はじめに


「秘湯」という言葉には非日常的な響きがあります。毎日の暮らしに疲れた時に自分をリフレッシュさせてくれるような、そんな秘湯へ行ってみたくありませんか? 人里離れたところなら、3密も気にならなそうなのが嬉しいですね。秘湯の宝庫である東北地方から、初心者でも気軽にお出かけできて満足できるクオリティの高い秘湯の宿を5カ所厳選してご紹介します。美しい濁り湯や絶景露天風呂、あるいは歴史を感じる木造建築などでぜひ心癒やされる旅を。

Text&Photo:泉よしか(温泉ライター、温泉ソムリエマスター、温泉観光実践士)

乳頭温泉郷で初心者向けなら「休暇村 乳頭温泉郷」へ(秋田)


東北の秘湯と聞くと一番に思い浮かぶのは秋田県の「乳頭温泉郷」という方も多いのでは? この温泉郷には7つの秘湯が点在しているのですが、その中で特に秘湯初心者も安心して行けるのが「休暇村 乳頭温泉郷」です。
画像提供:休暇村 乳頭温泉郷

設備は7つのお宿の中で一番近代的、さらに路線バスのバス停が目の前にあるので公共交通機関でのアクセスも可能。しかし温泉はとても本格的で乳白色の田沢湖高原の湯と黄褐色の乳頭の湯という2色の濁り湯に入れるのです。眺めも良く、四季折々の美しいブナの森が癒しを与えてくれます。ここを起点に乳頭温泉郷の湯めぐりを楽しむのもいいと思います。


◆ 休暇村 乳頭温泉郷
住所:秋田県仙北市田沢湖生保内駒ケ岳2-1
電話番号:0187-46-2244
チェックイン:15:00
チェックアウト:10:00
アクセス:JR東北新幹線田沢湖駅⇒〔羽後交通バス乳頭線約45分〕⇒休暇村前バス停

足下湧出泉のお風呂に感激! 木造建築も美しい秘湯「蔦温泉旅館」(青森)


奥入瀬渓流も近い青森県の南八甲田に建つ「蔦温泉旅館」は、明治・大正時代の詩人 大町桂月に愛された宿。秘湯でありながら落ち着いた高級感のある旅館で、特に大正時代に建てられた本館の木造建築はとても風情があります。
お風呂は時間により男女入れ替え制の「久安の湯」と男湯女湯に分かれている「泉響の湯」があり、そのどちらも浴槽の底から直接お湯が湧いている貴重な足下湧出泉。

浴槽底の板の間から無色透明の源泉とともにポコリポコリと泡が浮いてくると、今まさに一番新鮮なお湯に入っているんだなと感激できますよ。


◆ 蔦温泉旅館
住所:青森県十和田市奥瀬蔦野湯1
電話番号:0176-74-2311
チェックイン:15:00
チェックアウト:10:00
アクセス:JR奥州本線青森駅⇒〔JRバス東北約2時間10分〕⇒蔦温泉

八幡平の美しい濁り湯は「松川温泉 峡雲荘」で(岩手)


画像提供:松川温泉 峡雲荘

紅葉の名所でも知られる八幡平。この八幡平エリアの岩手県側にある松川温泉には、地熱発電所と3軒の旅館があり「峡雲荘」もその一つ。美しい濁り湯の温泉と川に面した野趣溢れる露天風呂が待っています。
画像提供:松川温泉 峡雲荘

「峡雲荘」は山の中の宿ではありますが、館内は和モダンの洋室もあり女性の一人旅でも泊まりやすい温泉です。浴室にシャワーがないのは少し不便かもしれませんが、桶にお湯をくんで髪を洗うのも秘湯らしくて楽しいかもしれません。

雪深い土地ですが冬期も営業しています。冬はレトロなボンネットバスでアクセスするのもオススメ。


◆ 松川温泉 峡雲荘
住所:岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉
電話番号:0195-78-2256
チェックイン:14:00
チェックアウト:10:00
アクセス:JR東北新幹線盛岡駅⇒〔岩手県北バス約1時間50分〕⇒松川温泉

送迎車で雪道を行くのも楽しい「新高湯温泉 吾妻屋旅館」(山形)


初心者向けの秘湯といいつつ、今回ご紹介する中で一番難易度が高いのは山形県の「新高湯温泉 吾妻屋旅館」かもしれません。手前にある白布温泉で既に秘湯の雰囲気を醸し出しているのに、そこからさらに登った高所にある一軒宿なので。

雪が降ると一般車でのアクセスはとても難しくなりますが心配はいりません。麓のスキー場駐車場まで宿の送迎車が宿泊者を迎えに来てくれるのです。もちろん冬以外の季節にバスでアクセスしたお客さんも送迎してもらえます。
「吾妻屋旅館」には滝見風呂や樹齢250年の栗の木の根元をくり抜いた「根っこ風呂」など5つの露天風呂があり、どこも絶景が広がります。混浴が多いのですが女性専用タイムの時は、男性は宿の建物から一歩も外に出てはいけないというルールがユニークです。


◆ 新高湯温泉 五つの絶景露天風呂 吾妻屋旅館
住所:山形県米沢市大字関湯の入沢3934
電話番号:0238-55-2031
チェックイン:14:15
チェックアウト:10:00
アクセス:JR山形新幹線米沢駅⇒〔山形交通バス約40分〕⇒湯本駅前 ※最寄りバス停から宿の送迎車あり

内緒にしたい吊り橋の先の秘湯「信夫温泉のんびり館」(福島)


ここまでは秘湯としてよく知られた温泉を中心に紹介してきましたが、最後の「信夫温泉 のんびり館」はどちらかというと知る人ぞ知る秘湯。駐車場からは吊り橋を渡ってアクセスするので、非日常感を存分に満喫できます。
無色透明な信夫温泉のお湯は、アルカリ性の硫黄泉で若返りの湯とも呼ばれています。そのため入浴すれば美肌が期待できると、女性にとても評判が良いのです。部屋数も9室しかないので、お風呂が混みすぎることもありません。隠れ家みたいな宿を探している人にもぴったりな秘湯です。


◆ 信夫温泉のんびり館
住所:福島県福島市桜本木通沢4番地1
電話番号:024-591-1212
チェックイン:15:00
チェックアウト:10:00
アクセス:JR東北新幹線福島駅からタクシーで約25分

おわりに


「秘湯」と身構えてしまうとちょっとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、実際はオンラインで予約できて車や路線バスで気軽にアクセスできるところが多かったりします。

今回はその中でも個性があり満足度が高い温泉を5つ選んでみました。いずれも山の中のお宿でありながら清掃が行き届き快適に過ごせるところばかりです。もちろんお湯自慢の秘湯揃いですから、温泉そのものを楽しむにももってこいですよ。


◆泉よしか
温泉ソムリエマスター、温泉観光実践士。女子目線温泉ライターとして温泉を中心に女子に向けたオススメスポットをWebサイトで記事執筆している。紹介範囲はキレイ系温泉から歴史ある温泉街、マニアックな秘湯まで幅広い。2000年から「子連れ温泉ガイド地熱愛好会」、「ケアンズぷらす」、「キッザニア×キッザニア」等のサイトを運営。
情報提供元: 旅色プラス