犬と猫の肉球はどう違う?
Sonsedska Yuliia/shutterstock.com
犬や猫の持つ特徴のひとつに、足の裏の肉球があります。犬や猫のぷにぷにの肉球が大好き!という方も多いのではないでしょうか?
肉球は同じように見えますが、犬と猫ではそれぞれ異なる特徴を持っています。この記事では、犬と猫の肉球の違いについてまとめてみました。ではさっそくみていきましょう。
肉球の役割とは
犬と猫の肉球はとてもかわいいですが、とても大切な器官のひとつでもあります。
肉球という名称で知られていますが、犬と猫のもつ肉球の正式名称は「蹠球(しょきゅう)」と言います。
犬や猫だけでなく、陸上で生活している哺乳類の食肉目(ネコ目)に属している動物はすべてこの肉球があります。
具体的には、ネコ科の動物であるトラやライオン、チーター、ハイエナ、イヌ科のオオカミやキツネ、クマ科のクマやアライグマ、パンダ、レッサーパンダ、イタチ科のカワウソ、有袋類のコアラやカンガルーなどが挙げられます。
犬や猫が持っている肉球には被毛がなく、直接地面に接するため、ほかの体の皮膚の構造とは異なっています。肉球の表面は分厚い角質層で構成されており、その下はクッションの役割を果たすコラーゲンなどの弾性繊維や脂肪で成っています。
このおかげで地面に接する際の衝撃を和らげることができ、骨や関節を守ることができます。
また、肉球には保湿するために汗腺があります。しかし肉球の表面には血管がなく、一度ケガをしてしまうと治りづらいので、乾燥やひび割れなどのトラブルが発生しないようお手入れが求められています。
犬と猫それぞれの肉球の特徴とは
犬と猫の肉球の基本的な役割は地面からの衝撃を和らげることですが、両者にはいくつかの違いがあります。
では、犬と猫の肉球のそれぞれの特徴を詳しくみてみましょう。
犬の肉球の特徴と役割
Katho Menden/shutterstock.com
犬の肉球は猫の肉球と違い、分厚くてザラザラした手触りをしています。それは、犬の先祖であるオオカミと関係があるようです。
昔オオカミは雪が積もる環境で暮らしてました。雪が積もった地面でも走りやすいように、滑り止めの役割を果たせるよう肉球が進化し、それが現在の犬の肉球に引き継がれていると言われています。
子犬のときは柔らかい肉球をしていますが、歩く機会が増えることで硬くて分厚い肉球へと変わっていきます。
犬の肉球といえば、真ん中に大きな部分が1個、その上にある小さな4つの部分で構成されていると思う方が多いことでしょう。しかし実は、犬の肉球は大きく7個、後ろ足は5個に分かれています。
真ん中にある一番大きな部分は「掌球(しょうきゅう)」、後ろ足は「足底球(そくていきゅう)」と呼ばれています。
その上部にあるのが「指球(しきゅう)」、後ろ足は「趾球(ぼしきゅう)」、さらに人間の親指にあたる「狼爪(ろうそう)」にも「指球」があり、指球の先には爪が生えています。前足の掌球のうしろには「手根球(しゅこんきゅう)」と呼ばれる肉球もあります。
犬はわたしたち人間のように、皮膚表面に汗腺がありません。しかし、肉球周囲には大きな汗腺の分布があるため、緊張すると、わたしたち人間と同じように同じように汗をかきます。
また、肉球の厚い角質は靴の役割を担っています。全体重を支えながら、地面の固さや突起物、熱さ、冷たさなど、地面の状態や季節の変化に関係なく足先を守る働きをします。
さらに弾力のある肉球は、走ったりジャンプしたりする際にクッション代わりにもなります。
時には足音を立てずにそっと獲物に近づくこともあります。年齢と共に肉球は硬くなることに加えて、冬などの乾燥した時期にも肉球は硬くなりやすい傾向にあります。
しかしあまり屋外へ外出しない犬は、ザラザラした場所を歩く機会も少ないので、柔らかいままの肉球を維持することが可能です。
表面は滑りにくい構造をしているので、ブレーキとしても役立ちます。さらには感覚器としての機能を持ち、犬は足元からたくさんの情報を得ているのです。
猫の肉球の特徴と役割
undefined/shutterstock.com
猫の肉球は犬の肉球とは違い、薄くてツルツルした柔らかい手触りをしています。これには猫の祖先であるリビアヤマネコが関係しているようです。
リビアヤマネコはオオカミとは違い、昔は暖かい地域に暮らしていました。そのため、オオカミのように滑り止めの役割を持つ肉球は必要ではありませんでした。
また、獲物を狙う際に物音を立てずに近づくため、ツルツルした肉球が必要だったと言われており、現在の猫の肉球にも名残が残っています。
猫の肉球は前足に6個、後ろ足に5個、つまり全部で22個の肉球を持っています。ちなみに猫の指は前足に5本、後ろ足に4本、合計18本もあります。是非、愛猫の肉球と指の数を数えてみてください。
さて、猫の肉球にはそれぞれ名前がついています。
前足の肉球は「掌球(しょうきゅう)」「指球(しきゅう)」「狼爪(ろうそう)」「手根球(しゅこんきゅう)」と呼ばれています。
そして猫の後ろ足には、「足底球(そくていきゅう)」「趾球(しきゅう)」と呼ばれる2種類の肉球があります。
掌球と呼ばれる肉球は猫の肉球の中で一番大きい真ん中にあるもので、指球は猫の指にひとつづつ付いている小さい肉球です。
狼爪と呼ばれている肉球は基本的に猫の前足だけにあるもので、人間の手に例えると親指の位置にある肉球です。
手根球も狼爪同様、前足のみに存在している肉球で、「豆状骨(とうじょうこつ)」と呼ばれる小さな骨を守る役割がある肉球と言われています。
骨太な猫程豆状骨も大きくなり、それに伴って手根球も大きくなりやすい傾向にあります。それとは逆に、骨細な猫の場合、豆状骨も小さく手根球が目立たないようです。
後ろ足にある足底球は、前足でいう掌球と同じ部位にあたる肉球で、後ろ足の肉球の中で1番大きな真ん中にある肉球のことです。趾球は、前足でいうと指球と呼ばれている部分と同じ肉球で、指に1つずつ付いています。
薄くツルツルした猫の肉球は、獲物を狙うときの忍び歩きや体温調節、顔の手入れなど毎日の生活で大切な役割を果たしています。
また、外に出る猫の場合は、アスファルトをはじめとしたザラザラした場所でも肉球がクッション代わりになって歩きやすくなります。そのため、犬の肉球のようなザラザラした硬めの感触の肉球に変化することもあります。
猫の肉球の色は、それぞれの個体の毛色によって変化します。黒猫は黒色、白猫はピンク色、模様のある猫は肉球もまだら模様になるのも猫の肉球の特徴と言えるでしょう。
肉球にはケアが必要!
nadisja/shutterstock.com
犬も猫も肉球のケアが欠かせないのはなぜでしょうか?それには3つの理由が関係しています。
理由① 肉球の硬化や角質化がトラブルを招くから
犬の場合、毎日の散歩でアスファルトを歩きます。また猫でも、屋外を自由に散歩出来る子はアスファルトを歩きますし、家の中で飼育されている犬猫の場合は、フローリングの化学薬品が原因で肉球が硬化したり、角質化していったりします。
肉球が硬くなるとすべりやすくなり、関節トラブルなどのリスクを高めます。
理由② シニア期になるとガサガサしてくるから
犬や猫もシニア期になると肉球に角質の厚い層ができ、ガサガサになったり硬くなったりしてきます。
また、ひび割れやあかぎれなどになりやすく、出血することもあります。出血している部分から雑菌が入り込み、思わぬ病気を招くこともあるので、肉球のお手入れは特にシニア期には欠かせません。
理由③ 骨格の形成に悪影響を及ぼす可能性があるから
室内で飼育されている犬や猫の場合、多くの家庭がフローリングのことでしょう。
肉球が乾燥していると、骨格の形成に悪影響を及ぼす可能性があります。