陶芸とは、粘土を成形して高温で焼成することにより焼き物を作る技芸・工芸のことです。和食器や壺などを目にすることが多い陶芸ですが、Twitterにて、増田敏也(@toshiyamasuda)さんがご投稿した「陶芸作品」が注目を集めています。その作品の数々は脳が錯覚を起こすかのようなインパクトのある見た目をしており、陶芸の概念を覆すほどの存在感を放っているのです。今回は制作秘話についてお話を伺いました。
個性的な陶芸作品がすごい!
#人と被らない
陶芸表現でこのタイプはほぼ被らないかな。#陶芸#ceramics pic.twitter.com/3jKuGDZnwG
— 増田敏也 (@toshiyamasuda) April 13, 2023
「陶芸表現でこのタイプはほぼ被らないかな」という一言共に、作品の画像が掲載されたツイートを発見しました!
今まで見たことのない、陶芸表現の作品で思わず見入ってしまいます。圧巻の存在感で、作者のこだわりと技術が詰まった作品ですよね。どのように制作されているのか見当もつきません。
制作者さんインタビュー
陶芸家の増田敏也(@toshiyamasuda)さんにお話を伺いました。
■制作歴、陶芸制作を始めたきっかけは?
ーー制作歴は約20年ほどになります。 高校・大学・大学スタッフの計11年間は金属工芸を専攻してましたが、デジタルなイメージを立体化する際に金属よりも、よりデジタルと真逆なイメージを持つ陶芸の方がより面白くなるのでは?と考え、スタッフの任期が終わると環境も変化したこともあり、独学でスタートしました。
■マインクラフトやレゴのような目の錯覚で不思議な存在感の作品ですが、なぜこういった作品を作ろうと思いましたか?
ーー小学生の時に、ファミコンが世の中に発表され当時ものすごくハマって影響を受けたということがベースにあります。 それと日本の長い陶芸の歴史や美術の歴史を調べても、デジタルをモチーフに持ち込んだ陶芸作品を見たことがないことなどもあったため、自分が作る意味や自分の生きている時代性を表現出来るのではないか?と思ったことがきっかけですね。
■陶芸表現と書かれていましたが、全て陶芸で作られているのでしょうか?
ーーはい。全て陶芸(やきもの)で出来ています。
■今まで何作品くらい作られてきましたか?
ーー200作品くらいはあるかと思います。
■ラジカセの作品はどのように制作されているのか教えてください。また、特に制作でこだわられた点は?
ーー作品には、陶芸用の粘土(信楽白土)を使用しています。土で大まかに成形してから、ナイフやヘラで少しずつカクカクに切り出しと、削り出して形を作り、乾燥させてからペーパーがけをし、800℃ほどで素焼きしています。
素焼きしたものを陶芸用の絵の具(下絵の具という顔料のようなもの)で着色していき、着色後本焼きをして完成します。
※陶芸特有の釉薬(ガラス質になるもの)を使用していない理由は、画面上の低解像度なCGは質感が無い色面のため、物質感の出る釉薬は使用しないことで見た際にあまり陶芸っぽく感じないのかもしれません。大体成形に1ヶ月、乾燥に1ヶ月、着色に1ヶ月の合計3ヶ月程度という感じかと思います。この作品に関しては、カセットテープが本体に入るようにしているのが、こだわりかと思います。
■作品に対していいねやRTされるなど、反響がありますが、 どのような心境でしょうか?
ーー普段から制作したものを作家として発表していますが、世の中にはまだ私の作品を知らない人が多いので、こういい形で少しでも知ってもらえればと思います。
インタビューの最後に、今後の夢、制作したい作品は?というご質問に対して「作家として活動していますので、より多くの方に知っていただき、見てもらえるように頑張るだけです。」と語られていた増田さん。今後益々、増田さんの創り出す陶器の世界観に陶酔したいですね。新作をお目にかかれる日も心待ちにしております。
アートといえば、日常のワンシーンに彩りを与えてくれる素晴らしい存在です。感性を大切にしていきたいものですね。
取材協力:増田敏也(@toshiyamasuda)