犬に麦茶を飲ませても問題ない?
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暑い夏にはやっぱり麦茶ですよね。体にも良い飲み物だし、小さな子供にも安心して飲ませられるので、冷蔵庫には常に常備しているというご家庭も多いのではないでしょうか。
暑い日が続くと、愛犬もバテ気味になってしまいます。そんな様子を見ていると、飼い主の自分が飲んでいる麦茶を愛犬にも飲ませてあげたくなるかもしれませんね。しかしその場合心配なのはカフェインやタンニンなどの成分です。
犬に「カフェイン」や「タンニン」が含まれている飲み物はぜったいに与えてはいけません。緑茶や紅茶、ココアなどは飲ませてはいけません。犬はカフェインを排出しにくい体質なので、中毒症状を引き起こしかねないからです。
では、麦茶はどうなのでしょうか。お茶の類なので、紅茶や緑茶のように、犬にとって良くない成分が含まれているのでしょうか。
結論から述べると、麦茶は犬にも飲ませて良いお茶です。カフェインレスですし、赤ちゃんにも飲ませても良い健康的な飲み物なので、犬にも安心して与えることができる飲み物です。
ただし、与え方には注意が必要です。すべての犬にとって健康的な飲み物となるわけではないからです。
麦茶にはどんな栄養素が含まれていて、犬にとってどんな効果があるのでしょうか。今回は麦茶の基本知識や与えるメリットについて取り上げましょう。その後、与える際にどんな点に注意すると良いのかも取り上げたいと思います。
麦茶に含まれる栄養素
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麦茶にはどんな栄養素が含まれているでしょうか。麦茶は大麦の種子を煎じたものですが、まず何といっても飲み物ですから「水分」が栄養素の大部分を成しています。ですから、暑い夏の水分補給としてとても役立っています。
水だけでなくさまざまな栄養素や効能が麦茶には含まれています。麦茶100gあたりに含まれる成分を調べてみました。
<麦茶100gあたりに含まれる成分量>
・水分―99,7g
・エネルギー―1kcal
・炭水化物―0,3g
・ナトリウム―1mg
・カリウム―6mg
水分はもちろんですが、カリウムやナトリウムが多く含まれています。他にも、「アルキルピラジン」と呼ばれる香り成分や、GABAと呼ばれるアミノ酸の一種も入っています。
では、それぞれの成分の効果や効能について詳しく見てみることにしましょう。
腎臓の働きをサポートする効果
カリウムやナトリウムといったミネラル成分は、互いに相互作用しながら、細胞を正常に保ったり、血圧のバランスを取ったりするなどして体を維持するのに役立っています。
カリウムは、腎臓でのナトリウム(塩分)の吸収を抑え、体内の毒素の排出を促す役目を担っています。それによって、血圧の上昇を抑えたり、筋肉の収縮をスムーズにしたりする働きを担っています。
腎臓の働きをサポートし、水分代謝を促すことで、おしっこと一緒に老廃物を排出します。それによって、体がむくまないように助けたり、膀胱炎や腎炎といった炎症から守ってくれたりしています。
特にむくみやすい夏にカリウムが多く含まれている麦茶を摂取することは、体にとって大きなメリットがあると言えるでしょう。
血行促進効果・血圧を下げる効果
麦茶に含まれるアルキルピラジンと呼ばれる栄養素には、血液をサラサラにする効果があります。また、ギャバは血圧を下げる働きをしてくれる効果があります。
そう考えると麦茶は血行を促進して高血圧を抑制するのに最適な飲みものです。ちなみに麦茶の香ばしい香りは、このアルキルピラジンの香りです。
熱中症対策に役立つ
麦茶の原料である大麦には、体温を下げてくれる効果があります。また、麦茶に含まれるミネラル成分が、夏バテの防止や疲労回復に役立つので、暑い夏の熱中症対策に効果を期待できると言えます。
抗酸化作用がある
麦茶に多く含まれるビタミンには、抗酸化作用があります。抗酸化作用というのは、体の中で生じる、老化や病気の原因となる活性酸素を抑えたり、がんや動脈硬化といった病気の予防をしてくれたりする働きのことです。それで、「ガン」「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」などの予防に効果があるとされています。
犬が麦茶を飲むその他のメリット
麦茶には、体に良いたくさんの栄養素が含まれていますから、もちろん犬にとっても良いことだらけです。夏は犬でも熱中症や脱水症状になってしまうことがあります。もともと積極的に水を飲もうとしない犬の場合には、特にそうした熱中症や脱水症状には注意が必要です。
水が苦手な犬でも、麦茶だと飲んでくれるかもしれません。麦茶に含まれている「アルキルピラジン」という香ばしい香り成分に引き寄せられる可能性もあるからです。もし愛犬が水をあまり飲んでくれないなら、夏に限らず、麦茶で試してみるのも良いかもしれないですね。
ちなみに「アルキルピラジン」という香り成分には、ストレスを緩和させる働きもあるそうです。犬がストレスを感じているかは分かりませんが、リラックス効果を与えてくれるというメリットもあるでしょう。
犬に麦茶を与える際に注意したいこと
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犬に麦茶を与える場合は以下のような点に注意してください。
○尿路結石や腎臓系の病気を持っている犬には飲ませない
麦茶は健康にも良いですし、水分補給やリラックス効果も期待できるということで、我が家の愛犬にも積極的に取り入れてみよう!と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、与える際には注意が必要です。
販売されている麦茶の中には、「ミネラルが添加されている麦茶」もあります。確かにミネラルは、水分代謝を促したり、腎臓の働きをサポートしたりするのに役立つ成分ですが、過剰摂取し過ぎると「尿路結石」や「尿血症」につながる可能性もあります。
それで、特に腎炎等の病気や、尿路結石を患ったことがある犬には、麦茶は飲ませない方が良いと言えるでしょう。症状をぶり返したり、悪化させたりしてしまうかもしれないからです。
体質的に結石ができやすい犬もいます。健康に問題が無い犬であったとしても、もし暑い夏の水分補給を目的として与えるのであれば、水の代わりに麦茶ばかり大量に飲ませるのではなく、「少量」を目安に与えることを心がけるようにしましょう。
○食中毒に気を付ける
水と比べると麦茶の方が腐敗が進みやすいです。雑菌が繁殖しやすい暑い夏であれば、特にそう言えるでしょう。雑菌が繁殖した麦茶を飲んで、万が一嘔吐下痢やなどの食中毒症状が出てしまうと大変です。
どんなに冷蔵庫で保管しておいたとしても、こまめに作り直すようにして、新鮮な麦茶を与えるようにしたいものです。
○飲ませ過ぎない(適量を与える)
どんなに栄養価の高い飲み物であったとしても、飲み過ぎは良くありません。特に水分を摂りすぎてしまうと、嘔吐や下痢などをお腹を壊す可能性も高くなりますし、それだけ胃腸に負担をかけてしまうことになりかねません。
麦茶を喜んで飲みたがる犬もいるかもしれませんが、「うちの犬は麦茶が大好きなの」と、一度にたくさんの量を与えてしまわないように気を付けてください。特に初めて麦茶を飲ませる時は、ごく少量からスタートして様子を見ることが大切です。
○常温の方が良い
冷蔵庫から出したてのキンキンに冷えた状態の麦茶を飲ませると、軟便になったり、嘔吐下痢になったりしてしまう犬もいます。あまり冷えすぎていない麦茶のほうが、胃腸に負担をかけることが少ないでしょう。