はじめに


時々訪れることで日頃の疲れをリセットできるパワースポット。その場の波動にチューニングすることで心身を浄化し、充電できます。ただ、このところは感染症のせいで遠出しづらくなってしまい、身近なパワースポットでこまめに充電するというのが新しい習慣となりつつあります。ここでは、都内で行きやすいパワースポットを紹介させていただきます。

Text&Illustration辛酸なめ子

富士山に登れない今、ここへ「富士塚」(千駄ヶ谷)


2020年は実際の富士登山ができなくなってしまいました。そんな時には、ぜひ富士塚へ……。江戸時代に今のパワースポットブームのような富士塚ブームがあったらしく、都内各所に今も現存している所があります。千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の富士塚はコンパクトなサイズですが、八合目から上は岩場で結構スリリングでした。パワースポットに難所はつきものです。溶岩を運んで築造されているので、溶岩パワーも吸収できます。宮司さんにお話を伺った時は、実際の富士登山と同等のご利益があるということでした。
以来、この神社に時々参拝していますが、先日は波動が高い場所に現れるという黒アゲハが飛び回っていました。リピーターになると、神様がサインを送ってくださるかもしれません。


◆富士塚(鳩森八幡神社内)
住所:東京都渋谷区千駄ケ谷1-1-24
電話:03-3401-1284
アクセス:JR総武線千駄ヶ谷駅から徒歩約5分

東京タワーの足元に注目「蛇塚」(芝公園)


金運や仕事運に霊験(神仏が示す不思議な感応や利益)があると言われている芝公園の蛇塚。丘の側面に鬱蒼とした一角があり、奥まった所にひっそりと蛇塚がありました。
お地蔵様の奥に龍神様の像があるらしいのですが、大量にお供えされた卵で隠れて全然見えません。蛇の神様なので、卵がお供えされているのでしょう。
参拝客が絶えず、あまりゆっくりできないですが、持ってきたうずら水煮をお供えして、(生卵に飽きたら召し上がってください)と心の中で語りかけました。お参りの翌日、空に龍のような形の雲を目撃するというスピリチュアルなできごとが。パワスポに行ったことで気分が上向きになって空を見上げたくなったのかもしれません。


◆蛇塚(芝公園内)
住所:東京都港区芝公園4-3
アクセス:都営三田線芝公園駅から徒歩約3分

寅さんの息づかいが聴こえる「帝釈天(たいしゃくてん)」(柴又)


人情がうずまく街、柴又。このあたりは帝釈天を中心に栄えているのですが、それだけのパワーとポテンシャルを感じさせる立派なお寺です。帝釈天彫刻ギャラリーで鑑賞できる彫刻も素晴らしいですが、日本庭園も風流で趣があります。大回廊形式で、雰囲気のある板張りの廊下を歩いて庭園を一周できるようになっています。途中、湧き水(御神水)のスポットもあり、そこからパワーがほとばしっているようでした。寅さんの産湯に使った湧き水とされています。実在の人物ではないのですが、この街にいると、寅さんが本当に生きているように感じられます。


◆柴又帝釈天
住所:東京都葛飾区柴又7-10-3
電話:03-3657-2886(帝釈天事務所)
開門時間:5:00~20:00
庭園拝観時間:9:00~16:00
※新型コロナ感染症拡大防止措置として御堂および各施設は当面の間16:00に閉館
拝観料:無料、庭園・彫刻ギャラリーのみ共通で大人400円、子供(小・中学生)200円 ※12月28日~1月3日迄は庭園のみ閉園。彫刻ギャラリーの拝観料は半額になります。
アクセス:京成線柴又駅から徒歩約3分

干支のパワーもいただきます。「大圓寺」(目黒)


2020年の干支は「庚子(かのえ・ね)」なので、大黒天にお参りすると霊験がパワーアップすると伺いました(ねずみは大黒天のお使い)。目黒区で大黒天をお祀りしている大圓寺は、行人坂という急坂の脇に佇んでいます。都心のお寺で境内はそんなに広くないのですが、その中に様々な像やモニュメントがひしめいています。ご本尊の「開運招福大黒天」にはじまり、「釈迦三尊像」、数が多くて圧巻の「大円寺石仏群(だいえんじせきぶつぐん)」、かわいい「道祖神(どうそじん)」、「みがわり地蔵尊」、金箔を貼られた「薬師如来」、八百屋お七の石碑など……。
中でもインパクト大だったのが「とろけ地蔵」。江戸時代に品川沖で漁師の網にかかって出現したそうで、溶けかかったような姿で毅然と立っています。悩みをとろけさせ解消してくれる、というありがたい霊験が。大黒天がプロデュースしてくれたような楽しいアミューズメント空間に浸れます。しばらく佇んでいたら、本堂からワイルドなお経と激しい太鼓音が聞こえてきて、心身が清められました。


◆松林山 大圓寺
住所:東京都目黒区下目黒1-8-5
電話:03-3491-2793
アクセス:JR山手線目黒駅から徒歩約3分

おわりに


東京のパワースポットは、あまり疲労せず、仕事の合間にふらっと立ち寄れるのがポイント。都心とは思えない静かな空間で、大自然とはまではいかないですが小自然とつながることができます。あまりご利益を期待しすぎず、ちょっと前向きになれたり不安が解消されたりしたら、それで十分だと思いたいです。

イラスト初出 
富士塚:『富士山-なぜ、日本人は魅せられるのか? (Town Mook 日本および日本人シリーズ) 』(徳間書店)2013年7月
蛇塚:『一個人for WOMAN』(KKベストセラーズ)2010年6月
帝釈天:『バイトルマガジン』2016年6月
◆辛酸なめ子
1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛、女性の生き方、セレブ、皇室等幅広いテーマで執筆。スピリチュアルに関する著書・執筆も多い。『女子校育ち』(ちくまプリマ―新書)、『霊道紀行』『天使に幸せになる方法を聞いてみました』(以上、角川文庫)、『女子の国はいつも内戦』(河出文庫)、『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)など著書多数。

情報提供元: 旅色プラス