ワイヤーフォックステリアの特徴
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ワイヤーフォックステリア(Wire Fox Terrier)は、イギリスが原産国です。
その名の通りキツネ狩りをしていた、フォックステリア種です。
しかし、その均整の取れた美しい姿は「テリア界の貴公子」なんて評されるほどです。
とてもスマートな外見と、機敏でイキイキとした性質をもつ犬種です。
スムース・フォックス・テリアとは、もともと同一犬種として知られていましたので、異種交配も行われていました。
しかしドッグショーにでるようになり、この2種は別々の犬種として独立することになります。
ワイヤーフォックステリアは100年ほど前に、愛玩犬として改良されました。
とはいえ、典型的なテリア気質を持ち、闘争心もあり、少し神経質なところがあります。
とはいえ、友好的な性格をしていて、明るくて積極的です。
楽しいことも大好きで、とても賢いので芸も覚えます。
とても活動的で、とても勇敢でどこかダンディな雰囲気も感じさせます。
ワイヤーフォックステリアは世界中で愛されるテリア種として知られていて、映画やアニメなどにも登場します。
エディ・マーフィーが主演していた映画「ドクター・ドリトル」にも登場しますし、ベルギーの人気漫画「タンタンの冒険」の主人公タンタンのパートナーのスノーウィーは、ワイヤーフォックステリアがモデルとなっています。
さらに、日本の俳優さんやノーベル賞作家さんなどもこの犬種の愛犬家であったことも知られています。
初心者さんには飼育は難しい、と言われるちょっとクセのある、これぞテリア種!といった気質のワイヤーフォックステリアですが、一度飼育すると、もうほかの犬では物足りないと思うほど、虜になる魅力たっぷりの犬種です。
ワイヤーフォックステリアの外見的特徴
ワイヤーフォックステリアの体高はオスの場合約39cmほどで、メスはそれよりも少し小さめです。
体重は約8kgほどになります。
それで、大きめの小型犬といったところでしょう。
胴は短く、ガッチリとした肩をしています。
小さな体ながら、とてもしっかりとした骨量を持ち、力もあります。
そして、前足がまっすぐにのびていて、後ろ足が少し長めの体型です。
首もしっかりとしていて長く、ストップのない幅広のマズルを持ちます。
耳はたれ耳で、V字型になります。
本来の尻尾はまっすぐな立ち尾ですが、猟犬として断尾されることもありました。
しかし、愛玩犬としてのワイヤーフォックステリアは断尾されることはほとんどありません。
そして、外見の一番の特徴として、カールした被毛を忘れることはできません。
ワイヤーフォックステリアの被毛はダブルコートで、上に生えているオーバーコートがワイヤー状になっています。
このワイヤー状で硬い被毛が美しく、この毛並みを美しく、太く保つために特殊なお手入れをしています。
目の上の眉毛のように生えた被毛と、お口まわりのおヒゲが、ダンディなおじいさんのようにも見えますよね。
ワイヤーフォックステリアの寿命・体型
ワイヤーフォックステリアは、体高と体長がほぼ同じ長さのスクエア型の体型をしています。
前足がぴんとまっすぐに伸びていて、後ろ足が少し長く、首も長いのでサイドから見たその姿はとても美しくて均等が取れたスタイルをしています。
マズルも四角くて長く、ピンと上に伸びた尻尾も、全体のバランスを良く見せてくれています。
平均的な寿命は、10~15年と言われています。
小型犬もしくは中型犬に分類される犬種としては、平均的と言えるでしょう。
活発で、好奇心も旺盛なので、事故やケガもをしやすいので、事故が起きないようにしっかりとお散歩んときにはリードを持つなどして、長生きさせてあげたいものですね。
さらに、運動量もたくさん必要です。
心身共に健やかに過ごせるように、好奇心と運動欲を十分に満たして、心身ともに健やかに過ごせるような飼育をしましょう。
ワイヤーフォックステリアの歴史
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ワイヤーフォックステリアはとても歴史の古い犬種だと言われています。
とはいえその起源は不明とされています。
18世紀ごろのイギリスでは、貴族のスポーツとしてキツネ狩りが盛んでした。
そんな中、キツネの穴の中に入り込む事ができる犬種が必要となり、そこで注目されたのがワイヤーフォックステリアです。
祖先犬は、ウェールズ州にいた剛毛のブラック・アンド・タン・テリアだと言われています。
最初のころは、小動物などの害獣を追い払う仕事をしていたのですが、キツネ狩りに使用されるようになって、18世紀頃から「フォックステリア」と呼ばれるようになったようです。
キツネ狩りでは、大型のフォックスハウンドとの連携プレイによって、効果的に狩猟をしていたようです。
まず、フォックステリアがキツネの巣穴に入り、キツネを追い出し、その後フォックスハウンドがそれを追い詰め、最後のとどめを刺したようです。
そのように、敵の巣穴に入っていく勇気を持ち、臆することのないハンターとしての素質を持っているのです。
1790年までには現代のフォックステリアの原型とも言える姿にまでなっていたようです。
この頃のフォックステリアは、ブラック・アンド・タン・テリやウェルステリアなどが基礎となっていたので、毛色が赤褐色などで、キツネとよく似ていました。
そのことから、ときにキツネと間違って、ハウンド犬が攻撃してしまったり、ご主人が間違ってフォックステリアを射殺してしまうという事故が増えてしまっていたようです。
それで、ハウンドの役目も同時にこなせるような犬種になるように、ハウンド種を交配することになり、3色の毛色を持つスムースのフォックステリアが誕生したようです。
そのように毛色を、ホワイトをメインカラーとしするように改良されたことで、視界が悪いところでも、誤って射殺されることはなくなったようです。
そして、その他にもテリアと交配することにより、ワイヤーヘアーのフォックステリアも生まれたとされています。
ワイヤーフォックステリアの被毛は、傷から体を守ることができ、荒れ地でも活躍していたようです。
そして、とても優秀なこの犬種がいたことで、イギリスでのキツネ狩りが盛んになった、とも言われています。
当初は、スムースのフォックステリアも、ワイヤーのフォックステリアも、同一種と見られていて、白い毛色を定着させることも目的として、異種交配も行われていました。
しかし、ドッグショーに登場するようになってからこの2種を区別するようになります。
ドッグショーに登場するようになったのは、19世紀の半ばで最初に登場したのは、スムースフォックステリアだったようです。
そしてその20年後くらいにワイヤーフォックステリアも登場することとなります。
そして、1900年代にはこの2種の異種交配が禁止されることとなり、1985年には犬種としてそれぞれ独立した形で、公認登録されることとなりました。
もともとは、スムースフォックステリアのほうが人気だったようですが、20世紀に入ってから、ワイヤーフォックステリアの人気が高まりました。
日本においても、一定数の愛犬家たちが常におり、スムースフォックステリアはほとんど見かけることはありませんが、ワイヤーフォックステリアには街でも会う機会があるでしょう。