犬もストレスで健康を害する
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犬も長く健康に生活するためには、体の健康と心の健康に気を配る必要があります。人間にとってストレスを感じると元気がなくなったり病気になりやすいのと同じように、犬にとってもストレスは体調を崩すことにつながります。
犬は人間に合わせて生活しているので、実は私たちが思っているよりもストレスを受けやすい環境にいます。犬はストレスが溜まるとそれが行動となって現れます。飼い主さんはそれに敏感に察知して、ストレスが溜っていないか気を配る必要があります。
愛犬が健やかな犬生を送るために、飼い主さんとして犬がストレスを感じているときにする行動を理解しておくのは大事です。成長と共にストレスを感じることが変わってくることもあるので、一般的に犬が感じやすいストレスについても見ていきましょう。
仔犬期(0歳~7か月頃)に感じやすいストレスと対処法
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今まで生活していたペットショップやブリーダーさんの手を離れて、新しい環境で生活することになる仔犬期。引っ越しに人間にとってもストレスなので、小さな仔犬にとっては初めての人生を揺るがす大イベントと言えるでしょう。今までとの違いに不安に感じたりするのは当たり前のことです。
食事をしっかり与える、仔犬を驚かせない、安心できる寝床を用意するなど「ここは安心して過ごせる場所なんだよ」ということをしっかりと理解できるような生活環境を整えてあげるようにしましょう。安心してくつろぐことができるように気を配るようにしましょう。
犬がストレスを感じやすいことには以下のようなものがあります。
慣れない生活音
慣れない生活音はストレスにつながります。犬は人間よりも聴覚が優れているので、突然の大きな音がとっても苦手です。特に雷や電車の音といった振動が伴うものは脅威に感じて震えることもあるでしょう。CDやスマホなどに、車のエンジン音や掃除機の音、雷など慣れさせたい音を録音して、おやつを与えながら音を流してみて慣れさせることもできるでしょう。
音量に注意して、小さい音から徐々に音量を大きくして慣れさせてあげることができるでしょう。しかし、音に敏感な犬種もいます。ポメラニアン、ヨークシャーテリア、シェットランド・シープドッグ、日本犬系、ミックスなどは音に対して敏感なので気をつけましょう。仔犬期の代表的なストレスは他にもあります。
遊び足りない
成長期でエネルギーが有り余っている仔犬は、とにかくたくさん遊びたい子が多いものです。運動することによって犬はストレスを発散することができるので、一緒に時間を作って遊んであげることができるでしょう。
愛犬と30分しっかり遊ぶよりも、5分遊びを間隔を開けて6回繰りかえすほうが犬にとっては満足度が高いのでおすすめの方法です。こまめに時間をとって一緒に楽しい時間を過ごすことによって心を満たしてあげるようにしましょう。
噛みたいのに噛めない
歯の生え始めや生え替わりの時期には、何かを噛みたいという本能が強く出ます。人間の赤ちゃんのかみかみ期のようなものですね。
赤ちゃんに歯固めを与えるように、仔犬にも噛んでもいいおもちゃを与えてあげることによって、遊びながらストレスを発散することができるでしょう。好奇心が強い仔犬期に強いストレスを与えると、長く引きずることになってしまう場合があるので、気をつけてあげましょう。
成犬期(8か月~6歳頃)に感じやすいストレスと対処法
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続いて成犬期に感じやすいストレスです。
運動不足
大人になって体が大きくなると消費エネルギー量も増えるので、運動量が増します。仔犬期と同じくらいの運動量だと足らずに、苦痛を感じてしまうことがあるかもしれません。お散歩や遊びの時間を増やすなどでして、しっかりと運動させるようにしましょう。
運動してクレートに戻ってくるときにすぐに疲れて眠ってしまうほど一緒に遊んであげるなら、満足している証拠です。ラブラドールレトリバーやジャーマン・シェパード・ドッグなどの大型犬やジャックラッセルテリア、スコティッシュ・テリアなどのテリア系は運動不足に気を付けたい犬種と言えるでしょう。
病院
採血や避妊手術など痛いことをされた記憶から、「病院=痛いことをされる場所」という認識になり、動物病院が嫌いになる子はたくさんいます。病院嫌いがひどい子の場合は、移動用のケージを見るだけで大きなストレスになってしまうということもあるでしょう。
定期的に動物病院で見てもらうことは愛犬の健康管理において重要なことですので、病院終わりにおやつを与えるなど、病院に行ったら良いことがあるという印象を持たせることができるでしょう。落ち着いてできたときにはよく褒めてあげてくださいね。
コミュニケーション不足
成犬になるるとある程度しつけが完了するので、自然とコミュニケーションが減ってしまう場合があります。飼い主さんが気づかないうちに、愛犬が寂しがっているということもあるかもしれません。
毎日しっかりとコミュニケーションを取る習慣を変えないようにすることが重要と言えるでしょう。自分も愛犬も飽きないように新しい芸を教えてみたり、新しいおもちゃを使ってみたりして新鮮な気持ちを保っていけるように工夫しましょう。
時々ドックランに行きたくさん運動させたり、愛犬が楽しそうであれば他の犬と触れ合わせてみるのもおすすめです。社会性を身につけて楽しく過ごす面での幅を広げてあげるようにしましょう。
自分の居場所がないと感じること
飼い主さんが家の中で愛犬を自由にさせたいと考えて、クレートなどを片付けてしまうことがありますが、愛犬は「落ち着けるスペースがなくなった」と感じてしまうことあります。ウロウロして落ち着かず、苦痛に感じてしまうこともあるでしょう。
犬は薄暗くて狭い場所を好む傾向がある動物ですので、愛犬だけのスペースは必ず確保してあげるようにしましょう。さらに第二次成長期以降は警戒心も高まることを考慮すると、クレートなど愛犬だけが落ち着ける場所を必ず用意してあげることによってストレスを軽減することができるでしょう。
シニア期(7歳以降)に感じやすいストレスと対処法
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体力が少し落ちてきて、落ち着いて過ごすことが多くなる時期です。老化が始まると体のさまざまな部分に不調が現れてくるので、気を配ってあげることが必要です。犬は言葉を使って自分の意思を伝えることができません。どこが痛い、何がつらいと伝えることができないので我慢してしまうとそれがストレスになります。
シニア期になったら、毎日の観察や定期的な検診によって愛犬の身体に変化が見られないかよく気を配るようにしましょう。愛犬の訴えを聞き逃さないように心がけましょう。シニア期の代表的なストレス要因には以下のようなものがあります。
飼い主さんのイライラ
老いていくことにより以前はできていた当たり前のことを失敗してしまうということが起きてきます。トイレがうまくいかなくなり、家のあちこちで粗相をしてしまうこともあるでしょう。掃除をしなくてはいけない、お気に入りのラグがダメになったなど、ついつい愛犬にイライラしてしまうことがないでしょうか。愛犬もわざとではないので叱らないようにしましょう。
一番の対処法としては、愛犬の老いを飼い主さんが受け止めてあげることでしょう。少し辛いですが、犬も人間と一緒で歳をとれば体の自由がきかなくなります。おむつを付けてあげると飼い主さんとしても神経質になることを避けられるでしょう。
おむつをしていれば愛犬も「おもらししてしまった…」という気持ちにならずにすむでしょう。お互いがおおらかな気持ちで毎日を過ごせるように、必要なものを生活にプラスしていくことによって老年期を過ごしていくようにしましょう。
飼い主さんが過保護
犬の老いを過剰に心配して、何から何までやってあげるようにするとそれはそれで犬にとってストレスになってしまうでしょう。愛犬にとっても過保護に慣れてしまうと、飼い主さんがお出かけしているときに何もできなくなってしまいますし、すべての行動を飼い主さんが代わりにしてしまうことは、老いのスピードを速めることにつながるでしょう。
愛犬の変化に気を配ることは大切ですが、飼い主さんはあくまでもサポート役に徹するようにしましょう。愛犬のできることを奪ってしまうのではなく、できないときには補助してあげるようにしてゆっくりと待ってあげることも必要であることを忘れないようにしましょう。
愛犬の老いを受け入れることは、飼い主さんにとってなかなか辛いことでもありますが、それだけ長い時間を一緒に過ごしてきたことを誇りに思うようにしましょう。なるべくストレスを与えずに、余生を楽しみながら長く一緒に楽しい時間を過ごせるよう年齢にあったストレス対策をとっていくようにしましょう。