ドイツは犬大国
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ドイツのペット事情は、世界のお手本とも言われるほど高く評価されています。
日本では犬に限らずペットが陳列販売されており、たまたま目の前を歩いていただけでその可愛さに魅了され、モノのように衝動買いするようにペットを購入する人は少なくありません。つまり、人間の心理を利用して購買意欲をそそのかす販売が日本では受け入れられています。
しかし、ドイツではペットの陳列販売は禁止されています。なぜなら、日本のような販売方法は、お金目的の過剰な繁殖につながる危険性があると見ているからです。そのため、犬の繁殖に関する規則や管理はとても厳しいですが、可愛そうなペットはドイツにはいません。
ドイツではペットを購入したい人は、ペットショップやブリーダーさんに予約をとり購入することができます。また、ペットを購入する前には、飼い主に適しているかどうかを細かくチェックされます。
さらにドイツでは犬の権利を守ることは当然として考えられており、犬を飼育する人は「犬税」という税金を支払う必要があります。ドイツの動物愛護団体は国内だけでなく、海外でも活動の幅を広げています。現在では犬だけでなく、猫の条例も発足され、今後ますます世界的に動物愛護に貢献することでしょう。
ドイツで人気の犬種ベスト10
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では、そんな動物愛護国ドイツで人気の犬種は何なのでしょうか?人気の犬種ベスト10をご紹介しましょう。
第1位 ジャーマン・シェパード・ドッグ
ジャーマン・シェパード・ドッグと名前がつく通り、ドイツ原産の犬種で”ドイツの牧羊犬”という意味があります。
日本では警察犬の代名詞になっており、家庭でペットとして飼っている人はあまりいませんが、シェパードという名前で知られています。
ジャーマン・シェパード・ドッグはもっとも利発で聡明な大型犬で、世界最高の使役犬と言われています。とても知的で忠誠心や服従心が強く、訓練を好む性格をしているので作業犬として活躍しています。
具体的には警察犬や軍用犬、介助犬、補助犬、盲導犬、麻薬探知犬、災害救助犬、ガス漏れの探知犬、牛の発情期を見分ける牧畜犬などが挙げられます。
毎日、知的な運動と肉体的な活動を行う必要がありますが、自分に与えられた使命は必ず忠実に果たそうとするので、良きパートナーになってくれることでしょう。
第2位 ダックスフンド
日本でもなじみ深いダックスフンドは、実はドイツが原産国の犬種です。最大の特徴は、胴長短足の見た目です。
室内飼いに適した犬種ですが、本来はアナグマなどの動物を穴から追い出す狩猟犬として仕事をしていたので、運動量がとても多く筋肉質な体型をしています。
運動不足になると肥満になりやすいだけでなく、ストレスも溜まってしまうので毎日の運動や散歩が欠かせません。また、四肢が短いので大きな段差に気を付けることはもちろん、背中に負担がかかるような抱き方をしないよう気を付けましょう。
性格はとても勇敢で何に対しても恐れを持たない強さを持っていますが、フレンドリーで落ち着いた一面もあります。
さまざまな毛色が揃っているので、自分の好みのカラーのお気に入りの子を見つけることができるでしょう。
第3位 ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター
ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインターもその名前の通り、ドイツを原産国とする大型の犬種です。
ポインターと聞くとイングリッシュ・ポインターをイメージする方もいるかもしれませんが、ドイツでポインターと言えばジャーマン・ワイアーヘアード・ポインターです。
ジャーマン・ワイアーヘアード・ポインターはイングリッシュ・ポインターと違い、全身が短いワイアーヘアーで覆われています。とても丈夫な被毛で雨に強く、お手入れが簡単なのが魅力となっています。日本ではペットとして飼育されているのはとても稀ですが、ドイツでは人気の犬種として家庭でも飼われています。
第4位 ゴールデン・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバーはイギリス原産の大型犬で、ここ日本でも大人気の犬種のひとつです。
長くて美しい黄金色の被毛を特徴とし、明るくて賢く、フレンドリーな性格をしているためドイツでも人気の高い犬種です。
ゴールデン・レトリバーは運動することが大好きな大型犬なので、体の大きさに合った空間と運動、散歩が必要です。
飼い主さんやその家族のことはもちろん、人間のことが大好きなので番犬には向いていませんが、十分なコミュニケーションを図ることができ最高の伴侶となってくれることでしょう。
第5位 ラブラドール・レトリーバー
ラブラドール・レトリーバーは日本でも盲導犬として有名な、イギリスを原産とする大型の犬種です。
日本でも人気が高い犬種ですが、欧米でもその人気は高く、世界で最も飼育頭数が多い犬種と言われるほど多くの方から愛されています。
ゴールデン・レトリバー同様、頭がよくて訓練性能が高いだけでなく、温和で友好的な性格から家族の一員として可愛がられています。
現在はペットとして家庭で飼われていますが、盲導犬や警察犬、身体障害者犬などの使役犬としても活躍しています。幼い子どもから高齢者まで、ほかのペットとも順応性よく対応してくれるので毎日楽しいペットライフを送れること間違いありません。
第6位 ボクサー
ボクサーの原産国はドイツですが、まだ比較的新しい犬種です。太くてがっちりした骨格と、引き締まった筋肉、角張った体格が特徴の中型犬です。短毛で光沢のある滑らかな被毛で全体が覆われています。
性格は好奇心旺盛で活発、飼い主さんに忠実で愛情深い特徴をしています。また、人間をよく観察して、人間の行動に合わせることができる順応性も備えています。
さらに訓練性能も高く、見知らぬ人には警戒心がとても強いので番犬として活躍してくれます。
陽気で活発な面と甘えん坊な一面もあり、飼い主さんやその家族にとても愛情深いので、素晴らしいパートナーになってくれることでしょう。しかし、もともとは猟犬だったので攻撃的な面もあるので、しっかりとしつけをすることが必要です。
第7位 プードル
プードルはロシアやスペイン、ポルトガル、中央ヨーロッパなどさまざまな説がありますが、フランスで誕生した説が一番高いようです。
プードルの語源はドイツ語の“Pudel”(“ポチャン”と水のはねる音)だと言われています。
そんなプードルにはスタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイとサイズが中型犬から超小型犬までありますが、ドイツではスタンダードが人気のようです。
被毛はアンダーコートのシングルコートで、カーリーへアが伸び続ける特徴があるので、カットなど常に被毛のお手入れが必要です。
聡明で物覚えがよいので比較的しつけもしやすいので、初心者の方でも飼いやすい犬種と言えるでしょう。
第8位 グレート・デーン
グレート・デーンは、ドイツ原産の超大型犬で、日本ではあまり馴染みがありませんが、ドイツではとても有名な犬種です。
超大型犬ですが、とても優雅な姿をしているので強さと美しさのシンボルとして、特に上流階級から愛されているようです。
その見た目の大きさから害獣にも立ち向かえる勇敢さを持つ反面、穏やかな性格も持ち、人間に対して強い服従心も備えています。
飼い主さんやその家族には心を許して「優しい巨人」とも呼ばれるほどフレンドリーですが、家族以外の人には警戒心を抱くこともあります。
コミュニケーションやスキンシップをとりながら、しつけをしっかりすることがとても大切です。グレート・デーンは頭が良くて温厚な性格をしていますが、しつけがしっかりされていないと、いざというときに制御することができません。
そのため、茨城県ではグレート・デーンを特定危険犬種に指定しており、飼育する際にはオリの中で飼うなどの条件があります。しっかりしつけができる人に向いている犬種と言えるでしょう。
第9位 ロットワイラー
ロットワイラーは牛を倒すことができるほど勇敢な大型犬で、ドイツ原産の品種です。ロットワイラーの祖先は、食料となる牛や羊を引率して守った牧畜犬と言われています。
防衛能力があることはもちろん、力も強いためとても重宝されていました。現在では力や気が強いことを活かし、警察犬や護衛犬などで活躍しています。
人懐っこい気質はしていませんが、飼い主さんやその家族など可愛がってくれる人にはとても温厚で穏やか顔を見せてくれますが、見知らぬ人や自分の家族に脅威をもたらすと判断された存在には、強い警戒心から攻撃性の一面を見せることがあります。ですから、小さいときからしっかりしつけをすることはとても大切です。
また、体がとても大きく、力が強い犬種なので、家族として迎える前に飼育方法をしっかり把握しておくようにしましょう。
第10位 バーニーズ・マウンテン・ドッグ
バーニーズ・マウンテン・ドッグはスイス原産で、およそ2,000年以上前から存在している古い犬種として知られています。
スイスのベルン周辺の山岳地帯の農場で牛追いなどの作業犬として活躍していました。
昔と変わらない美しい被毛を特徴としており、目の周囲の毛は黒く、顔の中央にある白い毛がとても際立っています。どっしりとした頑固な体型、飾り毛のある垂れ耳、豊かな飾り毛がとても魅力的と言えるでしょう。
性格は温和で落ち着きや社交性があり、とても辛抱強く、感情性豊かです。警戒心はやや強いので番犬にも適していますし、飼い主さんやその家族としっかりコミュニケーションをとり良きパートナーになることも可能です。
ドイツ人の犬の好み
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ここまででドイツで人気の犬種ベスト10を見てきましたが、ドイツ人には以下のような好みの傾向があるようです。
ドイツ原産の犬種
ドイツで人気の犬種の半分以上は、ドイツを原産とする犬種です。自国の犬種をとても大切にしている傾向がとても印象的です。
大型犬
ドイツでは大型犬が好まれる傾向にあるようです。特にドイツの農村地域では飼育する広さもあるため、大型犬を家族としている家庭が多くあるようです。
ここ日本ではトイプードルやチワワなど小型犬が人気があるのに対し、ドイツではジャーマン・シェパード・ドッグやジャーマン・ワイアーヘアード・ポインター、ゴールデン・レトリーバーなどドイツ原産の犬種や大型犬、賢い犬種などが好まれている傾向があります。
賢い犬種
ドイツでは訓練性能が高い、頭の良い犬種が好まれています。真面目で勤勉なドイツの国民性によく合っているのではないでしょうか?