はじめに


夏休み真っただ中、「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)では、8月16日(金)の『千と千尋の神隠し』を皮切りに、3週連続でスタジオジブリ作品を放送。それを見て、どこか懐かしいジブリの世界にハマる人もいるのでは? そこで、オトナになっても十分楽しめるジブリ映画3本を厳選し、「モデルとして参考にした」と公表された場所や、ファンの間で有名になっている地をご紹介。みんなでワイワイ出掛ける旅もいいけど、女性ひとりで歩き、しっとりノスタルジックな世界に浸るのも楽しいですよ。

Text: 小林智明

【1】『千と千尋の神隠し』(東京都・群馬県)


「第75回アカデミー賞」長編アニメ映画賞に輝いた、みなさんご存知の名作です。両親と共に異世界へ迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、魔女の湯婆婆に名を奪われ、「千」として神様のための銭湯「油屋」で働き始め、ストーリーが展開します。
東京・小金井市の「江戸東京たてもの園」には、「大いに参考にした場所」と公表されている2つのスポットが存在します。まずは園内東側にある「下町中通り」。大正から昭和の時代の商家や居酒屋など、下町情緒を楽しむことができるエリアです。この雰囲気は……そう、千尋たち親子が迷い込んだ奇妙な食堂街に似ているのです。
同じ下町中通りにある「武居三省堂」は、明治初期に創業した文具店。建築年代は1927年(昭和2年)とレトロなタイル貼りの建物です。中へ入ると、正面左側の壁面には桐の引き出しがぎっしり。天井まで敷き詰められ、物語に出てくる釜爺が働くボイラー室を彷彿とさせます。


◆江戸東京たてもの園
住所:東京都小金井市桜町3丁目7-1
電話番号:042-388-3300
開園時間:
4月~9月 9:30~17:30
10月~3月 9:30~16:30
※入園は閉園時刻の30分前まで
休園日:毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始
料金:一般400円、65歳以上の方200円、大学生(専修・各種含む)320円、高校生・中学生(都外)200円、中学生(都内在学または在住)・小学生・未就学児童は無料
アクセス:JR中央線 武蔵小金井駅よりバス約5分


『千と千尋の神隠し』といえば、千が働く「油屋」のモデルも気になる場所ですよね。モデルのひとつとされているのが、「四万温泉 群馬県 旅館 積善館」。元禄7年開業、日本で最も古い木造湯宿建築と伝えられる歴史的価値の高い温泉宿は、まるで湯婆婆が営む油屋のよう。赤い橋も印象的ですね。

◆四万温泉 群馬県 旅館 積善館
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
電話番号:0279-64-2101

【2】『平成狸合戦ぽんぽこ』(東京都)


多摩丘陵地に住んでいたタヌキが住宅開発計画で餌場を追いやられ、反対運動を起こすという内容のヒット作。社会的要素を含みつつ、笑いと涙の珍騒動が描かれた物語に心がほっこりします。
その作品のエンディングを連想させる東京西部・多摩の景色を見渡せるスポットとしておすすめなのが、同市内の「都立桜ヶ丘公園 ゆうひの丘」です。小高い丘になっており、丘の一番高いところの標高は約126m。目下に多摩ニュータウンの街並み広がり、昼間は雲取山など奥多摩の山々が遠くに望めます。


◆都立桜ヶ丘公園 ゆうひの丘
住所:東京都多摩市連光寺5丁目15(桜ヶ丘公園サービスセンター)
電話番号:042-375-1240(桜ヶ丘公園サービスセンター)
入園料:無料
アクセス:小田急多摩線・京王相模原線「永山駅」から、京王バス聖蹟桜ヶ丘駅行き「記念館前」下車、徒歩5分。または京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」から、京王バス永山駅行き「記念館前」下車、徒歩5分


八王子市堀之内では、里山の雰囲気を残す静かな場所に「龍生寺阿弥陀堂」がたたずんでいます。ここは映画のタヌキたちが拠点にしていた「菩提餅山万福寺」のモデル。阿弥陀堂の敷地内には、作品中にも見られた青い花瓶や、鐘つき堂と形の似た建物もあるのでチェックしましょう。


◆龍生寺阿弥陀堂
住所:東京都八王子市堀之内618
アクセス:京王相模原線「京王堀之内駅」から京王バス「東京薬科大学」行き、または「東京薬科大学経由平山城址公園駅」行きで、「堀之内二丁目」下車、徒歩約15分。


写真提供:UR都市機構


作品のラストで「トレンディーな住宅地へ変わりました」と、落語家・古今亭 志ん朝さんのナレーションが流れるのを覚えていますか? それと同時に映し出されるちょっと南欧の雰囲気漂う建物のモチーフが、八王子市内のUR賃貸住宅「多摩ニュータウン ベルコリーヌ南大沢」だとか。現地のすぐ近くには「三井アウトレットパーク 多摩南大沢」があるので、買い物がてら立ち寄ってみては?


◆ベルコリーヌ南大沢
住所:八王子市南大沢5-3ほか

【3】『コクリコ坂から』(神奈川県)


宮崎駿の息子・宮崎吾朗監督によるジブリ作品が『コクリコ坂から』です。1963年、高度成長期に差し掛かった頃の横浜が舞台。建物をめぐる紛争を軸に、実直に生きる高校生たちの群像が爽やかに描かれています。
「港の見える丘公園」は、その名のとおり、横浜港が一望できる高台にある公園です。作中に、主人公の女子高生・海が毎朝、旗を上げるシーンがあります。あの「U・Wフラッグ」(国際信号旗)と映画の記念パネルが公園内にあるのです。パネルには、コクリコ荘のある場所は「港の見える丘公園」がモデルとされていると記されています。


◆港の見える丘公園
住所:神奈川県横浜市中区山手町114
電話番号:045-671-3648(横浜市都心部公園担当)
アクセス:JR京浜東北・根岸線「石川町駅」より徒歩約20分、横浜高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」より徒歩約5分


横浜の観光名所の一つ、「山下公園」も映画のモデルになったスポット。海と同じ高校に通う俊の2人が、会話しながら海沿いの遊歩道を歩くシーンで登場します。2人の背後には横浜税関と神奈川県庁が見えていましたが、実際は同じ位置から見えません。それでも主人公気分を味わって歩きたいですね!


◆山下公園
住所:神奈川県横浜市中区山下町279
電話番号:045-671-3648(横浜市都心部公園担当)
アクセス:JR京浜東北・根岸線「関内駅」より徒歩約20分、横浜高速鉄道みなとみらい線「元町中華街駅」より徒歩約3分


そして、「コクリコ坂」のモデルになっている坂と言われているのが、山手地区から元町へ下る「代官坂」です。坂を下り切った場所にある「丸英商店」は、主人公の海が買い物に行く精肉店のモチーフになっているはずと、ファンの間で有名です。作中に俊が海にコロッケをおごるシーンもありましたが、実際に購入できますよ。

◆代官坂
住所:神奈川県横浜市中区元町


おわりに


今回、ジブリ作品の臨場感やノスタルジックな雰囲気を楽しみながら巡り、映画に思いを馳せるひとり旅を提案してみました。読んでみていかがでしたか? もし実践する際には、まだ厳しい暑さが続きますから、水分補給や休憩をしっかり挟んでくださいね。
情報提供元: 旅色プラス