はじめに

歴史の波にもまれ、さまざまな文化の薫りが残る台湾。台中から始まった歴史的建造物のリノベーションブームは、台湾全土に波及し、今も各地で修復作業が続けられています。台北と台中をめぐった前編に続く後編では、東台湾へご案内。宜蘭&台東にある3軒を建築士の林彥穎氏の解説と共に見ていきましょう。

公務員の宿舎をホテルに。オールドスタイルの滞在が楽しめる「神農青舎」。

台湾リノペーション探訪・後編の1軒目は、宜蘭の中心部に位置し、1961年に建造された「神農青舎」。かつての姿は、宜蘭糧食局の宿舎でした。2018年に7棟が連なる洋風建築を修復。古い宿舎の特徴である花柄タイル、木の装飾、クラシックな家具が残るこの空間は、環境に配慮した宿泊施設「神農旅舎」、ご当地食材を使ったフランス風宜蘭料理の「緑色餐廳」、そして文化創造の場として活用されています。『宜蘭地方特有の装飾が施されていて非常にローカルな雰囲気。バス&トイレが共用という一昔前の宿泊体験ができるのが魅力ですね』。

◆神農青舎 SHEN NONG VILLAGE
住所:台湾宜蘭縣宜蘭市神農路二段96號 
電話:+886-3-935-2770 

南国の緑の中にたたずむポストモダン建築「旅行博物館」でエキゾチックな滞在体験。

ところ変わって、こちらは台東。国立台湾史全文化博物館内にある「旅行博物館」は、台湾初の博物館公園内ホテル。国際的に有名なポストモダン建築家・Michael Gravesの設計によるもので、15000平米の緑豊かな公園内にたたずむ、知る人ぞ知る貴重な建築です。 『大胆で生き生きした鮮やかな色使い、すっきりしたライン、建物の幾何学的な型地を利用した光と影の変化が特徴的。設計したMichael Grave氏は、多くの依頼を受けない人物。そういう意味でも得難いクラシック建築と言えるでしょう』。
レトロな建物のモダンな客室での宿泊体験、書籍、映画、文学、芸術、そして美食の融合体験…そのミックス感覚が新鮮です。館内レストラン「花里岸」では、地元の小規模農家から仕入れた食材を使ったフレンチのコースを中心としたメニューがいただけます。

◆旅行博物館Hôtel du Musée
住所:台湾台東市博物館路1號
電話:+886-8-938-0064

日本統治時代の建物を地元の文化発信基地「台東故事館」として活用。

台東の中心地にある「台東故事館」は、日本統治時代から受け継がれてきた歴史ある建物。元々は地政事務所として使われていましたが、その歴史的価値や多様な芸術性を擁する土地柄に鑑み、文化的ランドマークとして活用することに。 開放されているエリアには、書店、生活雑貨店、DIY教室、親子読書ルームなどがあり、館内では各種講座や展覧を不定期に開催。『台東出張時によく訪れる馴染みの場所。親しみやすい規模と雰囲気のなか、地元の文化と歴史に触れられます』。

◆台東故事館 TAITUNG STORY MUSEUM
住所:台湾台東市博愛路478號
電話:+886-8-934-6203

おわりに

前後編にわたってお届けした台湾リノベーション探訪、いかがでしたか。歴史的建造物の修復完了のニュースを頻繁に目にする今日このごろ。台湾を訪れるたびに、新たなリノベーション施設と出合えること間違いなし。建築マニアならずとも、引き続き、要チェックです!
情報提供元: 旅色プラス