猫があごを乗せる理由とは?
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猫を飼っている方なら、毎日愛猫が見せるさまざまな仕草や行動に癒されていることでしょう。飼い主さんに見せるその姿は、どれをみても本当にかわいく、1日の疲れを忘れさせてくれます。
特に飼い主さんの腕や足の上にあごを乗せてくる姿は、飼い主さんにしか見せない仕草のひとつです。猫は飼い主さんだけでなく、布団や毛布、クッションなどにもあごを乗せます。
愛猫の体温も直に伝わってくるあご乗せには、どのような意味があるのでしょうか?それには次の6つの理由が関係しているようです。
理由①安心しているから
あごは猫の身体の部位の中でも、敏感な部位として知られています。そんな自分の敏感な部分であるあごを飼い主さんの身体の一部に乗せるという行動は、安心している証拠です。
生、お腹に続く急所的部位であるあごを飼い主さんの体の一部に乗せる仕草は、安心している、もしくはリラックスしているという安心感のあらわれです。
特にあごを乗せて目を閉じて眠っているなら、究極に安心していると言えるでしょう。
理由②甘えたいから
野生の猫は、生後3ヶ月を経過すると母猫から独り立ちをします。そして成猫になれば、誰にも頼らずに生きていかなければいけません。
しかし野生の成猫も、生まれてから数か月の間は、母猫のもとで兄弟猫と一緒に甘えながら時を過ごしてきました。
特に眠るときには、兄弟猫とともに母猫の体のどこかにあごを乗せて、温かみを感じながら寝ていたはずです。しかし時の経過とともに、野生猫は独立しなければいけません。
一方ペットとして飼われている猫は、野生の猫とは全く異なる世界に生きています。ごはんのお世話、トイレのお世話、グルーミングなど、すべて身の回りのお世話は飼い主さんがしてくれるので、いくつになっても子猫の感覚で過ごしている子がほとんどです。
つまり、野生猫のように独立や自立という感覚がないため、飼い主さんを母猫だと思い、ずっと愛情と信頼を抱き続けます。そのため甘えたいときには、飼い主さんにあごを乗せてくるのです。
愛猫があごを乗せて甘えモードに入ってきたら、そのまま甘えさせてあげましょう。
理由③信頼の証
猫にとってあごは敵から守るべき急所部位です。攻撃されてしまえば生命の危機にもつながるため、基本的に顎を隠すように警戒しています。
そんな急所部位であるあごを乗せてくるということは、”攻撃されることがない”と信頼している証拠です。飼い主さんにとっては、愛猫に信頼されている嬉しい仕草と言えるでしょう。
理由④縄張りの主張
猫は、自分の縄張りを周囲にアピールする生き物です。そのアピール方法の一つは、自分のにおいをつけることです。
実は猫のあごの下にはにおいの分泌腺があり、フェロモンを出しています。基本的にあごから出るフェロモンで、布団やベッド、毛布などさまざまなところに自分のにおいをつけているはずです。
猫は安心できる場所以外には、縄張りをアピールするにおいはつけません。つまり、あごを乗せる場所は安心でき、”自分のものだー”と主張している場所なので、飼い主さんにとっては嬉しい仕草と言えるのです。
特に飼い主さんの洋服や身体は、洗濯や入浴などでにおいが消えてしまうこともあるので、定期的にあごを乗せて縄張りを主張しているようです。
いずれせよ、愛猫に安心できる場所と認識されていることに間違いないので、飼い主さんにとっては嬉しいですね。
理由⑤ラクな姿勢だから
猫があご乗せする別の理由には、ただその体勢がラクだからという理由でする子もいるようです。
猫は二本足で直立するわたしたち人間とは違い、四本足で背骨は横に伸びています。そしてその先に頭が前方に出ている体の構造なので、首や肩に負担がかかっているようです。そんな猫にとって、あご乗せは脱力できるラクな姿勢なのではないかと言われています。
もちろん、ただラクな姿勢だから・・という理由だけで、危険な場所であご乗せをすることはありません。信頼できる飼い主さんの体だからこそ、あご乗せをしてリラックスするのではないでしょうか?やはり安心できる場所でしか見せない仕草と言えるでしょう。
理由⑥温かさを感じたいから
野生の子猫は、寒さをしのぐために母猫や兄弟猫と重なり合って眠り、体温が下がるのを防いでいます。
あご乗せも、飼い主さんと密着して体温を感じることができるので、温かさを感じられます。そのため愛猫は温かくて気持ちよく、リラックスして眠ることができるでしょう。
あごから分泌されているフェロモン
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信頼できる相手にあごを乗せる猫の仕草は、安心できるお気に入りの場所であることをアピールすることにもつながります。つまり、愛情があることでみせる仕草なのです。
人間には分からないフェロモンが分泌されている!
猫は縄張りのしるしとして自分の体からフェロモンを分泌して、そのにおいをこすり付けています。
猫の身体にはいくつかの場所からフェロモンが分泌されていますが、その中のひとつがあごです。あごを使って部屋の家具にこすりつける行動も、縄張りを意識したマーキングです。
猫同士ではそのフェロモンで情報を収集しているようですが、残念ながらわたしたち人間の鼻ではどんなにおいなのかは分かりません。
猫は自分のフェロモンのにおいで安心している
猫のあごをはじめとした、顔から分泌されているフェロモンには”安心している”いう意味があります。
猫はただあごを乗せているのではなく、フェロモンを分泌させて”これは自分のものだー”とニオイをつけてマーキングをしています。
また、猫は自分のフェロモンをつけることで”自分のニオイがしている~”と安心感を得ているようです。
愛猫があご乗せをしてくるのが辛かったら?
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猫があご乗せをしてくる理由を知ると、飼い主さんなら誰でも嬉しい気持ちになるのではないでしょうか?
しかし、愛猫があご乗せをしてくる姿はとてもかわいくて愛しいですが、”動きたくても動けない・・”、”手や腕が疲れる・・”などの悩みを抱えている飼い主さんも少なくありません。
可能な限り愛猫にあごを乗せて過ごしてもらいたいですが、どうしても動かなくてはいけない場合や疲れてしまった時は、どのように対処したらよいのでしょうか?
疲れたらどう対処すればいい?
あご乗せは、上記で見てきたように猫にとっては安心やリラックスできる姿勢のひとつです。猫があご乗せをする理由を心理を知ると、今まで以上に愛猫が愛おしくなり、あご乗せをさせたいのが飼い主さんの心境ではないでしょうか?
でも、猫があごを乗せたまま長い時間が経過すると、腕の痛み、足のしびれ・・など飼い主さんの方がツライ体勢を強いられてしまうことがあります。
”疲れたー・・”と思っても、愛猫の可愛らしい表情をみると”このままそっとしてあげたい・・”とか、”寝ているを起こしたくない・・”と思われることでしょう。
体が痛くて動きたいという思いと、愛猫の可愛い寝姿の間で気持ちが揺れ動いている時、どのように対処できるでしょうか?
おそらく多くの飼い主さんが、自分が限界に達するまで我慢していることでしょう。でも、猫を守るため飼い主さんが体を痛めてしまうなら、すべてが上手くいかなくなってしまいます。ですから、どうしても辛くなったら愛猫に移動してもらいましょう。
優しく拒否するのもアリ!
自分の体勢が辛くなったことを理由に、あごを乗せてリラックスしている愛猫がいる状態で、突然腕や足を動かすことは避けましょう。
当たり前のことですが、飼い主さんのもとで安心感に包まれてリラックスしているので、猫は大変驚きます。場合によっては、次からはあご乗せをしてこなくなるかもしれません。
もし動かなくてはいけない理由ができたり、疲れてしまったりした場合は、愛猫の負担にならないよう優しくどかしましょう。
おもちゃやおやつで誘導してみよう
猫がすぐに興味を持つおもちゃや大好きなおやつなどで気を引き、愛猫が顔を上げた瞬間に腕や足を動かしてみることができます。
もちろん愛猫が興味をもったら、それなりに対応してあげることが必要です。つまり、おもちゃで遊んだり、おやつをあげたりしてあげれば、あご乗せタイムが終わってしまったとしても問題ないでしょう。