犬かきができない犬もいるってホント?
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夏の水遊びに、愛犬を同伴させる計画を立てているご家庭もあることでしょう。
人間の場合、最初から上手に泳げる人はいませんが、犬は本能的に泳ぐことができます。
早ければ生後1ヶ月も経過すれば、自然に泳げるようになります。誰からも教わることなく、始めからマスターし、長距離泳げる子もいます。
そのため、「犬かき」と呼ばれる泳ぎは、犬なら泳げて当たり前!と思われている方もいるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。
犬の中には泳ぐことができずに溺れてしまう犬や、水を怖がる犬、水が大嫌いな犬などもいます。
なぜなら、家庭犬としてペットとして扱われるようになり、野生で生きていく必要がなくなったため、泳ぐという行動も必要なくなったからです。また、本能的に持っている泳ぎの能力を使わないことで泳ぎ方を忘れてしまい、犬かきができない犬もいます。
あなたの愛犬はどうでしょうか?
犬かきが得意でない犬種とは?
個体差もありますが、犬かきが得意ではない犬種があります。一般的に大多数のテリア種は、本能的に水に親しみを感じていないと考えられています。
なぜなら、テリアという名前はラテン語の”テラ(大地)”に由来しており、主に農作物を荒らすアナグマやネズミ、キツネなどの害虫を駆除する役割をしていたため、土地を掘ることを得意とし、水とはほとんど接触してこなかったからです。
そのため、テリア種は犬かきが得意でないと言われています。
また、フレンチブルドッグがダックスフンドなど足の短い犬種も泳ぎが苦手なようです。足が短く水中でバランスを上手にとることができないので、泳ぎが不得意と言われています。
犬かきが得意な犬種とは?
テリア種とは対照的に、プードルは水猟犬として活躍していました。
また、ゴールデン・レトリバーやウォーター・スパニエルは、猟師が弓矢などで撃ち落とした池や湖の上を飛んでいる水鳥を泳いで回収する仕事をしていました。
漁師の網を一緒にひいていたこともあるようです。このように人との付き合いだけでなく、泳いで仕事をする歴史も長いため本能的に水に対して抵抗がありません。
むしろ、これらの犬種は水を見ると、飛び込んで泳ぎたくなってしまう傾向にあるようです。そのため、わざわざ犬かきを教えなくても、最初から上手に犬かきができる個体もいるほど泳ぐことが好きな犬種として知られています。
愛犬が水キライにならないためにできることとは?
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本来なら水遊びが大好きで泳ぎが得意な犬種の中にも、うまく泳げなかったり、水が嫌いで泳げない犬もいます。
また、泳ぎ方がDNAに組み込まれていない犬、つまり、本能的に泳げない犬種も泳ぎを苦手とします。そんな泳ぎ方を知らない犬種たちには、まず泳ぎ方を学ぶ前に水を好きになる必要があります。
では、ここで愛犬が水嫌いにならないためのポイントをいくつかご紹介しましょう。
ポイント1.水がトラウマにならないようにすること
どんな犬種だとしても、飼育しているなら定期的にシャンプーをすることでしょう。
シャンプーの際、愛犬が嫌がっているのに無理やり水をかけたり、シャワーをすると水が嫌いになってしまう可能性があります。
特に幼犬時期に水に対してイヤな思いをするとそれがトラウマとなり、生涯にわたって水嫌いになる可能性があるので注意しましょう。
ポイント2.無理やり海や川、プールなどに入れないこと
犬が嫌がっているのに、無理やり海や川、プールなどの入れるとますます水嫌いになってしまいます。ですから、嫌がるようなら入れないようにしましょう。
ポイント3.雨の日も散歩をすること
雨の日は散歩に出かけない飼い主さんもいますが、水嫌いになるきっかけになります。飼い主さんが犬が濡れることを嫌がると、犬もそれを察知して水嫌いになってしまうのです。
愛犬を泳ぎの得意な犬にしたいなら、普段の習慣も一度見直してみましょう。
ポイント4.ホースで水浴びをしてみる
家に庭などのスペースがあるなら、ホースを使って愛犬を水浴びさせてみましょう。
ホースの先端部分に付いているノズルには、水流を調節できるタイプのものがあります。シャワーのような水圧にしたり、霧のような細かい水流に調節することも可能です。
愛犬の様子を見ながら水圧を調節して水浴びさせるなら水に慣れるくれることでしょう。
もし自宅にホースがないなら、じょうろで代用することができます。愛犬がビックリしないようにリードをつけて安心させながら、少しずつ水をかけてきることができるでしょう。
ポイント5.自宅のお風呂場で水に慣れさせる
小型犬を飼育しているのなら、自宅のお風呂場で水遊びさせることも有効です。
通常シャンプーのときは温かいぬるま湯を使いますが、水遊びのときは冷たい水につかります。でも急に冷たい水をかけると驚いて、冷水がトラウマになる可能性があります。
ですから最初はぬるま湯からはじめ、少しづつ温度を下げて冷たい水に慣れるようにさせましょう。
それに加え、愛犬が楽しいと感じるような雰囲気作りも欠かせません。愛犬が安心するようお風呂場におもちゃをおいて一緒に水に濡れながら遊ぶなら、水遊びは楽しい!と認識するようになるでしょう。
犬かきの練習方法とは?
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愛犬が水に抵抗がなくなったら、いよいよ犬かきの練習に入りましょう。
練習に最適な場所はどこ?
では、どこで犬かきの練習をすればよいのでしょうか?
泳ぐことが初めての場合は、ドッグプール、自宅のバスタブ、波がない海、湖などが練習に適しています。
特にドッグプールが近くにあるのであれば、そこで練習することができるでしょう。海が近くにある場合は、波がない海岸で波打ち際で遊ぶことから始めましょう。
波がない方が良いのは、人間にとっては足にかかる程度の大きさの波だとしても、目線の低い犬にとっては波が大きく見えるため恐怖感を与えてしまうことがあるからです。
ですから、焦らずにゆっくりと海の波に慣れさせていきましょう。
練習のポイントとは?
一番効果的な練習方法は、飼い主さんも一緒に水の中に入ることです。そして、愛犬が大好きなおもちゃやボールでいつものように遊びましょう。
その後、愛犬が水の中で遊ぶことが楽しいと感じているようなら、おもちゃやボールを少し遠くに投げてみましょう。その際、一緒に泳ぎながらそばに付いてあげることがポイントです。
愛犬は飼い主さんが一緒にいればとても安心するので、自然に手足を動かして犬かきをするようになるはずです。
もし愛犬が手足で水面をバシャバシャと叩き、身体全体が縦になってしまうようなら、お腹を下から支えて、水面に並行になると身体が浮くことを教えてあげることが大切です。
ライフジャケットを付けるのもアリ!
犬には泳ぎが得意な犬種もいれば、泳ぎが苦手な犬種もいます。ですから、泳ぎを教える際には、必ず犬の個性を見極めてよく把握してから練習を始めるようにしましょう。
もし泳ぎを苦手とするようなら、ライフジャケットやウエットスーツなど浮力のあるものを着て練習することもひとつの方法です。
ライフジャケットやライフベストなどはカラフルなカラーのものが多いので、愛犬をすぐに見つけることができ便利です。
肥満気味の子や足腰の弱い子などには、特に有効な方法と言えるでしょう。
無理しないことが大切!
上の方でも触れた通り、水の好き嫌いは先祖が水に関係する仕事をしていたかどうかや本能に左右されます。
それに加え、個体差や性格に違いがあるように、水の好き嫌いもそれぞれ異なっています。そのため、水が嫌いな子に無理やり泳がせようとするなら、さらに水嫌いが悪化してしまうことでしょう。
まずは水に慣れるようシャンプーの時におもちゃで遊んだり、シャンプーで身体が濡れた後におやつをあげるなど様子を見ながら少しづつ水に慣らすことが大切です。
幼犬の時から水に慣れさせる練習をするなら、泳ぎも上手になることでしょう。生後1ヶ月くらいを目安に水に慣れる練習を始めることができるかもしれません。
ただし、水に慣れたからといって、いきなり川や海に連れていき泳がせることはNGです。どんな犬種でも最初は練習が欠かせません。まずは足がつくくらいの場所で水に慣れさせ、少しづつ深い場所へと連れていき練習させましょう。
犬の場合、人間と違って体力の配分をすることができませんので、自由に泳がせることは危険が伴います。特に海の場合、遠くまで泳いでいってしまい、戻ってくる体力がなくなってしまうことや、海水の塩辛さや波の強さなども加わるので注意が必要です。