はじめに


水族館で男女関係なくどの世代にも愛されているのが、ペンギン。日本人は世界で最もペンギンが好き、と言われているほどなのだそう。もちろんどこの水族館でもペンギンは一定の人気を誇っていますが、その中でも、ペンギン展示を観るためだけにでも出かける価値のある水族館を選んでみました。ペンギン好きはもちろん、今までペンギンに注目してこなかった人でも新たな発見に感動できますよ。

Text&Photo:中村元(水族館プロデューサー)

①世界最大級のペンギン水槽「海響館」のペンギン村(山口県)


「ペンギン村」と名付けられた建物は、ペンギンだけの施設としては世界最大! なかでも亜南極ペンギンの水槽が深さ広さともに巨大で、その中をペンギンたちが泡のジェット雲を引いて大編隊で潜る姿は圧巻。躍動感たっぷりの水塊を楽しめます。
屋上にはフンボルトペンギンの広大な住処があり、その再現性により生息地であるチリの自然公園から「生息域外重要繁殖地」の認定を受け、フンボルトペンギン特別保護区となっているほど。日本に居ながらにして南米の自然を味わうことができるのです。


水塊:海や川の立体的な奥行や、浮遊感、清涼感、躍動感など水中世界をそのまま水の塊にして水族館に持ってきた、リアル感あふれる展示のこと

◆市立しものせき水族館「海響館」
住所:山口県下関市あるかぽーと6番1号
電話番号:083-228-1100
営業時間:9:30~17:30(最終入館17:00)
休館日:年中無休

②ペンギンの種類世界一を誇る「長崎ペンギン水族館」(長崎県)


“ペンギン水族館”の名前に違わず、展示するペンギンの種類は9種類と世界最多、総数も180羽を超えて年々増えているというから驚きです。おすすめの展示は自然の海岸に放し飼いされた「ふれあいペンギンビーチ」。野生と同じく本物の海で泳ぐペンギンの観察ができて、水族館とも日本とも思えない風景が広がります。

屋内にも人工砂浜があり、ここでは体長約35cm、体重約1kgの世界最小のペンギン、コガタペンギンにお目にかかれます。まるでスズメのような愛らしい立ち姿に心をわしづかみされてしまいますよ。

もちろん亜南極ペンギンの仲間も種類が多くて、深さたっぷりの水槽で縦横無尽に泳ぐ姿を観ることができます。特にペンギンとダイバーのふれあいランチタイムがおすすめ。これだけペンギン三昧で大人料金510円は破格の安さ!

◆長崎ペンギン水族館
住所:長崎県長崎市宿町3番地16
電話番号:095-838-3131
営業時間:9:00~17:00
休館日:年中無休

③南極ペンギンだけにこだわる「名古屋港水族館」(愛知県)


ペンギン、と聞いて多くの人がイメージする氷の世界に住む姿。そんな南極の自然環境とともに楽しめるのが「名古屋港水族館」です。日本では他に和歌山県のアドベンチャーワールドにしかいないコウテイペンギンや、アデリーペンギン、ヒゲペンギンなどどれも珍しい種類ばかり。

陸上には人工の雪を降らせ、気温は常にマイナス2℃、水温も6℃という超低温に設定、日照時間まで南極に合わせているという徹底ぶり。南極の陸地と水中、両方の様子を元気なペンギンを通して体感できるのがいいですね。

◆名古屋港水族館
住所:名古屋市港区港町1番3号
電話番号:052-654-7080(代)
営業時間:通常9:30~17:30(3月下旬〜11月まで)、夏休み9:30~20:00(7月20日~9月1日)
休館日:毎週月曜日※祝日の場合は翌日、
※GW・7月〜9月・年末年始・春休みは無休臨時休館あり


④ペンギンが足下を歩く「上越市立水族博物館うみがたり」(新潟県)


マゼランペンギンの飼育数では日本一。観覧通路とペンギンの道が交差するウォークスルー展示が他にはない「うみがたり」の最大の魅力です。足下を自由奔放に歩き回るペンギンを観ていると、すっかり気持ちは故郷マゼラン海峡の生息地にいるかのよう!
水中も楽しい! とりわけ水中給餌の時間にダイバーの与える餌に群がるペンギンの数は圧巻です。魚を捕るときの素早い動きは、陸上での愛らしさとはまた違い迫力たっぷりです。

◆ 上越市立水族博物館うみがたり
住所:新潟県上越市五智2丁目15-15
電話番号:025-543-2449
営業時間:9:00~19:00(最終入館18:30)
休館日:年中無休

⑤緑に囲まれたリアルなペンギン「サンシャイン水族館」(東京都)


首都圏でペンギンと会うなら迷わず「サンシャイン水族館」の「草原のペンギン」。青空、陽光、草の緑の中のケープペンギンを観れば、南アフリカの景観の中にいるような心地よさ。黒い擬岩を背景にしたペンギンからは、コンクリートの上のペンギンとは別物のしなやかな生命感を感じます。

こちらは海の広さを空によって感じさせる「天空のペンギン」。野生のペンギンたちに海で出会ったら、まさにこんな感じ! というのを体験できます。なかには人なつっこいペンギンもいて、運がよければ向こうからかまってくれることも。

◆サンシャイン水族館
住所:東京都豊島区東池袋3-1 ワールドインポートマートビル 屋上
電話番号:03-3989-3466
営業時間:9:00~22:00(7月20日~9月1日)、9:00~21:00(9月2日~23日)
休館日:年中無休

おわりに


いかがでしたか。愛らしい見た目はもちろん、海を泳ぐ自由な姿や、種類によって異なる生態など、ますますペンギンの魅力にとらわれてしまいそうです。暑い日がつづくなか、見た目にも涼しく過ごせて、心癒される水族館はおでかけにぴったり! ぜひさまざまなペンギンの表情を観に、足を運んでみてください。
◆中村元(なかむら・はじめ)
サンシャイン水族館の「天空のペンギン」水槽をはじめ、新江の島水族館やマリホ水族館などさまざまな水族館をプロデュースし、大胆で個性的な展示で人気水族館を誕生させてきた水族館のプロ。現在国内の複数の水族館でアドバイザーを務める。2019年6月4日に発売された『中村元の全国水族館ガイド125』(講談社)では全館を自らの足で訪問取材し、各水族館の見どころや楽しみ方を紹介。「水塊」という独自の表現で癒しと好奇心をもたらす展示の秘密を解き明かす。




情報提供元: 旅色プラス