英国グラスゴーで開かれていたCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)は13日(2021年11月)閉幕したが、土壇場で「石炭火力発電所の廃止」が途上国の反対で採択されず、「段階的削減」にとどまった。その背景に何があったか、15日の「めざまし8」が伝えた。
石炭火力発言は「段階的削減」に
グラスゴー市内での環境保護団体のデモ行進に参加した高校生、福代美乃里さん(16)は言う。「今までは、私の将来が危ないから、気候変動を今、止めなきゃいけないんだ、という思いだった。でも、先住民の方や最も被害を受けている地域の方のスピーチで、本当にその方々が体験していること、いかに今困っているかを聞いて、自分の将来を守るためだけではなくて、いま既に被害を受けている人たちを守るために、私たちは運動を続けなければいけないと、すごく感じた」。
福代さんは「世界の分断」も痛感した。「日本は技術やお金もあってCO2を減らしていくことができる。途上国はお金も技術もないから難しい。だから日本が今後、もっと減らしていくべきなんだと、フィリピンから来た子から聞いた。日本も、これまで排出してきた責任としても活動すべきと思った。目標でなく、実行していくことが大事」。
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)も、SNSで痛烈に批判した。「COP26はまとめると、Blah,Blah,Blah(ああだこうだいうだけ)。No more Blah」。会場周辺では、ガソリン車のタイヤの空気が抜かれる事件が頻発した。
COP26は当初の会期をインドと中国の反対で延長。インド代表は、「途上国は世界の炭素量の公正な分配を受ける権利がある。それがない状況で、どうして石炭廃止の約束を求められるのか」と主張した。結局、石炭火力発電について、当初の「廃止」ではなく「段階的削減」と表現を後退させた成果文書を採択した。世界の気温上昇を1.5度に抑える、と改めて宣言した。
参加国の姿勢は石炭火力発電をめぐって3つに分かれた。(1)「ゼロ派」はスイスのようにすでに石炭火力を廃止した国のほか、英国(約2%)、EU(約14%)らで、これに対し(2)「削減」を主張するインド(石炭火力が約72%)や中国(約64%)がこれに対抗した。このほか(3)態度が曖昧な国が、石炭火力が約30%の日本や、同20%の米国だ。スイスは、「1.5度の目標達成がさらに困難になる」として、「廃止」を強く主張した。
MCの谷原章介「大事なのはどのように実現するかだと思う」
(栄)