まれても叩いたり怒ったりしないこと
子犬はまだ社会性が身についていません。ですから、子犬に噛まれても叩いたり怒ったりしてはいけません。
基本的に犬はまず相手を威嚇し、次に噛むことで恐怖感を与え、相手を遠ざけようとする本能が備わっています。もし飼い主さんが子犬に噛まれて叩くなどの体罰を与えるなら、子犬に恐怖感を与えてしまい、信頼関係を築くことを難しくさせてしまいます。
犬の噛み癖を改善するには?
犬の噛み癖をなおすためには、飼い主さんの服や家具など噛まれては困るものよりも、犬にとってさらに魅力的なおもちゃやアイテムを与えることが改善につながります。
たとえば噛むことを楽しめるおもちゃには、硬く編み込まれたロープや木製の細長いおもちゃなどがあります。また、狩猟本能を活かしたいのであれば、小鳥などのぬいぐるみを与えることもできます。
さらに、飼い主さんの手が入るグローブ型のぬいぐるみを使って一緒に遊ぶこともおすすめです。このようなおもちゃ以外にも、長く噛めるおやつも用意されています。ただし噛めるおやつを与える場合は、1日の摂取カロリーがオーバーしないように気を付けましょう。