未来からのラブレター
パソコンを開くとメールが届いていた。
知らない人からみたい…
「あなたは僕と
つきあうことになります。
未来は決まっているのです」
なにこれ…
よくある詐欺だと思うけど。
「疑っておいででしょう?
では、未来を教えてあげます。
明日のサッカー、勝つのは
木戸ルーレイロです」
くだらないから放っておこっと。
でも翌朝、なんだか気になって、
新聞のスポーツ欄をみてみたら…
メールと同じ結果だった。
でも2分の1の確率だし…
その日の夜、またメールが来た。
「僕が言ったとおりだったでしょう?
信じていただくために
もう一度、未来を教えましょう。
今度は相撲にしましょうか?
明日の取組、勝つのは
出名錦です」
結果は…
やっぱり当たっていた。
ううん、まさか、偶然かもしれないし。
でももしもう一度当たったら…
本当に運命なのかもしれない。
だから次のメールで
未来を当てられた後、
私は彼と会うことにした。
帰り道
友人の結婚式の帰り道。
俺は君と、電車に乗って家まで帰る。
つり革につかまる僕の
目の前に座った君は、
子供のように足をぶらぶらさせている。
そんな姿も魅力的だ。
「ねえ、お兄ちゃん。
花嫁さん、きれいだったねー。
式も豪華だし…憧れるなぁ」
君は目を、きらきらと輝かせている。
「お前、
昔から花嫁願望が強かったよな」
「全女子の夢なの。
あーあ、あたしもなりたいな」
「花嫁に?
ワガママ言うな」
「無理かな」
「……」
「だよね」
俺も苦笑する。
ここで、我が家の最寄駅に到着した。
俺は開いたドアを見て、
続いて君を見下ろした。
「ほら、降りるぞ」
「うん」
俺が手を伸ばすと、
君は嬉しそうにはにかんで、
その手を取った。
二人で並んで、ホームに降りる。
「帰るか」
「コンビニに寄ってからにしようよ、
お兄ちゃん。
ちょっとぐらい、お姉ちゃんを
待たせてもいいでしょ?」
「……分かった」
手を離そうとすると、
君は少しむくれた。
やれやれ、と、
俺はもう一度手を握り返す。
オレオレ詐欺にご注意
「もしもし、オレだけど」
これはもしかして…
「タカシなのかい?」
「そうだよ、オレだよ」
やっぱりねえ…
回覧板を読んでたからピンときたよ。
オレオレ詐欺ってやつだね。
年寄りだからって簡単に騙せると
思ったら大間違いだよ。
「ばぁーちゃん、聞いてる?」
「あぁ、よく聞こえてるよ」
「携帯の番号を変えたから
連絡しようと思ってさ」
なんだい。
回覧板に書かれてた
手口そのままじゃないか。
ちょっとからかってやろうかね。
「そうかいそうかい。
でも、不思議なことがあるもんだね」
「えっ?」
「タカシは去年死んだんだよ」
電話の向こうで息を飲む音が聞こえる。
ひっひっひ。
「この電話は
どことつながっているんだい?」
「いや、あの」
「タカシや、ひとつ頼まれておくれ」
「なにを?」
「亡くなったおじいさんを
出しておくれ。
久しぶりに話がしたいんだよ」
「……」
「早く変わっておくれ。
できないのかい?」
「もういいよ!」
ガチャン!
まったく悪ガキが!
少しは懲りるといいんだけどね。
作品をもっと見る↓↓