「かわいい」に共通している特徴とは?
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子犬や子猫、人間の赤ちゃんなどをみると「かわいい!」と多くの方が思うのではないでしょうか?
なぜ多くの方が「かわいい!」と感じるのでしょうか?
それは犬を含めて多くの動物の赤ちゃんには、頭が大きくて丸い、広いおでこ、目と目の間が離れている、鼻と口が小さい、頬がふくらんでいる、目鼻が顔の低い位置にある、手足が短い、ずんぐりむっくりした体型などをしているなどの特徴があるからです。
これらの特徴は、「ベビースキーマ」と呼ばれています。これは自分の力だけでは生きていけないまだ未熟な赤ちゃんが、大人に「かわいい!」と思わせて、お世話や保護を引き出し、その力を借りて生きていくための戦略となっています。
そして、犬の場合、幼さを残したまま成長する「ネオテニー」という現象があるため、成犬になっても可愛いと言われています。
そのため特に愛犬の場合、「どうしてうちの子は、こんなに可愛いのだろう」と感じてしまうのです。
では、ネオテニーとはどんな現象なのでしょうか?詳しくみてみましょう。
「ネオテニー(幼形成熟)」とは?
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最近、テレビや雑誌などでよく見聞きする「ネオテニー(幼形成熟)」という言葉を、みなさんはご存知でしょうか?
ネオテニーとは生物学的に使われている言葉で、子どもの特徴を残したまま成長し、子孫を残す状態のことを指して使われています。
ネオテニーしてよく知られている生き物のひとつに、水族館で大人気の「ウーパールーパー」が挙げられます。
みなさんもウーパールーパーの愛くるしい姿をきっとご存知のことでしょう。
豊かな表情とピンクの小さなエラが可愛らしウーパールーパーの姿は、見た目は子どものような幼さの外見と性質を残しながら、繁殖ができる大人に成長しているため「ネオテニー」と言えます。
実は、犬も「ネオテニー」と言われています。なぜでしょうか?
犬はオオカミのネオテニー?
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「犬はオオカミのネオテニー」という学説があります。
それは犬がその祖先であるオオカミの幼少期のような外見をしているからです。つまり、犬は性的に完全に成熟した大人でありながら、オオカミの幼いころの性質を残した外見をしています。
犬とオオカミを比較してみると、犬はオオカミの身体を小さくし、耳が垂れ、顎が小さくなり、尻尾が巻いているなどオオカミの子どもの身体的な特徴が残っています。
それは外見だけでなく無邪気さまでも残されています。たとえば犬はボール遊びや水遊びが大好きですぐに夢中になったり、さまざまなものに対して常に好奇心旺盛です。
このように犬はオオカミが幼児期のみに持つ特徴を、一生涯持ち続けるため「オオカミのネオテニー」と言われています。
つまり、ネオテニーである幼い愛くるしさを生涯持ち続けるため、可愛いのです。
犬が人間と仲良くなれた理由とは?
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ネオテニーは外見だけでなく、上記でも少し触れましたが行動や気質にもあらわれます。
子どもの気質の特徴として、恐れ知らずであることや好奇心旺盛、物事に対して柔軟性があるなどが挙げられます。
つまり、犬は本来生活すべき環境とは全く異なった人間社会で共存するための柔軟性を手にすることができました。
幼児期のオオカミは兄弟とよく遊びますが、大人に成長すると遊ぶことをしなくなります。
一方犬の場合、小さい頃からよく遊び、それは大人に成長しても変わりません。成犬になっても飼い主さんと遊ぶことが大好きです。
つまり、犬は他の個体とかかわりを持つことが大好きな生き物で、遊びたいという気持ちは、相手との信頼関係を築き、その結果、愛情も強くなっていきます。
このように犬は、「愛されたい!」とか「認められたい!」という欲望を持ちながら人間と関わっているネオテニーなため、多くの方が愛情を感じているのです。