ルーツ
Ekaterina Kondratova/shutterstock.com
「Norwegian Forest Cat(ノルウェージャンフォレストキャット)」とは、「ノルウェーの森の猫」という意味で、その名の通りノルウェー原産の猫種で、人間の手によって作り出されたのではなく、昔からノルウェーの森で自然と共に暮らしていたそうです。
ノルウェーでは、「森」を表す言葉である「Skog」「Skau」を使った、「Skogkatter(スコグカッテル)」、もしくは「Skaukatter(スコウカッテル)」と呼ばれています。
方言によって微妙に違いがありますが、自然の中で発祥したことがわかる呼び名ですよね。
ノルウェーは北欧の自然環境の厳しい国ですが、ノルウェージャンフォレストキャットは寒冷気候に適合できる身体的特徴をもちあわせているので生き延びることができたのでしょう。
その歴史は、もしかすると数千年前までさかのぼるかもしれないと言われており、実際に神話にも登場しています。
例えば、雷神トールが持ち上げることのできなかった大きな猫や、北欧の女神フレイヤが車を引かせるために使った猫は、ノルウェージャンフォレストキャットだとされています。
ルーツに関しては、ノルウェーで自然発生したことが一番有力な説とはされていますが、ロシアのサイベリアンから発祥したという説もあり、その起源は謎には包まれています。
ノルウェージャンフォレストキャットに見られる毛色が、ヨーロッパ土着の猫にはほとんど見られないことから、ヨーロッパ発祥ではなく、8~10世紀ごろに北欧周辺に居を構えたバイキングによってトルコから持ち込まれた説もあります。
何れにしても、はるか昔からノルウェージャンフォレストキャットは、ノルウェーの森林地帯に生息していたことははっきりしています。
何世紀もの間品種として認識されることもなく、ネズミ捕り猫、もしくは普通の飼い猫として、農家や一般家庭に住み着いていました。
少数のノルウェージャンフォレストキャット愛好家によって、ドイツのキャットショーに出されたり、ノルウェーの首都のオスロで開かれたショーでお披露目されたこともありましたが、第二次世界大戦が勃発し、繁殖計画は中断されてしまいました。
なんとか戦争を生き残りはしましたが、戦火の影響で頭数は激減してしまい、絶滅の危機に瀕しているノルウェージャンフォレストキャットの種の保存のためにブリーダーたちが尽力するようになりました。
このように1970年代に入るまでは、過酷な状況に置かれていたノルウェージャンフォレストキャットですが、1977年には、ヨーロッパ猫種登録団体において正式に猫種として認められました。
その2年後の1979年には、ノルウェージャンフォレストキャットのペアがアメリカ輸出され、アメリカでも繁殖が行われるようになりました。
その結果、1993年にCFAでも正式な猫種として公認されました。
アメリカでは、「Wegie(ウェジー)」という愛称で親しまれていますし、日本でも「ノル」という愛称がつけられるなど、人気猫種として世界中で多くの人に愛されています。
身体的特徴
大きくて持ち上げられなかった、車を引いていた・・・という神話や、ノルウェーの寒冷地の自然の中を生き抜いていたということから、大きくて重たくて、たくましい猫なんだろうなと想像できると思います。
でも、実際にはどれくらいの大きさなのか、どんな体型をしているのでしょうか?
また、妖精のようと言われるふわふわの被毛の秘密まで、身体的特徴をじっくりと見ていきたいと思います。
Elisa Putti/shutterstock.com
サイズ
ノルウェージャンフォレストキャットの平均体重は6kg~10kgと、ビックサイズです!
猫種全体の生猫の平均体重が3kg~5kgであることを考えると、その大きさが際立っていることがわかりますよね。
ノルウェージャンフォレストキャットの場合、オスの平均体重が4.5kg~10kg、平均身長は45cm~60cmです。
メスの場合は、平均体重が3kg~6.5kgで、平均身長は40cmですので、オスもメスもとにかく大きいです。
しかも、広いくて強い胸を持ち、骨太のがっしりした体型をしているで、迫力があります。
脚も筋肉質でしっかりしていますし、後脚が前脚より少し長く、腰高になるので、歩いている姿は優雅で威厳に満ちています。
尻尾の基部が太く、先端になるほど細くはなりますが、たっぷりの被毛で覆われているので後ろ姿も大きく見えます。
神話でたくましい存在として描写されているのも納得のビックサイズ&立派な体格ということがわかりましたね。
フェイス
逆三角形の顔の形をしており、シャープな顎から耳に向かって横幅が広くなっています。
耳も大きく、タフトと呼ばれる長い毛の束が先端に付いていたり、耳の中からも長い毛が生えていてボリューミーです。
目の形はアーモンド型で、瞳の色は、グリーン・ゴールド・カッパーと呼ばれる銅のような赤黒く艶のある色など、大きく分けるとこの3色が一般的ですが、ブルーや、左右で色が異なるオッドアイなどもいます。
顔全体の印象は可愛いというよりはシュッとした、聡明な印象を受ける作りをしています。
被毛
ノルウェージャンフォレストキャットの被毛はノルウェーの厳しい寒さから身を守れるように、厚手な二層状になっているのでフワフワを超えたモフモフと表現するのがぴったりなほどのボリュームと長さがあります。
しかも、先ほども触れたように、耳の先、脚の先、尻尾の先まで、体全体にびっしりと被毛が生えています。
だからこそ、寒さに強く、雪の降る北欧の森林でも生き抜くことができたのです。
二層・・・つまりダブルコートなわけですが、内側の毛は密度が高く非常に柔らかいタイプで、外側の毛は、長くて硬めの防水性のあるタイプになっています。
タイプの違うダブルの被毛で、防寒機能をさらにアップさせているのですね。
内側の毛も外側の毛も弾力があり、ビロードのような手触りです。
もともとビックサイズな体に、しっかりとした筋肉がつき、さらにゴージャスな被毛が生えているので、かなり大柄に見え、近くで見ると迫力満点です。
被毛の色や柄は、バラエティ豊富で、様々な種類が認められています。
代表的な模様はタビー柄(縞模様)ですが、マッカレルタビー・クラッシックタビー・スポテッドタビーなどがあります。
他にも、様々な色が散りばめられたトーテルシェル、キャリコ(三毛)、根元が白くて先端にかけて色が違うスモーク、二色のバイカラー、ブチ柄・頭や尻尾にだけ色がつくヴァンなどもおり、全ての模様を網羅しているのではないかと思えるほどです。
模様の他にも、単色のノルウェージャンフォレストキャットも存在しており、色もブラック・ブラウン・ブルー・シルバー・ホワイト・レッドなど様々です。
色と柄によるパターンの組み合わせも考えると、数え切れないほどありますので、ご自分の好きなタイプを選ぶことができるでしょう。
美しい被毛ですが、ダブルコートの長毛で体格も良いとなると、被毛のお手入れに時間も手間もかかります。
大変でも、一日に一回はブラッシングを行って、ヘアーボールにならないように気をつけてあげましょう。
シャンプーするとより楽に不要な毛を取り除くことができます。
ただ毛量が多く、水を弾く被毛なのでやはり大変な作業にはなりますが、キレイ好きな猫種なだけに、時々はさっぱりさせてあげましょう。
子猫の時からシャンプーをしていると、猫自身が慣れてくれるので少しは楽に行えるようになりますよ。