紙は私達の生活の中で身近な素材で、幼少期から工作などで使われたりと慣れ親しんだ存在ですよね。紙で作る作品はアイデア次第で多様な表現が生まれたり、新たな可能性を感じたりします。そんな紙ですが、Twitterにて、我流切紙人(@garyukirigami)さんがご投稿した「紙に見えない紙作品」が話題を集めています。それは、とても紙だとは信じ難いクオリティの高さと神ワザに圧倒される作品なのです。今回は制作秘話を伺いました。
#誰か優しい人が拡散してくれてフォロワーさんが増えるらしいけど別に増えなくても良いから見るだけ見て欲しい
紙にみえない紙作品をつくってます♪ pic.twitter.com/TBGsNjWSk4
— 我流切紙人 2/15~19(鏡華水月・デザインフェスタギャラリー原宿) (@garyukirigami) September 8, 2020
「紙に見えない紙作品を作っています」という一言共に、作品の写真が掲載されたツイートを発見しました!とても紙で出来ているとは思えない質感、色合いなども魅力的で、生物の躍動感も感じられるすごい作品ですよね。絵が描かれているようにも見えたり、ガラス工芸のようにも見え、色んな表現が伝わってきます。
ツイートのリプ欄には、リアルで素晴らしい完成度といった絶賛の声が続々と寄せられ注目を集めています。
・躍動感とリアルさに驚きました。
・すごいですね。ガラス細工みたいです!
・初めて作品を見て、息を呑みました。 繊細で美しい……
制作者さんインタビュー
制作者の我流切紙人(@garyukirigami)さんにお話を伺いました。
■プロフィールを教えてください
ーーペーパーアーティスト(Paper Artist)の 我流切紙人と申します。自然界のあらゆる生命を題材に、自身の感覚を織り交ぜた表現で作品を制作しています。その繊細でリアルな描写から水族館など各種施設からの依頼制作ほかイベントプロデューサー・オーガナイザーとして様々な展示企画・展示販売・ワークショップも多数携わっています。
■制作歴、制作をはじめたきっかけは?
ーー幼稚園の頃からつくっていますので、制作歴は30年以上はあります。本格的に仕事として制作しているのは15年くらいですね。きっかけは……覚えてませんが(笑) 本物を飼う代わりにつくったのだと思います。今のような完成度の高いカプセルトイがあったらつくっていなかったかもしれませんね。
■紙なのに紙らしくない作品を作り始めたきっかけは?
ーー10年以上前に水族館からの依頼で海藻を制作したのですが、その際にどのようにつくれば透明感が出るのか模索したのがきっかけです。
■作品が出来上がり、完成したのを見た時のお気持ちは?
ーー想定していた以上にリアルにできたなぁ(笑)……と仕上がった瞬間はそう感じるのですが、30秒後には改善点がみえてくるので喜んでいるのは一瞬です。
■一体どのように制作されているのでしょうか?
ーー基本的には下絵なしで紙を切って折って立体化しています。その後、ワイヤーを仕込んで可動にしたり、薄く樹脂をコーティングすることで強度・透明度を高めたり、紙で作ることがベースでありつつも、紙以外の素材も組み合わせて制作しております。
■どのような道具や材料を使われているのでしょうか?
ーー使用道具はハサミ、木工用ボンド、レジン、楊枝です。また、紙の種類は以前はタント紙など、ありとあらゆる紙を試していましたが、最近はほぼトレーシングペーパーのみです。
■制作で難しい点は?
ーー積み重ねてきた技術があるので、ある程度は難なくできますが、はじめて制作するモチーフなどの場合、調べたり下準備したり作り方を構想するなど、時間をかけてから制作に入ることも多いです。
■こういったものを実際に作ってみたいという発想はどこから?
ーー私自身のアイデアは微々たるものですが、自然界の造形美を見ているだけで「これもつくりたいあれもつくりたい」といった具合に制作候補が次々でてきますので、あとはそれらをどのように具現化するか……頭の中でデザインしたり、イメージしながら構想していきます。
■いいねやRTされるなど、反響がありますが、 どのような心境でしょうか?
ーーもうひたすらに感謝感激雨あられです(笑)
最後に今後の夢、制作してみたい作品はありますか?とたずねたところ「 大中小いろんなサイズ・種類の作品をこれまでに制作してきましたし水族館や昆虫館などの施設案件も経験させていただきましたので、個人的に何がつくりたいというのはもうないのですが、切磋琢磨している仲間たちと一緒に大きなことをしてみたい気持ちはあります。可能性ある方々の支援ができるような活動を今までもしていましたし、今後も継続していけたらなとは思っています。」と語られていた我流切紙人さん。
今後も我流切紙人さんの創り出す作品から目が離せませんね。次作もお目にかかれる日を楽しみにしています。
紙といえば、カステラの紙をキレイにはがせるライフハックも覚えておいて損はありませんよ。
取材協力:我流切紙人(@garyukirigami)