猫とゴーヤの関係
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苦味が特徴のゴーヤは、好き嫌いがはっきり分かれる野菜のうちの一つですが、実はたくさんの栄養が含まれています。そのため、夏バテ解消など様々な健康効果が期待される野菜として食べられるようになってきました。
夏の暑さで体力が奪われるのは、人間もネコちゃんも同じです。暑さで食欲が低下しているネコちゃんを見ると、ゴーヤの成分を摂取すれば、ネコちゃんも元気になるのではないかと考える飼い主も多いようです。
しかし、人間にとっては健康によい食材であっても、ネコちゃんやワンちゃんなどの動物にとっては危険な食材であるということも少なくありません。
では、ゴーヤはネコちゃんに食べさせても大丈夫な食材なのでしょうか。ネコちゃんに食べさせた時、健康に役立つメリットがゴーヤにはあるのでしょうか。
この記事では、そうした愛猫家のふとした疑問について答えたいと思います。また、ネコちゃんにゴーヤをあげる場合の注意点などについても紹介します。
ゴーヤとは
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ゴーヤは、熱帯アジア原産の野菜です。ウリ科ツルレイシ属に属している、つる性の一年草です。強い苦味があることから、「苦瓜」とも呼ばれています。
ゴーヤが生産されているのは、熱い南国のイメージがあります。しかし、日本においては九州や沖縄などの南側だけでなく、本州はもちろん、東北や北海道に至るまで、すべての地域で栽培することが可能な野菜です。
ゴーヤは夏の時期につるを伸ばしながら、大きな葉を広げて成長する植物なので「グリーンカーテン」として、日よけとして役立てるために栽培されるというケースが多いようです。暑さをしのぐのに役立ち、美味しく食べることのできる一石二鳥な食材です。
一説によると、ゴーヤが作る日陰によって、太陽の熱を80%程度も遮ってくれるという調査もあるようです。このように、ゴーヤは少しでも快適な環境で夏場を過ごすために、多くの日本人に重宝されている野菜です。
家庭でも簡単に栽培でき、あまり手間がかからないという点も、気軽に多くの人がゴーヤを栽培しようと思う理由の一つです。
ゴーヤに含まれる成分や栄養素について
夏バテ対策に有効で、暑さでダメージを受けた体をケアするための栄養素が豊富に含まれているというイメージがあるゴーヤですが、実際にどんな栄養素や成分が含まれているのでしょうか。
1.ビタミンC
ゴーヤの中に、特に多く含まれている栄養素は「ビタミンC」です。ゴーヤの「ビタミンC」含有量は、他の野菜と比べても突出していて、野菜の中ではトップクラスです。
例えば、「ビタミンC」が多く含まれているイメージのあるレモンと比較しても、ゴーヤに含まれている「ビタミンC」含有量はレモンのおよそ2倍から4倍です。また、キュウリやトマトと比較しても、およそ3倍から5倍もの「ビタミンC」が入っています。
他の野菜に含まれている「ビタミンC」は、焼いたり煮たりするなど、調理の時に熱を加えると、貴重な成分が壊れてしまう傾向があります。
しかし、ゴーヤに含まれている「ビタミンC」は熱に強く、加熱調理しても壊れることがありません。そのため、効果的な仕方で体内に「ビタミンC」を吸収することが可能です。
2.モモルデシン
さらに、ゴーヤの特徴的な苦みを生み出している成分である「モモルデシン」には、胃液の分泌を促して食欲を増進させる効果があります。夏バテで胃腸が疲れていて、食欲が低下していても、ゴーヤを食べると食欲がわいてくるのは、この「モモルデシン」の効果です。
「モモルデシン」には、胃腸の粘膜を保護する働きもあります。また、血糖値を下げたり、コレステロールの値を適正に保つ効果も確認されているようです。つまり、ゴーヤを食べると、成人病の予防にもつながります。
3.ベータカロチン
またゴーヤに含まれている「ベータカロチン」には、がん予防や老化を防ぐ働きがあるとされています。「ベータカロチン」とは、緑黄色野菜に多く含まれている栄養素の一つです。
特に、老齢のネコちゃんは人間と同じように、加齢とともにガンを発症するリスクが高まっています。そのため「ベータカロチン」をしっかりと摂取することが必要になります。
人間の場合には、体内に摂取した「ベータカロチン」を必要に応じて「ビタミンA」に変換する特殊な酵素を持っています。人間の他にも、ワンちゃんなどの他の多くの動物も同様の酵素を持っているとされています。
「ビタミンA」には、目の健康に役立つ効果が期待できます。特に、年齢と共に生じる視力の衰えを抑制する効果が期待できます。それで、「ベータカロチン」を摂取することにより、間接的に目の健康をサポートすることが可能です。
しかし、残念ながらネコちゃんには、「ベータカロチン」を「ビタミンA」に変換する酵素がないので、ゴーヤに含まれている「ベータカロチン」を摂取させたとしても、目の健康に対する効果は期待できないようです。
4.ビタミンK
またゴーヤには、「ビタミンK」も豊富に含まれています。「ビタミンK」には、動物の体内のタンパク質の働きを活性化させる役割があります。
特に、ゴーヤに含まれている「ビタミンK」は、骨の中にあるタンパク質の働きを促進させ、健康で丈夫な骨を形成するのに役立ちます。
5.食物繊維
加えて、ゴーヤには「食物繊維」も豊富に含まれています。例えば、セロリと比較するとおよそ30倍もの「食物繊維」が含まれています。「食物繊維」は、腸内をキレイに保ち、便秘を改善するなどの整腸効果が期待できる成分です。
6.カルシウム、鉄分
他にも「カルシウム」が牛乳のおよそ11倍、「鉄分」に関して言うと、ほうれん草の約2.3倍と、それぞれ含有量が多いイメージのある代表的な食材と比較しても、はるかに上回る量の栄養素がゴーヤには含まれています。
このようにゴーヤには、「ビタミンC」や「ビタミンK」などのビタミン類に加えて、「食物繊維」や「カルシウム」、「鉄分」などが豊富に含まれています。
そのため、夏場の暑さによるダメージを負った体を修復したり、心身の健康を保ちつつ、体力を維持したりするのに役立つ非常に有用な食材です。