猫を電車に乗せても良い?
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猫は電車と相性が良いように思われています。確かに、駅に“常駐”する猫は様になりますが、実際に飼い猫が電車に乗るのはどうなのでしょうか?
乗車するとなると、また違う環境やルールに慣れなければなりません。犬ほど苦労することはないかもしれませんが、猫もストレスを感じるでしょうからそういった点も考える必要があります。この記事では、猫と一緒に電車移動するうえで考えなければならない要素をご紹介していきたいと思います。
そもそも猫を電車に乗せても問題ないのでしょうか?答えは“問題ありません”。
猫を介助犬のように利用するケースはほぼありませんが(犬の場合、盲導犬や介助犬は手荷物の規定を免除されることがほとんど)、猫を連れて電車に乗ることは各鉄道会社の規定に従えば可能です。
余談ですが、まれに野良猫が一人で乗ってくることもあるようです。その際は周囲の判断次第で一緒に移動する事もあるでしょう。猫を電車内で見かけると、気持ちが落ち着く方やリラックスできるという方もいるようです。
いずれにしても、各公共交通機関は小動物やペットと一緒に乗ることを想定した各種規定を設けていますから、そのルールや規定を知ることがまず必要になるでしょう。
猫を電車に乗せる際のルールとは
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猫と一緒に公共交通機関で移動する際の法的な要求基準はありませんが、各鉄道会社が定めた規定を守るのが原則です。
規定に従って利用していれば問題なく、逆に周囲に迷惑をかけると鉄道会社職員が判断すれば、電車を利用することを断られることもあります。
ではそのルールですが、前提として「猫の体がすっぽりと覆われて」いなければなりません。トートバッグに入れて顔が出ている、リュックに入れて電車内で膝に乗せてあげるなどの行為は一切禁止されています。
猫の場合、犬よりもアレルギー反応を引き起こす可能性が高いため、こうした規定は他の乗客の福祉を考えての措置となっています。飼い主としては電車内で顔ぐらい出させてやりたいと思うかもしれませんが、それを許可する鉄道会社は現在のところ日本にはありません。
犬と比べて猫が不利になる点は、猫は脱走する確率が非常に高いということでしょう。犬は、もちろん個体差もあるとはいえ、飼い主を主人と認めて従う性質を持っており、それが公共の場では有利に働くことがあります。
しかし猫は飼い主を持つ生き物ではなく、どちらかと言えば単独行動を好むことが多い性格です。そのため、ひとたびキャリーバッグやクレート(持ち運び用のドッグ・キャットハウス)を開けてしまうと、かなりの確率で飛び出してしまいます。
猫を飼っている方であれば、そういった痛い経験をしておられる方も多いはずです。買い物帰りに荷物を家の中に入れようと、ほんの1~2分ドアを開けていた隙に逃げてしまったとか、二階の窓が開いていたために屋根つたいでどこかへ行ってしまったということはないでしょうか?
人間と絆を持つようになる猫もいるとはいえ、日本で飼われている大半のイエネコは、隙あらばどこかに行ってしまう性質を垣間見せます。今まで甲斐甲斐しく世話してきた身としてはさみしいことこの上ない経験ですが、これが騒音と人ごみに溢れた駅のホームや車内などの環境では、さらに脱走したくなる状況が整っているといえます。
猫は嗅覚も聴覚も人間よりはるかに優れているために、電車が走行する音や突然のアナウンス、人ごみの喧騒や機械音が溢れる場所はストレスや恐怖となります。そのため、ほぼ間違いなく飛び出して逃げていってしまうでしょう。
駅のプラットフォームで猫が逃げ出して、線路上に飛び降りたり入り口から走って道路に出ていったりしてしまうと、やはり高い確率で事故に遭うことになります。ましてや飼い主が猫を追いかけて線路に飛び降りるわけにもいきません。
こう考えると、「キャリーバッグを絶対に開けるのは、如何なる場所でも禁止」とする鉄道会社の規定は、猫のためでもあるといえるでしょう。猫を乗せる際は、脱走を確実に阻止しなければなりません。
では、実際に猫を鉄道に乗せる際の条件を鉄道会社別に見てみましょう。
猫を乗せる際の各鉄道会社の規定と料金
■JR(全線共通)
「小犬、猫、鳩またはこれらに類する小動物(猛獣やへびの類を除く)で、・長さ70センチメートル以内、タテ・ヨコ・高さの合計が90センチメートル程度をケースに入れたもの・ケースと動物を合わせた重さが10キログラム以内のもの・手回り品料金は1個につき280円です。ご乗車になる駅の改札口などで荷物をお見せのうえ、普通手回り品きっぷをお求めください。」
■東京メトロ
「子犬、猫、鳩その他これらに類する小動物(猛獣及びヘビの類を除く)は、長さ70センチメートル以内、縦・横・高さの合計が90センチメートル程度の容器に収納し、重量が10キログラム以内のもので、他の旅客に危害を及ぼすことや、迷惑をかけるおそれがないと認められるものに限り持ち込むことができます。料金は無料。」
■小田急電鉄
「特に手荷物料金はいただいておりませんが、長さ70センチメートル以内、最小の立方体の長さ、幅及び高さの合計が90センチメートル程度、容器に収納した重量が10キログラム以内のものに限りご乗車できます。」
■京王電鉄
「高さ70cm以内、縦・横・高さの合計が90cm以内で、ペット全身が入る専用ケースに入れ、ペットとケースの重さの合計が10kg以内であれば持ち込めます。料金は無料。」
■京成電鉄
「小犬・猫・鳩等の小動物を持ち込まれるときは、必ず次のことをお守りください。小動物を入れる容器の縦・横・高さの合計が90センチメートル程度で、1辺の長さが70センチメートル以内であること。容器と小動物の合計が10キログラム以内であること。他のお客様に危害やご迷惑がかかる恐れがないよう、容器から頭や手足が出ないものであること。料金は無料。」
■西部電鉄
「縦・横・高さの3辺の合計が250cm以内、重量が30kg以内のものであれば、2個まで車内に持ち込むことができます。ただし、1辺の長さが200cmを超えるものは持ち込むことができません。なお、子犬・猫・鳩などの小動物を持ち込まれるときは、3辺の合計が90cm以内で、1辺の長さが70cm以内の容器に入れて、その収納した重量が10kg以内であれば、持ち込むことが可能です。他のお客さまに危害または迷惑をかけることのないようご注意ください。料金は無料。」
■りんかい線
「長さ70cm以内で、たて・よこ・高さの合計が90cm程度の容器に入れて、重さが10㎏以内のものに限りご乗車でき、1個につき280円の手回り品料金が必要になります。ご乗車になられる際に、駅改札係員よりお買い求めください。」
■名古屋市交通局(地下鉄)
「ペットは、地下鉄の運行上支障がないと認められる場合に限り次の条件を満たしている場合にはお客さまといっしょにご乗車いただくことができます。
・少数量の小動物でケースに入れる
・長さ2メートル以内で、縦・横・高さの合計が250センチ以内のケースに入れる
・ケースと動物を合わせた重さが30キロまでであること
・ケースの数は2個までであること
なお、手回り品料金は、不要です。」
■大阪市交通局(地下鉄)
「大阪市交通局では、地下鉄・バス・ニュートラムで、以下の基準により愛玩用小動物(ペット)の持ち込みを認めております。
・専用ケージ・ペット用キャリーバッグ等、持ち運びに適当な蓋が出来る容器に入れたうえ、体毛などの飛散を防ぎ、他のお客さまから姿が見えないよう、容器を布で覆うなどの対応をお願いいたします。
・蓋が出来、ペットの姿が周りから見えない状態にする
・ペットカート・ペットバギーは、カバーの大部分が不透明であり、車内で転回可能な大きさのものなら可能。
・トートバッグなど、蓋がない鞄で、ペットの頭や足を出した状態での持ち込みはご遠慮ください。
・料金は無料。」