ルーツ
1890年頃のイギリスで、チョコレートポイントやシールポイントのシャム猫と、黒猫や褐色の猫が自然交配をして生まれていた、栗褐色ブラウンの被毛にグリーンの瞳を持つ猫がハバナブラウンの最初の誕生と言われています。
つまり最初は、偶然に出来上がったのです。
この頃は、「スイス・マウンテンキャット」と呼ばれていたそうです。
しかし、シャム猫のスタンダードはグリーンではなくサファイアブルーの瞳だけであることや、被毛が単色であることから、シャム猫愛好家から人気が出ることもなく、繁殖が積極的に行われることはありませんでした。
繁殖がなされなければ当然のこととして頭数が増えることなく、むしろ減ってゆき、1950年代には栗褐色ブラウンの被毛を持つ猫を見かけることがなくなってしまいました。
そこで、昔は自然にいたあの茶色の猫たちの姿がみられないことに危機感と嘆きを感じたイギリスのブリーダーが、ブラウンの被毛を持つ猫を作るために人為的な交配を試みるようになりました。
1952年にロシアンブルー・雑種の黒猫・濃色の猫達・シャム猫(シールポイントやチョコレートポイント)を交配させて、単色のチョコレート色をしている猫を作り出しました。
それらの猫達の中で、グリーンの瞳を持ち、被毛が濃いチョコレートブラウンの猫か、やや明るいチェストナットブラウンの猫が「チェストナットブラウンフォーリンショートヘア」という名前でイギリスの猫血統登録団体であるGCCFに公認されました。
この時の猫が「ハバナブラウン」の原型になります。
その後アメリカに輸入されるようになり、よりアメリカ人が好むガッチリとした体型に変えるための繁殖などがなされ、アメリカの血統登録団体により1964年に「ハバナブラウン」として公認されました。
イギリスでは、1970年に「ハバナブラウン」と正式に認められるようになりました。
その時代は、ハバナブラウンの頭数が100頭ほどと、とても少なかったこともあり、アメリカの血統登録団体は1974年頃まではロシアンブルーやシャム猫との雑配を認めていたのでライラック色よりの被毛を持つ猫も生まれるようになりました。
そこで、1980年代にブラウンを外して「ハバナ」が正式名称とされました。
ただ、やはり発色の良いブラウンの被毛が何よりの特徴なので未だにハバナブラウンと呼ばれていることの方が多いです。
2011年の時点でも、頭数は1,000頭ほどしか登録されていないので希少猫種とされています。
そのため近親交配を避け、遺伝子の多様化を進めるためにチョコレートポイントやシールポイントのシャムとの交配のみを認めている登録団体もあるそうです。
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名前の由来
ルーツを調べても原産国はイギリスだしキューバとは一切関係なさそうですが、なぜハバナなどとついているのでしょうか?
それには二つの説があります。
一つ目は、キューバの首都であるハバナは葉巻がとても有名でそこから名前がつけられたという説です。
当時のイギリスやアメリカでは、葉巻は上流階級のたしなみとして流行っていました。
特に、ハバナ産の葉巻は高級品ブランドとして人気がありました。
そんな質の高いハバナ産の葉巻の色に似て、高級感が漂うブラウン色をしている被毛なので「ハバナブラウン」と名付けられたそうです。
二つ目は、同じようなブラウンの被毛を持つウサギである「ハバナウサギ」から取られたという説です。
しかし、ハバナウサギのネーミングもキューバの首都であるハバナの葉巻から取られているので、どちらの説も由来は同じと言えるかもしれません。
何れにしても、ハバナ産の葉巻の色に似ている被毛を持っているのでこの名前がついたということです。
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