猫ってどうしてこんなにいい匂いなんだろう
猫
猫を飼ったことがある人に話を聞くと、飼い猫は本当にいい匂いがするといいます。
どんな匂い?と聞くと、お日様の匂いという人や、ミルクの匂い、そして焼きたてのパンの匂いがするという人もいます。
あまりにもいい匂いで思わず猫の体に自分の頭を埋めて、匂いを満喫してしまうという人もいるかと思います。
猫と同じように人気の犬は、犬種によって異なるのですが、定期的にシャンプーをしないと犬独特の匂いが出てきたり、毛がべたついたりします。時には皮膚炎になったりすることもあるのです。
そんな犬とは違い猫は、いつもいい匂いがするから好き!という人も多いかと思います。
そこで今回は、猫はどうしてこんなに匂いがいいのだろう?という素朴な疑問について調べてみたいと思います。
猫の習性と匂い
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猫の匂いを嗅いだことがある人の中に、獣臭い!と感じた人は少ないのではないでしょうか?
猫は本来待ち伏せ型の狩猟動物です。
獲物が近づくまで、草むらや獲物に見つからないようにじっと隠れています。
そして獲物が自分の射程距離に入った時に、俊敏な行動で獲物を捕まえるのです。
そんな狩猟をしている猫から猫独特の匂いが出てしまうと、隠れているのが獲物に見つかってしまいます。
そうなると狩りは失敗に終わってしまうのです。
このことから猫は、体臭が少なくなったと言われています。
猫は体臭を消すために工夫をする動物
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先ほど書いたように、猫は待ち伏せ型狩猟動物なので、体臭が少ないのですが、日頃から体臭を消すためにいろいろな工夫をしているのです。
猫も生きるために工夫しているのですね。
それでは、どんな工夫をしているのか見ていきましょう。
毛づくろい
猫を飼っている人はもちろん、猫を飼っていない人も、猫が毛づくろいをしている姿は見たことがあるかと思います。
猫は、起きている間の3割~4割の時間を費やしているのです。
どうりで「いつも毛づくろいしいる」という印象になるわけですね。
獲物に隠れていることがばれないように体臭を消すために毛づくろいをする他にも、毛並みを整えたり皮膚を綺麗にするといった理由もあります。
毛並みを整えないと、食べたものやゴミなどが毛についてしまい皮膚炎になることもあるので、綺麗にしています。
その他には体温を調整する役割や、興奮した気持ちを抑えたり、ストレス解消で毛づくろいをします。
毛づくろいの方法は2種類あります。
一つは、舌や門歯で毛づくろいを行う方法で、オーラルグルーミングと呼ばれています。
もう一つは、後ろ足で行う毛づくろいは、スクラッチグルーミングと言います。
ほとんどがオーラルグルーミングを行っています。
スクラッチグルーミングは、暖かい季節になると出てくるノミが大量に発生する時に、ノミを体から離そうとして行います。
こんなに毛づくろいをすると、体の中に毛が大量に入ってしまいますね。
ですので、猫は定期的に飲み込んだ毛玉を吐き出します。
ただ吐き出す時に水分も出てしまい脱水症状を起こすこともあるので、今では体に入った毛玉をうんちと一緒に出させるキャットフードなども販売されています。
猫は、獲物を捕獲する他にも健康管理のために毛づくろいをするのですね。
ただ愛猫と一緒に遊んだ後に、そっぽを向いて毛づくろいをされると、ちょっと寂しい気持ちになりますね
日向ぼっこ
猫は日向ぼっこが大好きです。
道路で日向ぼっこをする光景を見たことがある方も多いかと思います。
実は、猫は太陽の動きに敏感で、午前中と午後で、日向ぼっこをする場所を変えるのです。
暑い日には日陰を探し、寒い日には暖かい光を求めて上手に心地よい場所を探し出して日向ぼっこをしています。
お布団を天日干しするように、猫も自分の体を天日干しをして、殺菌効果で匂いの原因になる細菌やカビを撃退するのです。
また毛並みをサラサラに乾燥させるので、細菌やカビが繁殖しなくなるのです。
そしてもう一つには、日向ぼっこをすることで、体温を一定に保つことができる効果があります。
猫は消費エネルギーをできるだけ少なく体温を一定に保つようになっています。
最後は、カルシウムの吸収を高める効果が日向ぼっこにはあります。
少し前はビタミンDを体内で形成されると言われていたのですが、現在はその効果はないとされています。
このように日向ぼっこは猫にとってとても有益なことなのですが、猫にとっては単純に気持ち良いから日向ぼっこをしているのかもしれないですね。
トイレハイ
猫を飼ったことがある人はわかるかと思いますが、猫がウンチをした後に、すごいハイテンションで猛ダッシュをしたり、すごい勢いで砂をかけまくったり、時には泣き叫んだりすることがあります。
猫を飼っている人の間では、「トイレハイ」や「うんちハイ」と呼ばれているようですが、謎の行動の一つです。
猫が自分の匂いから一目散に逃げて、ほかの猫や外敵から自分の身を守る為に行われる行動だとされています。
野生の時の猫の習性の名残だと言われていますが、それだけ猫にとって自分の匂いを知られることは危険なことだったんですね。
野生動物の排泄行為は、無防備でほかの動物から狙われやすい状態で、危険な時間でもあります。
ですので、無事に排泄ができたということを喜んでハイな状態になるとも言われています。
綺麗好き
猫は、ひまさえあれば毛づくろいをして、自分の体を清潔に匂いのない状態を保とうとします。
またトイレも綺麗な場所でないと我慢してしまうこともあります。
そんな綺麗好きな性格の猫だからこそ、匂いがあまりしないか、いい匂いがするのかもしれません。
無臭でいい匂いってどうして?
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こうしてみてみると、猫は無臭に近いとされていますが、猫を飼っている方の多くは、良い匂いがすると言っています。
ではその匂いはどこからやってくるのでしょうか?
太陽の匂い
日向ぼっこが大好きな猫は、天日干しをしたお布団の匂いによく似ています。
これは「太陽の匂い」です。
お布団の場合は、人の汗や洗剤などが太陽の熱で分解されて、太陽の匂いとされます。
猫も同じで、猫の皮膚にある脂質が太陽の熱と反応して、太陽の匂いになります。
猫フェロモンの匂い
フェロモンというと、性的なホルモンが出ているように思われがちですが、性ホルモンのほかにもこの猫のフェロモンは猫の気持ちを表す表現ツールなのです。
猫の仲間に外敵の存在を知らせる「警報フェロモン」、ストレス緩和のために出される「安定フェロモン」などがあると言われています。
猫がよくする行動で、頬や額、しっぽで家の中の机や椅子、そして飼い主さんの足にグルグルとする仕草は、心を許せる空間や相手に匂いをつける行動で安定フェロモンが出ています。
警戒ホルモンは、自分が不安な時や怖いと感じた時に出るフェロモンで、足の裏や肛門のまわりからフェロモンが出ます。
ただこれらのフェロモンは同じ動物の間で感じ取るもので、他の動物にはわからないものです。
そしてフェロモンは基本無臭なので、匂いはしないようです。
猫フェロモンのほかにも「尿でマーキング」することがあります。
猫はとても綺麗好きなので、普通ならトイレで用を足します。ただ、ストレスを感じている時には、家のあちこちで尿をしてマーキングをします。
こんな時には、ストレスを感じている証ですので、ストレスが何かを観察して、ストレスの原因を取り除いてあげましょう。
猫の体の部位ごとの匂い
猫によって個体差があり、概ね猫は良い匂いと感じる人が多いようです。
シャンプーをしているわけでもないのに不思議だと感じている人もいると思います。
そこで匂いはどこからやってくるのか調べてみました。
実際に猫を飼っている方は、一度愛猫の体の匂いをチェックしてみてはいかがでしょう。
頭や額周辺
猫の頭や額あたりは、猫も嗅がせてくれやすい場所です。人によってはバターの良い香りという人や、メープルシロップという人もいます。
この匂いを使ったファブリックウォーターが登場するほど、この香りは好きな人にはたまらないのです。
耳の中
健康な体の場合、あまり匂いわないのですが、外耳炎などになると、匂いがします。
健康なときの耳の匂いを覚えておいて、耳が臭い?と感じたら、すぐに動物病院で診断してもらいましょう。
お腹
猫が好きな人に人気があるお腹は、ふさふさとして顔を埋めたくなりますよね。
そして匂いを嗅いでみると、お日様の匂いがするという人が多いように思います。
お腹の匂いは、日向ぼっこでサラサラになった毛や体からでてくるお日様の匂いですね。
また室内で飼われている猫の場合は、家の中の匂いがつくことがあります。
脇
猫の脇の匂いは、嗅ぎにくいのですが、猫を飼っている人はチェックしてみてください。
お腹に比べると、お日様に当たりにくい脇は、少し臭い匂いがすることがあります。
これは、日向ぼっこのときに、脇に日差しが当たらず、雑菌が繁殖しているのかもしれません。
逆に猫が人間の脇の匂いを嗅いでくることがあります。
これは、人間の汗の匂いに反応しているのだそうです。どうやら男性の匂いより女性の匂いの方が好まれるようです。
愛猫はどうですか?
お尻
お尻は排泄をする場所なので、どうしても排泄の匂いがすることがあります。
わざわざお尻の匂いを嗅がなくても、トイレに行った後にプンと匂いがする匂いと同じ匂いがします。
またトイレに行ってから時間が経った時に、匂いを嗅いでみると、草の匂いがする猫もいるようです。
肉球
猫が唯一汗を掻く場所の肉球の匂いはどうでしょう。
ただ汗臭というよりもポップコーンのような香ばしい匂いがするという人が多いようです。
そのほかには芝生の匂いという人やバニラの甘い香りがするという人もいますね。
匂いの少ない猫にシャンプーは必要?!
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猫は匂いがほとんどないということなら、猫にシャンプーって必要ないの?という疑問が湧いてきます。
実は、猫にはシャンプーは必要がないのです。
一生シャンプーをしなくても、自分で毛づくろいをして清潔に保つことができます。
もともと自然界にシャンプーというものはないですものね。
また、今飼われている猫の場合は、完全に室内で飼っているという場合は、毛並みが汚れるということは、ほどんどないと思います。
どうしても人間の感覚で考えると、定期的にシャンプーをしないと不潔だと感じてしまうのですが、猫は毛づくろいをすることで、清潔に保たれるのです。
ただ雨に濡れてしまったり、泥はねなどが気になるときには、猫がいやがらなければシャンプーをしてあげましょう。
ただシャンプーをしないから病気になったという猫はあまり見かけませんが、逆にシャンプーのしすぎで皮膚炎になったという話は聞きますので、ほどほどが良いですね。
ですのでシャンプーは、年に一度か二度くらいのシャンプーで十分です。
猫の毛には油分が含まれていて、シャンプーをやりすぎると油分が取れすぎて、パサパサになってしまいます。
またシャンプーの種類は、猫専用のものを使ってあげてください。
犬用のシャンプーを使うのはNGなんです。
猫と犬の皮膚はPH値が違うのです。猫は弱酸性で犬は弱アルカリ性のPHなんだとか。
ですので、犬用のシャンプーを使うと肌荒れしてしまう恐れがあります。
犬のシャンプーは、犬の匂いを消すために香料が使用されているので、泡立ちが良いのが特長です。
また人間用のものも良くありません。